PCが描く奇妙な画像集(数学的万華鏡と生物形態等の世界)

・インタープリタBASICによるフラクタルとカオスの奇妙な画集。

011. 「放散虫」:Z^n+C 画像について。但しn=正整数、C=実定数 の場合。

2014-06-14 15:44:04 | ジュリィア集合の変形:Z^s+C

Z^n+C 画像(但しn=正整数、C=実定数)画像例を以下に示す。

1図

2図

3図

2図は1図の拡大図(「内臓部」)である。
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これらの図の画像作成条件の概略は以下のとおり。
1.N-loop脱出条件:X^2+Y^2>100
2.pset条件:|X|<10 or |Y|<10
3.色:C=No mod 16 (NoはN-loop脱出時のN値)
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上図から分かるように『Z^n+C (n:正整数 ,C:実数)の画像は『同形なn個の画像から構成されている。』
この『・・・』の命題が正しければ、このような画像の分析は、n個のうちの1つの画像を調べれば其の調査結果は其の画像全体についての結果になる。 この記事の後で、ちょっとした画像分析をしたいと思っているので、『・・・』が正しいかどうかを調べる。
この程度の問題なら私でも解けそうだ。そこで、昔々の学生時代を偲びつつ証明しよう。
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[命題]
『nが正整数、Cが実定数のとき、複素関数:Z^n+Cの“放散虫”の画像は、原点を中心とした扇状にn分割された各領域で、同一な画像から成立している。』

[証明]
複素平面を原点(0,0)を中心として扇状に、同じ大きさにn分割する。第1番目の分割領域内の点(X,Y)を極座標表(R,θ)表示すると、Z=X+iY=R*e^iθとなる。ここで、R=(X^2+Y^2)^0.5, θ=arctan(Y/X)である。

次に、任意の正整数をm ( < n ) とし、第m番目の分割領域について考える。 Rを一定値にしてθを(2π/n)*m (radian) 回転させると、点(X,Y)は、第m番目の分割領域に移動する。その点を(Xm,Ym)とすると、その点は、Z=Xm+iYm=R*e^i(θ+(2*π/n)*m)となる。

ここで、Z^nを、分割領域1及び分割領域mについて求めてみる。

分割領域1では、Z=R^n*e^i(n*θ)となる。
次に分割領域mでは、Z=(R*e^i(θ+(2*π/n)*m))^n=(R^n)*(e^i((θ+2*π/n)*m*n)=(R^n)*(e^i(n*θ))*e^(i*m*2*π) = (R^n)*e^i(n*θ)(cos(2*m*π)+i*sin(2*m*π)=(R^n)*e^i(n*θ)となり、領域1でのZ^nと一致する。 
(注:cos(2*m*π)=1, sin(2*m*π)=0)

従って、Rを固定値としたとき、領域1と領域mでのZ^n値は全く一致するため、それらの領域での、点(X,Y)と点(Xm,Ym)の挙動は全て一致する。故に、これらの挙動の結果生ずる、任意の条件化下の図形表示は、n分割された領域のそれぞれで、全て一致することになる。

(補足:画像全体の作成手順の概要は、始めRを初期値に固定しθ=0→2πと変化させて計算し、次にRを次の値に固定し、θ=0→2πと変化させて計算する。これを繰り返す)
以上より、複素関数:Z^n+C の図形は、原点を中心としてn分割された領域で、全く同一の画像から構成されることになる。
(証明終り)

なお、この証明の正しさを確認するため、Z^3の場合について、N-loopの入出力での点(X,Y)の軌跡を調べた。その件については、このブログの後の記事で掲載する予定。

010. cosZと言う名の噴火連山

2014-06-14 10:01:05 | ジュリィア集合の変形:f(Z)+ C
以下の画像は歪んだ同心円が重なった模様が或る規則性をもって並んでいるユニークな画像である。
これらの画像の同心円模様を連山に見立てると、その連山の各々の頂から黒い噴煙が出ているようにも見える。
各々連山からの噴煙が一つの“かたまり”になっている様子は、いかにも、現実の火山の噴煙を連想させる。
この噴煙のようなモノは、一体、なにを意味しているのだろうか? (各図の画像作成条件については最後に書いておく。)






