歴史の中の日本 司馬遼太郎

2008年11月18日 | 読書
かなり古い文庫本がずうっと近いところの本棚に並んでいた。
紙の一枚一枚が濃い黄土色に変色している。
昭和51年9月10日初版で、56年3月20日の9版である。

作者の後書きの日付は49年3月29日だから、
自分が会社に入って一年経過した頃ということになる。
自分が24歳、今から34年前に書かれたものである。

じっくりと本当にじっくりと資料を調べ、
さらにじっくりと思索を重ねて司馬史観は出来上がっている、と思う。

日露戦争に勝ったことによって日本は道を踏み誤ってしまった。
西欧諸国が400年ぐらいかけて進んできた帝国主義の時代に、
わずか30年ぐらいで追いついたような気になり、
日本人は神に守られた優秀な民族だと思い込んでしまった、という事なのだ。
世の中全体がそんな方向へ進んでしまい、
客観的に冷静に自分の国の力を知ることが出来なくなってしまった時代。

翻って、今の時代状況を考えてみると、
常に流行り物に振り回されて、
皆が同じ方向に突進しては、行き止まりに突き当たり、
また、皆が同じように方向転換をして、別の同一方向にまた突き進む。
愚かしいことの繰り返しをしているような気がする。

普遍の基準、コモンセンスという尺度で、
目の前に現われる現象を測ってみる習慣を持つ事が、一番大事な事ではないか。
そのコモンセンスは如何にしたら身に付くのか?
冷静にじっくりと物事を見つめて、慌てず出来るだけ穏やかな判断を下す。
とりあえず、いろんな本をゆっくりと考えながら、
著者に一方的に取り込まれることなく読み進んでみよう。

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