ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

 「ガリーナ・ステパネンコ ガラコンサート」4月29日-3-

2007年05月24日 | Weblog

三部「ドン・キホーテ 三幕」

キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥだけでなく、三幕まるごとやってくれたのでとても嬉しかったです。ボレロも第一、第二バリエーションも見れて楽しかったです。ステパネンコはやっぱりステパネンコで、やはり今回のガラも期待を裏切らず、すごく良かったです。個人的には色気のカルメンよりもひたすら元気で気の強いキトリのほうが彼女に合っているように思います。扇を持ったキトリのヴァリエーションは音と戯れるように、ひょいひょいと手足を自由に使って、いかにも簡単そうに一つ一つのポーズを決めてくれるので、見ていて気持ちが良いですね。最後のフェッテはやはり軸のぶれない美しいものだったので、さすが! という感じです。会場も盛り上がり、拍手が鳴り止まず、もう一度、回り始めたので、本当凄いなと感動しました。二度目のフェッテをはじめる前に、舞台中央に立って、指揮者を促すように頷いてみせたのが印象的でした。さすがに二回目だけあって危なっかしいところもありましたが、最後はきれいにきめてくるあたり、さすがステパネンコです。会場の盛り上がりも最高潮に達し、うおーという感じの叫びが聞こえました。その後、ウヴァーロフも「よしっ俺も回るぞ!」といった感じで、勢い良く回っていたのもすてきでした。やはりステパネンコのガラだからか、ウヴァーロフは気合が入っているように見えました。 三幕終了後のカーテンコールでは、ステパネンコにたくさんのお花が贈られ、舞台にも直接カーネーションが投げ込まれていました。 さすがステパネンコ! といった感じで華やかで、とても楽しいガラコンサートでした。微妙に出演者に気合を感じない場面も多々ありましたが(疲れていたのでしょうか)、全体的にはとても良かったと思います。会場も熱気にあふれ、凄く沸いていましたし、公演後も楽しくて自然と顔がほころんでしまうすてきな公演でした。最高のコンディション、とまでは言えないと思いますが、今の彼女の中ではかなり調子の良い状態での舞台だったと思います。 その後ステパネンコは、5月9日の「レ・シルフィード」にキャスティングされていたのが、前日あたりにキャンセルになり、 19日にツィスカリーゼと「ラ・シルフィード」を踊っていました。やはり全幕ものはなかなか体力的にきついのかもしれませんが、今回のガラコンサートは、もっともっと彼女を見たい、まだ彼女には踊っていてほしい、と見る人に自然に思わせる本当に良いものだったと思います。



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9 コメント

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ドン・キホーテ (アリーナ)
2007-05-24 09:29:57
ウヴァーロフの調子も良さそうですね。
6月末の新国立の来日が楽しみです。
ザハロワ&ウヴァーロフの30日のチケットはもう売り切れです。
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Unknown (YUMMY)
2007-05-24 21:23:41
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています!
写真もとても素敵ですね!
こちらはロンドンでの8月の公演を楽しみに待っているところです。
ドンキが特に大好きで、全日程見に行きます。
ウバーロフの復帰に大喜び中です。
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ドンキ (管理人)
2007-05-25 05:27:11
アリーナさん
日本公演も楽しみですね。

YUMMYさん
初めまして。LONDON公演をご覧になるということはLONDONにお住まいでしょうか。LONDONからモスクワのブログをご覧頂きありがとうございます。
3週間の公演ですよね。夏のモスクワは蛻の殻です。。
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ロンドン! (Nana)
2007-05-26 01:56:20
皆様、こんにちは。

YUMMY様。はじめまして。
ボリショイのロンドン公演に行かれるのですか!
う、羨ましい~!!もしも気が向かれたら、その際こちらにも様子を一言コメント下されば、大変有難く思います。(管理人様のモスクワ滞在がまだ続きここがあれば、ですが。)

管理人様、ステパネンコガラ1~3、レポに写真まであって嬉しかったです。管理人様のおかげでもあるのですが。寄稿の方にも、お礼を伝えて戴ければ幸いです。これだけ隅々まで目配りの利いたレポは、なかなかお目にかかれるものではないですから。舞台の様子がよくわかりました。

ステパネンコが大事なトリのパートナーに選んだのが、やっぱりウヴァーロフで、嬉しい~(泣)このペアは世界バレエフェスでは「ボリショイの黄金コンビ」として人気があります。ステパネンコ、クレフツォフの「カルメン」どこかの動画でだけ見ましたが、しっとりした情感で、このコンビは例えて言うなら「恋人というより夫婦」のようなペア、かな。ハラハラどきどき感より安定感があって安心して見ていられます。私たちが日本で見たステパネンコのカルメン(部分の抜粋)よりも、この日のカルメンの方が充実した舞台だったことが伺われる臨場感あるカテコ写真でした。プリセツカヤ「カルメン」手持ち映像では、60歳代なので・・・それを思えばステパネンコ充分若い・・。
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レポ (管理人)
2007-05-26 13:30:54
Nanaさん
素晴らしいレポですよね。
なかなか こうは行きませんよね。
YummYさんかどなたかのLondon公演寄稿も是非
お願いしたいところですね。
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お礼 (shushu)
2007-06-05 00:39:15
管理人様

ステパネンコガラのレポ&写真、ありがとうございます!寄稿して下さった方にもお礼をお伝え下さい。あー、ウヴァーロフとのペアをもう一度日本でも見たい、とJAにメールしておきたいくらいです。
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お礼 (管理人)
2007-06-05 04:49:04
Shushuさん
了解です。
ということで今日は追加のマリインスキー客演の感想をUpしました。
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ステパネンコ&ウヴァーロフ (Nana)
2007-06-07 14:48:21
こんにちは。
↑のコメント、時折聞くご意見なのですが、
sysyu様は、ステパネンコ&ウヴァーロフの「ドンキ」がお好きなのか、それともこのコンビがお好きなのかどっちかなと考えました。

