PBP1200ｋｍ

雨スタートは、一昨年の一宮1000ｋｍブルベを思い出した。
あの時は数時間で雨は止み、星空の下を走った。今回は．．．．止まない。
ここから９０時間の記憶を辿っても話は長くなるばかり。
９０時間を振り返って・・・

雨に濡れた田舎道にはとっても大きなナメクジが沢山いた。（10Ｃｍ程はあった）
確実にゆっくりと道路を横断していくが、５千台以上のバイクが走るこの夜に出てきたのは運が悪いと言うしかない。大半がつぶされたり、胴体の真ん中から真っ二つになっている物も．．．

フランスの田舎道に平坦路は一切無い、日本では広域農道という物があるが、この農道をギュイーンと引っ張って１０倍の長さにしたような感じ。つまり斜度は決してキツクは無いけど、だらだらと登り、下りもだらだらと真直ぐに下るだけ。下りのコーナーが楽しいなんて事は一箇所も無かったな。
で、そんな道を1200ｋｍだよ、嫌になる。ましてや天気は悪い。本当に辛かったよ。

街と街の間に外灯等の明かりは一切なしで、真っ暗闇だ。ナメクジを踏まないよう路面をランプで照らし、気を張りながら進むけど、兎に角眠くなる。一瞬意識が無くなるのが解る。
こうなると危ないです。大声で歌ったり、ストレッチしながらなんとか気を紛らわせ進めるだけ先に進む。真っ暗闇の畑道で寝ることは不可能、街へ入って寝られそうな場所を見つけ、寝るしかないが、今回は800ｋｍを過ぎた辺りで一度寝ただけで済んだな。ま、ＣＰでは必ず寝たからね♪

補給食だが、日本で買い込んだ物をスタートからルーディアックまでの450ｋｍ分をパニアバックに用意した。ルーディアックにはドロップバックで補給食をたらふく用意している。
しかし、食べたのはスタートから最初のＣＰMortagneまでの140ｋｍかな、その後は80ｋｍ程でCPが設置され、レストランが併設されていてタップリと食べる事が出来た。
パンを余分に買い、ハムやらチーズを挟み、背中のポケットに入れる。この補給食が最高に良かった。と言う事で大量に買い込んだジャパニーズ補給食はほとんど消費されずに日本へ持ち帰った。
重いものをフランス往復させてしまった事が最大の失敗だ！

外国人は絶対にタフだと思う。気温に対してタフ、精神的にもタフだね。
雨が降っても、そのままの格好で走り続けるライダーが多かった。
一人で走っている外人さんってあまりいなかったかな？
日本人は単独走が多かったけど。
女性が多かったと思う。そして彼女達はみんな強い！
太っている人も多いけど、決して弱っていないね、ガシガシとペダルを踏んでいる。ま、上り坂は相当遅いけど。
酒井さん体型なんか、ぜんぜんオーケーさ！　酒井さんに似た人が沢山いたように思うな♪
頑張れ！酒井！君にも坂は登れるゼイ♪

外国人に声を掛けられる、握手を求められた♪　最高の気分だね♪
長い上り坂を一気に登って行く、心拍を上げ全力で進む、ごぼう抜き、力を落とさずにそのままピークを目指し、最大心拍はここで出すぞ！ってな感じで登った坂。
そしたら、後ろから付いてきた何処の国か解らなかったけど、最後まで俺を抜けなかったらしく、「ナイスファイター！」と、俺に親指を立て、握手をした。

CPクローズタイムが迫っていて、たぶん最終CPに向かった時だ。
34ｋｍ/ｈ程で単独で走っていた時、後ろにデッカイ外人さんが付いているのに気づき、辛かったけど速度を下げずに坂を登り、下り。頑張ったが長続きは出来ない。なんといっても1000ｋｍを走った後の事。チョビット疲れたかな？と思った瞬間、そのデッカイ外人が前に出た。
チャンス到来！　デッカイ外人の後ろは無風！　いやー楽チン楽チン♪
スピードは38ｋｍ/ｈを維持している。このまま行ければ楽勝でCPに到着だ。
で、先頭交代の番。更に加速で43ｋｍ/ｈで引く。その後はこの速度帯で先頭交代しながら進んだ。
すると、ジャパンジャージが一人交代に参加してくれた。３人で回しながら暫く走ったけど、だんだん疲れてきて、これ以上は無理。「君は強いね、サンキュウ！」といって（英語で）アッサリ切れました。
CPでコントロールチェックを終えレストランで食事していたら、さっきの外人さんも近くで食事をしていた。僕を見て手を挙げニコニコしながら何か言っている。何を言っていたのか、良く解らなかったけど、さっきは面白かったなと言った筈だ。

最終CPを出て、ゴールに向かう途中、道端には完走を祝福してくれる村の人たちが沢山いる。
「チャンピオーネ！」の声がやたらと聞こえた。嬉しい、感動モンだ。

何処のCPに行っても必ずジャポネ！　日本人は目立つのか？
日本人のいないCPは一箇所も無かった。何処へ行っても誰かがいた。当然一緒に食事したり雑談したり．．．これも楽しかったなー、でも眠い、CPでは食事の後必ず寝た。居眠りだけど。

今回完璧に晴れたのはブレスト近辺のみだった。お陰で最高のブレストを見られたかな。
ブレストに架かる橋、秩父の橋に似たデザイン、でも何となく細く、頼りなく思い平山さんに聞いたところ「俺の仲間が設計したんだよ、フランスは地震が無いからあれでオーケーなのさ」だってさ。

完走のリミットは２４日１５時３０分で、僕達はスタートが１時間送れ、１６時半がリミットだ。
でも、きちんとしたタイム内でCPも通過、ゴールも３時半までにしたいと思った。
結局ゴールタイムは１５時２５分！　素晴らしい！５分前のゴールである。
最高のコストパフォーマンス♪

ゴール地点では「お帰り！」の声、そして拍手がイッパイ聞こえた。これには感動したね。
コントロールでも「チャンピオーネ！」の声が聞こえた。とても気持ちいい時間だ。
この感動はココでしか味わう事は出来そうにない。日本では考えられない事だね。

ブルベの走り方を考えた。
外人さん達は集団での走行が多い。たまに単独もいたけど．．
集団で走り、カフェへ入って食事したり休憩をしている。とても楽しそうだ。
日本人は、ほとんどがソロ、若しくは２人。俺達は最低４人で走っていたけどね。
やはり、ブルベは４～５人のグループで走りたいな、絶対にそのほうが楽しいと思う。
それに安全だとも思う、何かあったらどうするの？
そんな中、平山さんはゴール直前でミスコースで、一晩中走り回ったそうだ。可哀想．．．
日本のブルベも、楽しくさ♪　集団で走りましょうよ♪