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画像作成条件は以下のとおり。
1. 複素関数:f(Z)=cosZ+0.5
2. 1図の表示画像座標値:横軸(Xi)=-π~+π 縦軸(Yi):-0.75π~+0.75π
3. N-loop脱出条件:Q=tan(X*Y)として、(|Q|>100 or |Q|<0.01)ならば脱出する。
4. Pset条件:N-loop脱出(N=Noとする)後、(|X|<10 or |Y|<10)ならばpsetする。
色:C=No mod 16,C=7→8 とする。
5. Nmax=100 とし、N-loop貫通時は C=0(黒)とする。
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以下、画像についての説明。

3図から5図から推定できることは以下のことである。

『“噴火点”近くの画像は、その画像の大きさ(スケール)を変えても、画像は変わらない』ということ。

つまり噴火点近くの画像はフラクタルな画像となっていて、おそらく、この噴火点近くの画像は、N-loopのNmaxを、随時、大きくしていけば、永遠に自己相似な画像が続いていくと思われる。

画像の色から分かるように“噴火点”に接近するにつれて、N-loopを脱出するに必要なN値が1ずつ増加している。
(其れは各図の右上に示した色コードから分かる)

従って、『噴火点そのものは、N-loopを脱出するためのN値が無限大となるような、複素平面の特異点である』と言えそうだ。

ともあれ、これらの画像が、単純な計算フルゴリズムから創造されている、純然たる数学上の図形であることを思うと、なにか不思議な感じがする。

数学上の図形というと、三角形だの楕円だのといった、ただただ規則的で単純・無機質・無愛想で、画像としては、すぐ飽きてくるようなツマラナイものと思ってしまいがちだが、いやいや、なかなかどうして、そんなものではないと痛感する。

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1図の作成のBASIC/98のプログラムを下記しておく。

10 REM cosZと言う名の噴火連山の親
20 REM 横軸(K):640 dots、縦軸(J):480 dots
21 CHAIN MERGE "C:BASICPROSUBRCOLOR右上表示.BAS",60,ALL
60 CHAIN MERGE "C:BASICPROSUBRKOSHIKI.BAS",90,ALL
90 CHAIN MERGE "C:BASICPROSUBRER1.BAS",100,ALL
100 ON ERROR GOTO 50000
110 CONSOLE ,,0,1
120 COLOR 0,7,,,2
130 CLS 3
140 GOSUB 10000
150 OPEN "C:BASICRUN画像DATA.DAT" FOR OUTPUT AS #1
160 OPEN "C:BASICRUN親DATA.DAT" FOR OUTPUT AS #2
170 REM 親DATAの設定(随時変更)
180 XS=-P:XE=P:DX=(XE-XS)/640
181 YS=-DX*240:YE=-YS:DY=DX
190 WRITE #2,XS,XE,YS,YE,DX,DY
200 CLOSE #2
240 FOR J=0 TO 480
260 FOR K=0 TO 640
270 X=XS+DX*K
280 Y=YS+DY*J
290 FOR N=0 TO 100
300 X1=X
310 X=FNCOSR(X,Y)+0.5
320 Y=FNCOSI(X1,Y)
330 Q=TAN(X*Y)
340 IF ABS(Q)>100 OR ABS(Q)<0.01 THEN 370 ELSE 350
350 NEXT N
360 C=0 :GOTO 410
370 REM 発散した時点での点(X,Y)のpsetの有無の判定条件
380 IF ABS(X)<10 OR ABS(Y)<10 THEN 390 ELSE 430
390 C=N MOD 16
400 IF C=7 THEN C=8
410 PSET(K,J),C
420 WRITE #1,K,J,C,N
430 NEXT K
440 NEXT J
450 CLOSE #1
451 GOSUB 3000
460 END