丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

145.花のお江戸の夕涼み

2008-09-06 09:45:00 | 芸能・映画・音楽

145.九州旅行の「落ち」は 花のお江戸の浅草橋で..

 九州への旅は羽田-福岡間をJALで往復しました。フライトは1時間余。 楽しみのひとつに「JAL名人会」があります。Ch.7には寄席番組、この日は 林家正蔵の古典「お菊の皿」をトリに たけ平「紀州」 市 馬「片棒」 それに三味線 柳家紫文師の「長谷川平蔵」などが収録されていました。

 柳家紫文師の「長谷川平蔵」を聴いていると必ず機内放送が割り込み、噺の「落ち」は分からずじまい。そうこうしている内に目的地に着いてしまい 少しフラストしながら機を離れました。 「JAL名人会」の難点は 突然の機内放送で噺の「落ち」が聴けなくなることが多いということなのです。
 
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 ところが帰京して四日後の土曜日 たまたま一艘の屋形船を貸し切っての舟遊び企画が舞い込みました。 純和風会席と その聞き逃した「柳家紫文と東京ガールズ」の三味や太鼓に新内流しを楽しむ嗜好。

 九州旅行の「落ち」が 花のお江戸の浅草橋で待っていたのです。降って湧いたような 妹からのご招待でしたが 屋形船のイベントに出かけることになりました。

 連日の雷鳴を伴う夕立に 神田川が増水し、屋形船が出航できるかどうか危ぶまれましたが予定通り満席状態で浅草橋たもとの船宿から出航? 一路お台場を目指します。

 柳家 紫文(やなぎや しもん)さんは落語協会所属の音曲師、1988年 岸澤式祐の名で常磐津三味線方として歌舞伎等に出演 1995年 二代目柳家紫朝の弟子となり「柳家紫文」を名乗り、他にも 新内:鶴賀寿美之助. 長唄:杵屋正楽. 等の名前も持つ音曲師・邦楽演奏家です。

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 歌舞伎界から 寄席芸能界に身を転じた変り種。「粋」が着流しに身を包んだB型特有のマイペース芸能人。三味線と新内流しは天下一品。 さすがに歌舞伎界出身の生い立ちを彷彿とさせます。「東京ガールズ」小糸さんの計らいで この日の座席は紫文さんと直接会話できる最前列。 

 JAL機内で聴いた名人会は3月にインドで収録したそうです。 「機内で 今週は2回も3回も 長谷川平蔵を聴きましたよ。」「エエ?そうですか じゃあ、もう聴きたくない?」「いやあ そりゃあ 本人から直に聴きたいですよね。」「そうですか。よかった。」幕間に紫文さんや小寿々さんとの雑談は続きました。

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 屋形船の夕涼みは 通常はお台場沖まで 料理はゆっくり出てくるのですが、この日は目的が紫文さん一家の三味線と太鼓のライブです。 船宿を出航するや 続々と揚げたての天麩羅が運ばれ、食事はどんどん進み、お腹が出来上がるといよいよ東京ガールズの出番です。 

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小糸さん お座敷芸から景気よくスタート

「♪♪さあさ 浮いたあ 浮いたあ…♪♪」
小寿々さん、小糸さん、そして小夏さん

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 小糸さん、小寿々さん、そして小夏さんの三味と太鼓でにぎやかに「♪♪さあさ 浮いたあ 浮いたあ…♪♪」お座敷芸から景気よくスタートしました。この芸は 吉原の今年88歳になる芸者さんから直接 教わっているそうです。 三人娘の明るくにぎやかで楽しそうなこと。見ているだけで楽しさが倍増します。

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著書「都都逸のススメ」は屋形船の中で購入。勿論ご当人のサイン入りです。

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 続いて紫文師匠の軽妙な三味に合わせて新内が…。 

♪♪・・三味が 実に粋に奏でられ やがて 得意の「長谷川平蔵」へ

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「♪♪火付け盗賊改め方の長谷川平蔵が、いつものように両国橋のたもとを歩いておりますと、1日の商いが終わったであろう中国人のお偉いさんが足早に平蔵の脇を通り抜ける。♪
 向かいからは水商売らしき一人の女。♪
 この二人が橋の上ですれ違う、というその時――
 お偉いさんの体が前のめりに崩れ落ちる……。♪
女 「もし、ケガはなくて?」
中国人「いてて、骨がコキントウ折れた。♪♪」

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 船宿へ戻る間も 観客参加のお座敷芸は続きます。 屋形船での夕涼み 三味線ライブは こうでなくっちゃあ という乗りで 2時間半は瞬く間に 過ぎていきました。 ディナーショーとしても 和風宴席や三味や新内を楽しみたい人には 恰好の企画でした。

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 毎年一回限りみたいですが 来年も機会があれば 行ってみたいと思っています。

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4 コメント

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柳家紫文師の落語 (あこ)
2008-09-06 11:04:02
望まないのに、JALで落ちを逃した落語が、今度は屋形舟で「柳家紫文と東京ガールズ」、柳家紫文師の「長谷川平蔵」が聴けたなんて、こんなうまいお話が落語の出会いのように、歯車が噛み合うもんですね~
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粋な芸人 ()
2008-09-07 09:53:56
あこさん

 一週間以内に この偶然が訪れたことが 面白いですよね。 それにしても いまどき着物の似合う粋な芸人でしたね。 

 紫文さんは 邦楽演奏 新内 都都逸の世界での第一人者であって落語家ではありません。念のため。

 玄人好みであまり テレビなどには出ないんですね。著書(集英社 刊)「都都逸のススメ」を ご覧いただければ よく分かるのですが・・・。

「丼」
 
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Unknown (Unknown)
2008-09-08 23:04:58
江戸、屋形船、寄席~

何とも、粋なひと時!

大人の遊びですね!

大人文化が若者、キッズに押され気味ですから

日本も大人が粋に遊ぶ演出が、ドンドン増えてほしいですね。
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ブログお立ち寄り有難うございます。 ()
2008-09-10 20:37:30
ブログお立ち寄り有難うございます。

コメント投稿有難うございます。

ほんとに 大人が 粋に遊べる環境も
団塊向けに 整備されると良いですね。

「丼」
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