CATIA(CATIA)は、Dassault Systèmesが提供する高機能な3D CADソフトウェアです。CATIAをC++で操作するには、CATIAのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使用する必要があります。CATIAのAPIは、主に **Automation API**(COMベース)や **CAA (Component Application Architecture)** を提供しています。ここでは、Automation APIを使用してC++からCATIAを操作する方法を説明します。
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### CATIAをC++で操作する手順
1. **CATIAのAutomation APIを使用する準備**
- CATIAのAutomation APIはCOM(Component Object Model)ベースで提供されています。
- C++からCOMを操作するためには、`#import`ディレクティブやCOMライブラリを使用します。
2. **CATIAのタイプライブラリをインポート**
- CATIAのタイプライブラリ(`.tlb`ファイル)をインポートして、APIを利用できるようにします。
3. **CATIAのインスタンスを作成**
- CATIAアプリケーションのインスタンスを作成し、ドキュメントやパートを操作します。
4. **直線を描く**
- ユーザーから座標を入力させ、指定された座標に基づいて直線を描画します。
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### サンプルプログラム
以下は、C++でCATIAを操作し、ユーザーから座標を入力させて直線を描画するプログラムの例です。
```cpp
#include <iostream>
#include <comutil.h>
#import "path_to_CATIA_type_library.tlb" no_namespace
int main() {
// COMライブラリの初期化
CoInitialize(NULL);
try {
// CATIAアプリケーションのインスタンスを作成
CATIA::ApplicationPtr pCatia;
HRESULT hr = pCatia.CreateInstance(__uuidof(CATIA::Application));
if (FAILED(hr)) {
std::cerr << "CATIAアプリケーションの起動に失敗しました。" <
return -1;
}
// CATIAを表示
pCatia->Visible = VARIANT_TRUE;
// 新しいパートドキュメントを作成
CATIA::DocumentPtr pDoc = pCatia->Documents->Add("Part");
CATIA::PartPtr pPart = pDoc->Part;
// ユーザーから座標を入力
double x1, y1, z1, x2, y2, z2;
std::cout << "始点の座標を入力してください (x1 y1 z1): ";
std::cin >> x1 >> y1 >> z1;
std::cout << "終点の座標を入力してください (x2 y2 z2): ";
std::cin >> x2 >> y2 >> z2;
// 直線を描画
CATIA::HybridShapeFactoryPtr pFactory = pPart->HybridShapeFactory;
CATIA::HybridShapeLinePtPtPtr pLine = pFactory->AddNewLinePtPt(x1, y1, z1, x2, y2, z2);
pPart->Update();
std::cout << "直線が描画されました。" <
}
catch (_com_error& e) {
std::cerr << "COMエラー: " <
}
// COMライブラリの解放
CoUninitialize();
return 0;
}
```
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### プログラムの説明
1. **COMの初期化**
- `CoInitialize(NULL)` でCOMライブラリを初期化します。
2. **CATIAの起動**
- `CreateInstance` を使用してCATIAアプリケーションのインスタンスを作成します。
3. **新しいパートドキュメントの作成**
- `Documents->Add("Part")` で新しいパートドキュメントを作成します。
4. **ユーザーからの座標入力**
- ユーザーに始点と終点の座標を入力させます。
5. **直線の描画**
- `HybridShapeFactory->AddNewLinePtPt` を使用して、指定された座標間に直線を描画します。
6. **エラーハンドリング**
- `_com_error` をキャッチして、COM関連のエラーを処理します。
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### 必要な準備
1. **CATIAのタイプライブラリ**
- CATIAのタイプライブラリ(`.tlb`ファイル)を指定してインポートします。通常、CATIAのインストールディレクトリにあります。
2. **COM対応のC++コンパイラ**
- Visual StudioなどのCOM対応のC++コンパイラを使用します。
3. **CATIAのライセンス**
- CATIAが正しくインストールされ、ライセンスが有効であることを確認します。
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### 注意点
- **CATIAのバージョン**
CATIAのAPIはバージョンによって異なる場合があります。使用しているCATIAのバージョンに合わせてAPIを確認してください。
- **エラーハンドリング**
CATIAの操作中にエラーが発生する可能性があるため、適切なエラーハンドリングを実装してください。
- **COMの解放**
COMオブジェクトを使用した後は、`CoUninitialize()` でCOMライブラリを解放します。
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このプログラムを実行すると、CATIAが起動し、ユーザーが指定した座標に基づいて直線が描画されます。CATIAのAPIは非常に強力で、この他にもさまざまな操作が可能です。詳細はCATIAのAPIドキュメントを参照してください。