音楽の森とタイニーハウス

茨城県山間部のログハウス&音楽研修施設

会津鍛冶「重信」

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
みなさんどう読めますか?
たぶん「重信」だと思うのですが。
はっきりしません。

前掲の「会津手語り」によると、福島県大沼郡 金山町に「重信」
という製作名の野鍛冶あり、と書かれています。

会津鍛冶で有名な「重延」と同じ読みであることはすこし疑問に
思いますし、切銘が手彫りでなく刻印押しであることも引っかかります。
ちなみにこういった刻印は鉋(かんな)の刃によく押される形式です。

しかしながら、本体形状や裏スキの様子からは明らかに会津鍛冶
の特徴が見られます。

調査続行ということで、時間があるときに「重道」のほうもアップ
いたします。それにしても味わいがあって、情報量の豊富な鉈は
手に取って眺めているだけで飽きませんね。

土佐系の打ち刃物もたくさん持っていますが、近代的な切れ味や
均一な品質は素晴らしいと思いますが、会津の打ち刃物のほうが
研ぎ澄まされた職人魂の中にも深い味わいがあって癒されます。

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重信の裏スキ

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
会津鍛冶の角鉈はほとんどが「裏スキ」ありで、微妙にRが付いてい
て、ほんの少し根本に向かってテーパーがかかる形状が、その特徴です。
嘴付(先端の鉤状のでっぱり)のものは一様ではありません。

片刃で裏スキありだと秋田鉈のようですが、会津式は平面の部分が残る
「裏押しあり」なので、少し違うようです。

これは右利き用ですが、オリジナルの柄(交換されると価値が無いかと)
ですが、実は上から見ると右に曲がっています。これはかなり珍しいことで、
そのほうが振り下ろしたときにブレードがまっすぐに入るので、都合が良い
から、わざと曲がっているものを着けたように思います。

刃の根本付近に「重信??」と刻印があります。

会津の角鉈とその特徴

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
まずは「重信」の鉈。
といっても刻印が薄く判読が難しいので、とりあえず形状と製法、
もう一本持っている「重道」との比較で、会津鍛冶と推測されます。

全体重量(563g、150匁)
使用痕など情報量が多く、素晴らしく味のある鉈です。

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会津鍛冶と鉈

2021-05-05 | 山林の道具と打ち刃物
会津手語り 鍛冶屋編 職人に語られし幻の鍛冶

発売日:2018/12/25
出版社: 歴史春秋出版

【目次】「BOOK」データベースより
巻頭グラビア 会津鍛冶巡りー会津の歴史とともに読み解く
第1章 消えた会津鍛冶の系譜/第2章 地域で変わる鉈の形
第3章 会津の鋸鍛冶/第4章 鑿の形/第5章 包丁いろいろ
第6章 桑切り包丁/第7章 達沢に残された釿

【著者情報】
赤沼博志(アカヌマヒロシ)
1959年福島県旧塩川町生まれ。
福島県立若松商業高等学校。東京写真専門学校。

会津鍛冶の記録として歴史に残る労作です。
こういった民具の記録はあと1世代が過ぎれば忘却の彼方となり、残された道具類も
朽ち果ててしまいます。オークションや露店で見かけるものの中に、こういった文化財
ともいえる逸品が紛れていますが、残念なことにほとんどのものは全くの古道具扱いです。

こちらの手元には上記のムックでも紹介されている会津鍛冶の「重道」(たぶん4代目)
の鉈(後日アップします)、そして続けて紹介する「重信」(製作者が不明です)鉈が
あります。