むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

風に 流れて

2012年04月21日 | こころ
先週の日曜日に植えた野菜の苗が、昨日の温い雨を浴びて、ピンと葉を広げています。

まだ、ミニトマトや茄子も植えようと思いますが、まずは第一弾。



左上から右下へ、トレビス(赤いレタス)、ねぎ、イタリアンパセリ、ラグビーすいか、水菜。


おとといは、さっそく採れたてイタリアンパセリと水菜を使ってアボカドサンドを作り、先日お花見をした公園に行ってきました
と、あの日、牧場脇の部屋の隅に横たわり、荒い息をしていたお腹の大きなおかあさんから、6ぴきのうす桃色のこぶたちゃんが誕生して、みんなで寄り添っていました
おめでとう 

「かわいいなぁ。成長をたしかめに、また来よう。」
と、おっぱいをもらうのに夢中のぶーちゃんたちに手を振って、蔵造りの静謐な、お気に入りカフェへ。

玉砂利の整えられた中庭には、今、新芽がにょきにょき伸びてきている梅の木があり、そこを囲うガラスの壁沿いにテーブルが並んでいます。

梅の正面には長いカウンターがあり、コーヒーを注文をすると、その端で、ずらりと並んだコーヒーカップの棚を背に、若いマスターが一杯ずつ、美しくドリップしてくれるのです。

本を読みながら、ちょっと休憩
そうして顔を上げると、四季折々の梅の表情と、風の音に気づきます。

そう。ここでは、高い天井のファンからテーブルの間へ、いつもうっすらと風が流れているのです。
そのせいか、どんなににぎわっている時でも、外とつながっているような、なごやかな開放感があります。


そんなで思い出すのは、以前、バリ島で借りていた家の洗面所。

そこはいつも、周りの田んぼからやってきた温かいそよ風が、お庭からリビングを横切り、玄関に吹きぬける通り道でした。
絵に描いたら、きっと、化粧水のビンに手を伸ばした指の間にも、水色の線がスーッと引かれていくでしょう。
立っていると、一輪のタンポポになって揺れてるような心地がします。

道を挟んだ裏の家からは、庭先でジェゴグ(竹の打楽器)を「ポコポコポコ」と練習する、ほんわかな演奏が聞こえていて、キッチンからは、シェアハウスをしていた、バリのお隣ロンボク島出身の女の子が、ナシゴレン(インドネシア風チャーハン)を炒めてくれる油の弾ける音が響いていました。


最近、この「風を感じる」と、桜がはらはら舞うように、いつしか心も、ほろほろほぐれているのに気づきます。
日常で思考を巡らせたり、何かにギュッと集中した後、それは、心になって、また中庸へと針を戻す、ひとつの方法だなと思います。


この夜、コンビニへ丘を下っていると、今年初めての虫の音を耳にしました。
まだ控えめな声ですが、
「あぁ、もう初夏が近づいてきてるのね~」
と周りを見渡し、視界の開けた中腹で、空をあおぎました。

耳元を過ぎる南風がゴォォーと鳴り、チラチラ輝く砂粒のような星がすぐそこに見えました。
ささやかなものは、激しいものからは想像のつかない、地球を動かす力を持っているのだ。
と、この頃思うのです。



                           かうんせりんぐ かふぇ さやん     http://さやん.com/







コメント (2)
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