音楽の森とタイニーハウス

茨城県山間部のログハウス&音楽研修施設

重信と重道

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
2本を並べてみました。

こうしてみると刃のフォルムはすごく似ています。
背の先端部分の切り欠きもそっくりです。
作家の個性というより会津打ち刃物の伝統でしょうか。
他の地域にはない微妙な造形です。

昨年の秋口に会津若松へ車中泊&ラーメンツアーに行ったのですが、
こういった打ち刃物を探す旅も良いかもしれません。
コロナ明けにもういちど会津に行ってみたいですね。


重道の切銘と刻印

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
『会津手語り』でも紹介されている歴代「重道」の刻印。

この鉈の切銘は何代目のものでしょうか?
本の中でも4世代ある「重道」(同じ刻印)が誰の作なのか?
書体がかなり似ているため判別が難しいとしています。

重道の切銘のアップ写真(鉋=かんな)ばかりを並べて比較
しているページ(P42~43)を見てみるがなかなか判定は
できない。たぶん4代目重道(日下部栄吉)の作かと思う。

この鉈をプロの研ぎ師に出したときに「すごい鉈持ってるね」
と言われて「え?どういうこと」と興味を持ったのが最初。

それから会津鍛冶や重〇をいろいろ調査していたのだが、
この「会津手語り」を見てびっくり。重〇だらけじゃん!

本当にこのムックには頭が下がります。
こういった素晴らしい本が出るということは、やはり会津の
打ち刃物と鍛冶屋にすごく魅力があるということだと思います。

重道の鉈と裏スキ

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
「裏スキ萌え」なんて言葉は無いと思いますが、
打ち刃物は「ウラ」を見てナンボではないでしょうか。

両刃で表裏が同じだと面白味は全くありません。
裏スキでも「裏押し」がどのくらいあるのか?
要するに写真でみると光って反射している部分がどうなのか?
どういう幅なのか、あるいはそれが無いのか?

泊鉈が人気なのはウラがカッコよいからでしょう。
もちろん全体のフォルムも素敵ですが、鉈萌えの見るところは
裏スキと裏押しの微妙な駆け引きです。

裏を見た時に刀身に沿って溝がある「(棒)樋(ひ)」「血流し」の別名
があるタイプは好きではありません。なんか雑なつくりが多いですし、
土佐系のものは味がありません。

「口金」の話になりますが、この重道の口金とグリップの作りは
絶品です。口金も鍛造で柄にぴったりの幅で仕事は丁寧です。

会津鍛冶と重道の鉈

2021-05-25 | 山林の道具と打ち刃物
会津鍛冶では名の知れた「重道」の鉈(なた)。

手に持つと程よい重量(540g)とバランス。
全長は37.5㎝で前掲の重信より短い。

この鉈を手に入れた時に他の土佐系打ち刃物とは
なにか違った雰囲気と密度があった。

これは素材の密度ではなく、日本刀の持つ「張り詰めた」
ような気配、あるいは緊張感があることに気づく。

普段の生活の中にある道具、単なる実用刃物である鉈。
殺気などはもちろん不要なのだが、なにかこの重道には
そういった「死」の気配があるのです。

手に持つと「よし、やってやる」という決意がみなぎる、
そんな感じでしょうか。

フォルムは例えようがない美しい曲線を持っています。
どこにも単純な直線(手抜き)が無いのです。