Nさんの寄稿の続きです。
11月28日(日)
シンデレラ:小野絢子
王子:山本隆之
義理の姉達:保坂アントン慶 井口裕之
仙女:本島美和 ダンス教師:吉本泰久
道化:福田圭吾 ナポレオン:八幡顕光
父親、四季の精、仕立て屋、洋服屋、靴屋、床屋、
宝石屋、御者、ウェリントン、王子の友人:27日と同じ
小野さんのシンデレラはとにかく可愛らしく初々しかった。
音楽にぴしっと合った軽やかな踊りで観ていて気持ち良く、
不幸に負けない、明るいヒロイン像を作り上げていた。
舞踏会では煌くような姫でありつつも
恥じらいの表情も少し見せたりと、とても人間味があった。
山本さんの王子は、目が眩むような神々しいオーラが漂っていた。
シンデレラの王子は恐らくは他のどのバレエ作品よりも華々しい登場の仕方をすると思うが、
仰々しいファンファーレを掻き消すほどの存在感で別格の輝きがあった。
また、白鳥の湖やジゼルと違って一切欠点をみせてはならぬ、
世の女性の理想の結晶でなくてはならない役柄なのだが、
これぞ王子!と唸らす威厳や風格があった。
後ろの壇上から舞踏会の人々の踊りを見渡す姿も絵になり、
シンデレラに対しては、突然別世界に降り立った不安を
そっと取り払ってあげるかのようにそれはそれは優しく接していた。
シンデレラも、さぞかし安心感を持ったことであろう。
ヴァリエーションでは腕や上体が特に優雅で美しく、印象深かった。
3幕冒頭、ガラスの靴の持ち主を捜すべく、
紗幕の前を颯爽と横切るところでは、黒のマント姿がとても似合っていた。
また、必ず捜し出そうという強い意志や逞しさ、シンデレラへの一途な思いが伝わってきた。
シンデレラとの再会を果たし、
義理の姉からガラスの靴を取り上げるところでは間合いが絶妙で、
更に端正な王子がしかめっ面で懸命に靴を脱がそうとするギャップが面白く、
大いに笑ってしまった。
道化の福田さんは出演者は勿論、客席とも上手くキャッチボールをしていて
場を盛り上げていた。
難しい技もさらっとこなしていて、音楽と戯れているようであった。
必須アイテムの顔付きの棒を義理の姉達に放り投げられてしまったときは
愛おしそうに顔の部分を撫でていたり、
ガラスの靴を履かせるところでは
彼女達の暴走に驚いたり辟易したりと豊かな表情で楽しませてくれた。
また、王子にとっては良き理解者なのだろう、
シンデレラや舞踏会の様子を2人で後ろの壇上から眺めるところでは
弟のように可愛がられているように見えて微笑ましかった。
3日の公演も小野さん、山本さんペアが登場するので楽しみである。
またそれ以降は前回平日昼公演で鑑賞できなかった寺島まゆみさんと貝川さんペア、
そして最終日は先日のシンフォニーインCの第一楽章を晴れやかに踊った
長田さんと福岡さんペアの日である。
劇場通いが待ち遠しいばかりである。
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