『古事記』そして『日本書記』、書かれている神話の三割以上の舞台が出雲である。
自他共に認める地上の総元締はオオクニヌシという大貫禄の神で、鎮座ましまして
いるのが出雲大社である。さらにはスサノオと八岐大蛇、黄泉の国への入口海岸、
因幡の白兎海岸など神話のディズニーランドである。
ぞくぞくするのは出雲自体の謎だ。これだけの神話のご贔屓筋にも係らず、その後
なぜかぱっとしない。いやむしろ蔑ろにされている。蔑ろにしたのはヤマト政権、
そう天皇である。
『日本書記』では早くも「山陰」などと日陰者のように蔑み、それからずっと「裏」と
いう暗いレッテルを貼っている。かつて歴史家の中には、出雲と云うのは神話だけ
の国で、実際には存在しなかったなどと、べったりと墨で塗り潰した輩もいたくらいで
長い間不当すぎる扱いに甘んじてきたのである。
その背景に何があったのか?