彼らの「ドン・キ」特に全幕は、好演度が安定していて人に勧めやすいです。(除:この二人が趣味じゃない人)ステパネンコが正統派のヒロインを踊る演目は日によって叙情性にむらがあり、人に勧めてはいないのですが、自分は、もしかしたら最後のステパネンコ、ウヴァーロフの「バヤデルカ」(3幕抜粋)になるかもしれない、というものを数年前に寄せ集めのガラコンで見ました。

これが、思ったより良くって。
ステパネンコが世界バレエフェスで「バヤデルカ」3幕踊った時よりいい踊りでした。髪の結い方も違って、この日はきれいだったし(普通の耳隠してシニョン)。近い時期のボリショイ日本公演のグラチョーワ、ザハロワ、アラーシュに比べても、他国プリマと比べても「バヤデルカ3幕は本来こう踊る」というものを技術的に一番きちんと見せてくれました。(といってもガラで部分だし、相手役がプリマのサポート役で評価の高いウヴァーロフでもあり、一概に3人のプリマと比較することは出来ませんが。)

ウヴァーロフも踊りなれたソロルで二人の踊りの安定感はあって当たり前。今まで自分の見た日はこのペアは、二人の叙情性がもっとあればとジレンマで。ウヴァーロフは叙情性ではデビュー当初から高い評価を得ており、彼が踊るならこれ以上を見たかった。

この日は二人の叙情性、演技と言うのか二人の交流のある表現が見られてステパネンコも技術だけには見えなかったし、ちょっとじんわり感動したのです。

ただ、客席の拍手は昔のグラチョーワ、ウヴァーロフのような派手さはなくて、ま、ガラコンだからと思うけど、ステパネンコのどこが悪いのかと、ちょっと考えてしまいました。
芸術には上には上があるけれど、今のバレエシーンで、あの日の「バヤデルカ3幕」位、正統派でやるべきことをやってる舞台は希少価値があるので、自分的には充分満足でした。

若い時のグラチョーワのニキヤが甘美なムードの美人で、この日のステパネンコはもっとシックな美人と言う感じでした。彼女のイメージ「気丈さ」はこの日のニキヤ像にはなく、たおやかに美しい正統派ヒロイン。(彼女はメークがいい日と悪い日があり、いつも気になってるのですが。このブログのドンキのメークは自分的にはいまいちの日。これよりきれいでした。ザハロワが発言してた通りメークは大事)

ウヴァーロフのソロルも昔グラチョーワと踊ってた時は上体の使い方がもっと曲線的で、少し上背のあるステパネンコと踊る時はラインの描き方がやや直線的にシフトするかなと思って見てたけど。

清らかでしっとりした情感を見せてくれた二人のバヤデルカ。翌日からは「ステパネンコの脚の不調」で演目が変更になり、この日1日しか踊られず、偶然貴重なものを見ました。以前ボリショイで踊られたステパネンコの「白鳥」の感想を又聞きすると、やっぱり情感というか感動がまあまあ、という意見もあるので冒険ですが。私は画像レベルなら、白いバレエでしっかり演技していて面白いステパネンコ、ウヴァーロフも見たことがあるので、このコンビ、「ドンキ」系が無難だけど、叙情的なのもいい時はあるのかも。公演は生ものなので、出たとこ勝負ですが。

二人の「ドンキ」は安心して見ていられます。
同じウヴァーロフ@バジルでも、相手により、舞台の広さにより、若干趣が変わるようです。

私は、ウヴァーロフはステパネンコと「ドンキ」踊ってる時は、闊達でデフォルメすると少年のようなメンタリティを感じるのですが。思う存分、舞台狭しと暴れ回る感じ。身体を大きく使って、ジャンプもタンバリン叩きも、やりまくってるし。どこへとんでいくか判らないような所があります。

ザハロワ相手だと、私が見た舞台が新国立で狭く、得意のジャンプ全開できない制約もありますが、その分演劇的に凝ってるのと、年下の美人のキトリ役で、しかも根は男性を頼る気のあるザハロワ。性格もフェミニンなザハロワを支え、盛り立てて、なんだかザハロワと踊るとウヴァーロフが男らしく見えてしまうのです。キャラだけでも少年っぽいのと大人の包容力を見せて男性的(彼にしては)なのと。二人のキトリで変わるウヴァ@バジル。
踊り方もちと違うし、私はどっちも好きなんですが。

どっちか一方のファン、と言う方も色々いらっしゃるのでしょうね。
アナニアシヴィリも比較すると、浮気シーンの怒り方が差があったり、面白いです。
ステパネンコのキトリは、浮気されてもあまり怒ってるように見えず、ウヴァのバジルが好きなので許しちゃうみたいで笑えました。ニーナは怒ってバジルの肩を扇で強~くぶってて恐かった。(彼女の故郷では既婚男性は浮気しちゃいけないとか?)ザハロワは二人の中間位。

ステパネンコ&ウヴァーロフ、語ればネタ尽きないです。通訳さんが「稽古熱心で廊下でまで仕事の議論してた」といっていて。だからあれほど息があった踊りができるんだと納得。リフト上でのライモンダの体の描く直線的なラインも、背面の柔らかさを見せて曲線的なザハロワの時と見せ方が違うなと感心してました。それぞれのパートナーの良い所を見せようと、ウヴァーロフがプリマ達と工夫してるのが偲ばれます。
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ステパネンコ&ウヴァーロフ (管理人)
2007-06-08 03:17:40
Nanaさん
何時もながらの詳細なコメント深謝。
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