ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ボリショイ ロンドン公演 15 Aug 「La Corsaire(海賊)」

2007年08月22日 | Weblog

M特派員の寄稿です。

ザハロワの写真素敵ですね。

 

ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum

15 Aug 2007 夜公演

La Corsaire(海賊)

メドーラ:スヴェトラーナ・ザハロワ

コンラッド:デニス・マトヴィエンコ

ビルバント:ヴィタリー・ビクティミロフ

ガルナーレ:エカテリーナ・シプリナ

新作「海賊」の最終はザハロワとマトヴィエンコ組みで幕を閉じた。「Bright Stream」に出ない2人は、明日の便で一足先にモスクワに帰ってしまう組・・・

ずっと舞台からごく近い所で「海賊」を観てきたので、この日は上の階で観た。上から見たほうが、狭すぎると思っていた舞台も奥行きが感じられ、特に2幕目の花環や花壇の場面が美しかった。群舞は上から見るに限ると思えた。

最も、マイムの非常に多いバレエなので、詳細な動きや表情はどうしても見づらくなるのは残念だが・・・ 色々な角度や距離から見て、初めて演目が全体として把握できてきた。また、いつも気になっていた舞台裾のざわつきや音も聞こえないので、演目に集中できる。

ザハロワ、マトヴィエンコは期待通りに踊ってくれる。プラスαは出てこなかったと思うが、ベテラン組みのゆとりある踊りとザハロワのパールのような美しさに改めて感嘆!

2幕目の白いコットンのようなチュチュの彼女が非常に上品で素敵だが、この演目では12場の洞窟隠れ家で乾杯の音頭をとるラッパを持ちながら踊るザハロワが一番気に入った。この一瞬のみ民族衣装のような帽子を被り、普段はキャラクター・ダンサーが踊るようなフォーク・ダンスを披露してくれる。少年のようにイメージが変わり、元気に楽しげに踊ってくれる、普段とは全く別のザハロワが見れる。また、最後にロシア語で一言セリフを言うのだが(「乾杯!」と言っている??)、その複式発声も、アレクサンドローワやルンキナがするよりも力強く太い声で、頼もしい。

パ・ド・ドゥでは今回のロンドン公演で最後のポーズをずっとキメられなかったワシリーエフ君も、この日はやっとミス無く、アクシデントも無く大成功。何度見ても笑顔が印象的。

先日も話題にしたアンナ・レオノワ・・・ この日は昼も夜もパ・ド・トロワで3番目のヴァリエーションを踊ったが、2公演とも大きくよろけたり、最後のポーズも踏み外してグラグラしたり、観客から「Oh…!」と言う声も上がったほど、散々! 素人目に見ても、プロの舞台でこれほどひどいヴァリエーションは見たことがない。また、救いようも無い硬い&コワイ表情なので、ミスをごまかしようもなかった・・・せめて笑顔さえできれば・・・!他のダンサー達や先生達の彼女に対する心境はいかなるものか・・・?

2幕目では、ザハロワにしては珍しく花環を2回踏んでしまったり、ポワントなので少しヒヤッとした部分もあったが、2&3幕目はシプリナも含めて、「大人」の舞台で優美に納まっていた。何度観ても良くできていると思う最後の船のセット、豪華な衣装、ヤニン、ロパレヴィッチ、シマチェフ(イゴール)らの名演技などなど、忘れがたい要素のたくさん盛り込まれた演目であった。ラトマンスキーのかねての希望をかなえた舞台芸術の探求は、ドタバタ劇になりがちの複雑なストーリーを解釈しやすいものにし、かつ、古典の要素も盛り込んで、ロンドンの舞台で成功を収めた



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