男3人でオーストラリア、ケアンズへ。
出発前夜にビザをとっていないということに気づき、もう終わったかと思ったが、間一髪ギリギリセーフ。
宿は押さえているものの、その他はもちろんノープラン。
飛行機はもちろんLCC。
機体の発する不穏な音と共に、男たちの怪しい旅が幕を開けた。
<初日>
5:00 Cairns Airport 着
空港は思った以上に小さく、そして眠い。
機内でシートを3つ使って横に寝るという技を駆使したが、それでもなお眠い。
着いたところでさあ寝ようか、ともならず、かといってバスもないので、とぼとぼ歩き始めた。
宿まではざっと5km。まあ暇だし。道真っ直ぐだし。
適温だし。
空港からの道に歩道という概念はどうやらないらしく、広い路肩をコロコロしながら歩く。
鳥の鳴き声が耳に心地よく、朝日が目に心地よい。
自転車が通るたびに横にずれて道を譲っていたが、3人目のローディーに
“Fucking Guys! ”
と言われた。開始10分。さすがに早すぎる。
気にせず、いや気にはなるものの、再びとぼとぼ歩いていると、逆車線のタクシーに声をかけられた。
大人しくカモになるのも嫌なので、
「僕らは歩いて街に向かうのです」「便利だからそれでいいという訳ではないのです」
的なオーラを出したものの、目の前に回り込まれて止まられた。
仕方なく乗り込む。
道なき道を歩く努力はしたし、朝一で見知らぬ外人からクソ野郎と言われたし、もうそろそろいいんじゃないか、というのが心のどこかにあったのかもしれない。
とにもかくにも僕らはタクシーに乗った。
そしていくらかかるのか、ぼったくられやしないかと内心ビビっていた。
海外で値段交渉をしないでタクシーに乗るのはタブーだからだ。
少なくともインドではそうだった。マレーシアでも必ず交渉はしていた。
車内では運転手が何か言っているものの、あまりよく聞き取れない。
でもネイティブに向かって、「英語下手ですね」ともさすがに言えない。
唯一分かったのは、「空港から宿まで遠いのは知ってるんですが、あえて歩こうと思いまして。チャレンジです!」と後輩が嬉しそうに言った冗談が通じなかったことぐらい。
英語は通じていたものの、何をそんなに嬉しそうに喋っているのかが分からなかったんだろう。
冷静に考えると確かに意味が分からない。
「この辺でいいか」
と言われ、タクシーが止まり、さあ来い、いくらなんだ、言ってみやがれと意気込んでいると
「お金はいらないよ」と言うのではないか。
えっ、えっ。と思っている間に、じゃあねと言ってタクシーは行ってしまった。
ぎこちなく、サンキューとしか言いようがなかった。
いきなりオーストラリアに一発かまされた。
運転手さん、疑ってごめんなさい。
そんなこんなで、朝早くに街に到着してしまい、難民のようにさまよい、ホテルに12時にチェックイン。ゆっくり眠った。
再び街にでてフラフラしたところで一日が終了。
相変わらずノープランの中、翌日自転車を借りることだけが決まった。
ちなみにご飯は昼も夜も自炊。
三人寄れば文殊の知恵ではないが、それなりに役割分担ができ、男三人でも案外スムーズに行くのだ。
このまま旅もスムーズに行けばいいけど、スムーズに行ったらそれはもはや旅ではない気もする。。
街にジュゴンがいた 昼からこしらえる