【獅子吼983号(2021年3月)掲載】
絶対零度(31句) 大野鵠士
【季語】 【時期】
一目見てそれと知らるる祝箸 祝箸 新年上
口裂ける程に笑ひて米こぼす 米(よね)こぼす 新年上
※「米こぼす」三が日に涙を流して泣くこと。
めでたい正月に涙を流すことを忌み嫌うために、涙を米粒に見立てて言いかえた正月の季詞。
松取れぬ内なりけるを夕霧忌 夕霧忌 新年上(一月六日)
足の指霜焼を句に詠めと言ふ 霜焼 晩冬
親に似る形の七日爪を切る 七日爪 新年上
冬雲の底に色映ゆ夜の噴火 冬雲 三冬
寒四郎始発電車は地に響く 寒四郎 晩冬
福耳を半分隠す毛糸帽 毛糸帽 三冬
ソクラテスめく横顔の寒鯉は 寒鯉 晩冬
冬の虹消えて山河の残りける 冬の虹 三冬
方寸に天地住まはせ寒九郎 寒九郎 晩冬
小正月坊主めくりも懐かしき 小正月 新年中
垂るる水洟垂るる水洟蜘蛛の糸 水洟 三冬
凩や石の並びも七五三 凩 初冬
ストーブが油欲しいと無く真夜ぞ ストーブ 三冬
ウイルスに顔を失ひ木の葉髪 木の葉髪 初冬
幽明の境アクリル板寒し 寒し 三冬
ハライソは冬夕焼のあのあたり 冬夕焼 三冬
婆曰く今宵関東煮よろし 関東煮 三冬
雪催ポストの喉は真暗闇 雪催 三冬
伊吹颪夜すがら雨戸叩く音 伊吹颪 三冬
幻聴にアダモの歌や夜の雪 雪 三冬
雪女来そうな夜なり錠鎖さず 雪女 晩冬
目を閉ぢて机の上も枯野なる 枯野 三冬
寒夕焼絶対零度てふ温度 寒夕焼 三冬
怒涛に身投ずる形水仙花 水仙花 晩冬
冬さうび永久の眠りの夢如何に 冬さうび 三冬
日向なるプラットホーム冬雀 冬雀 晩冬
善哉を食べて別るる寒の雨 寒の雨 晩冬
日差しかく明るし春は隣まで 春隣 晩冬
鬼の豆口に分別失せにけり 鬼の豆 晩冬
絶対零度(31句) 大野鵠士
【季語】 【時期】
一目見てそれと知らるる祝箸 祝箸 新年上
口裂ける程に笑ひて米こぼす 米(よね)こぼす 新年上
※「米こぼす」三が日に涙を流して泣くこと。
めでたい正月に涙を流すことを忌み嫌うために、涙を米粒に見立てて言いかえた正月の季詞。
松取れぬ内なりけるを夕霧忌 夕霧忌 新年上(一月六日)
足の指霜焼を句に詠めと言ふ 霜焼 晩冬
親に似る形の七日爪を切る 七日爪 新年上
冬雲の底に色映ゆ夜の噴火 冬雲 三冬
寒四郎始発電車は地に響く 寒四郎 晩冬
福耳を半分隠す毛糸帽 毛糸帽 三冬
ソクラテスめく横顔の寒鯉は 寒鯉 晩冬
冬の虹消えて山河の残りける 冬の虹 三冬
方寸に天地住まはせ寒九郎 寒九郎 晩冬
小正月坊主めくりも懐かしき 小正月 新年中
垂るる水洟垂るる水洟蜘蛛の糸 水洟 三冬
凩や石の並びも七五三 凩 初冬
ストーブが油欲しいと無く真夜ぞ ストーブ 三冬
ウイルスに顔を失ひ木の葉髪 木の葉髪 初冬
幽明の境アクリル板寒し 寒し 三冬
ハライソは冬夕焼のあのあたり 冬夕焼 三冬
婆曰く今宵関東煮よろし 関東煮 三冬
雪催ポストの喉は真暗闇 雪催 三冬
伊吹颪夜すがら雨戸叩く音 伊吹颪 三冬
幻聴にアダモの歌や夜の雪 雪 三冬
雪女来そうな夜なり錠鎖さず 雪女 晩冬
目を閉ぢて机の上も枯野なる 枯野 三冬
寒夕焼絶対零度てふ温度 寒夕焼 三冬
怒涛に身投ずる形水仙花 水仙花 晩冬
冬さうび永久の眠りの夢如何に 冬さうび 三冬
日向なるプラットホーム冬雀 冬雀 晩冬
善哉を食べて別るる寒の雨 寒の雨 晩冬
日差しかく明るし春は隣まで 春隣 晩冬
鬼の豆口に分別失せにけり 鬼の豆 晩冬
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