新潟久紀ブログ版retrospective

柏崎こども時代23「イシザキ遊技場(その3)」

●イシザキ遊技場(その3)

 昭和の半ばに小学生の友達同士だけで柏崎市内のデパート型店舗「イシザキ」最上階のゲームセンターに行くという、当時の僕らにしてはドキドキわくわくだった”冒険譚”は、出掛けるまでの"親の壁"との対峙など”子供ながらの内なるハードル越え”の心模様がヤマ場の様に思い出され、肝心などんなゲーム機器で如何様に遊んだかというのがおぼつかないのが悔しいところ。
 それでも、覚えている範囲で思い起こしてみたい。鉄筋建てデパート型のビル4階のワンフロアにいずれも今でいう昭和レトロ感一杯のアナログゲームが勢揃いしていて、次々と目移りするようだった。
 一番好きだったのはいわゆる「ピンボール」。斜め倒しになった大柄のパチンコ台のような風体で、小銭を投入するとスロットル横に10個くらい出並ぶ直径2cmくらいの銀メッキの鉄球を順次打って、盤上に配された電飾クッションに連打させ、下部に落ちてくるのを間の空いた左右の羽根を操作して上へと打ち戻し、できるだけ長く連打させることで、打数と連動して表示されるカウント数による景品獲得を目指したり友達同士で高得点を競い合うというもの。
 所定の得点を上げては手元の小さな窓口からチープなガムといった景品が出てくるのが嬉しかったが、なによりもゲーム盤そのものの賑やかな電飾とかギミックに魅了されたものだ。電脳系の派手なゲームメディアが無い当時の田舎暮らしの我々には羨望の的だった。
 次に思い出すのが「ドライブゲーム」。正式な名称は忘れたが、ピンボール大の機器のガラス張りの下の盤の手前中ほどに手元の丸形ハンドルの操作により左右する赤いスポーツカーの模型があって、車の下をランニングマシンよろしく流れていく波打つ道路の絵柄に併せて、そのコースを外れないようにどこまで”運転”していけるかを楽しもうというもの。
 道路の絵柄のスピードがどんどん上がっていくのでハンドル操作が意外に追いつかなくなり”脱輪”すればゲームオーバー。どうってことないゲームなのだが、私は意外にハマってしまい何とか距離を稼ごうと夢中になった。このゲームを弁当箱大にコンパクトにしたような電池式ゲームをクリスマスか何かに親から買ってもらったほど。今日に至るクルマ運転好きはこの頃からだったのかも知れない。
 いまだに昭和レトロのゲーム機を取り上げるテレビ番組で紹介されるような、ハンドル打ち出し式で釘が多くて並び模様も独特だった「パチンコ台」は、少し子供向けに絵柄や化粧が施されたものが数台並んでいたし、パチンコ台と同じような立ちスタイルでガラス面と盤の薄い間に張り巡らされたプラスチック製のレールの上部からコインを入れて、レール途中の落とし穴を上手く飛び越えさせるよう左右のハンドル操作で弾きながら盤面最下部のゴールを目指させるといった、妙技を競う系のゲームも嗜んだものだ。
 それら一人で一台の機器に向き合うゲームは各々面白かったのだが、広いゲームセンターならではの大型ゲームがフロアの一角を占めて待ち構えていて、皆がこれが"このゲーセンの王様"のように感じる"真打"のような機器というか設備ともいえるものがあった。
 これも正式な名称は不明だが「魚雷ゲーム」とでも呼んでいたように思う。
 二間ほどの幅の水族館にあるようなガラス張りのケースの前に建つと、潜水艦の潜望鏡のようなものが4台ほど並んでいる。一人でも複数人でも潜望鏡で構えてコインを投じるとケースの奥を水平線と見立てた右側から戦艦らしき模型が左へと順次表れて来るので、潜望鏡の手元ボタンを押して動くそれを狙い撃つという趣向のゲームだ。
 物理的に球を射出して戦艦模型に当てて倒すというものでなく、赤外線か何かの光線が選管側のセンサーに上手く当たると戦艦が横倒しになり爆破と撃沈音が豪儀に鳴り響くという仕掛けで、家庭向け玩具では味わえないスケールとギミックが多くの子供たちを引き付けた。複数人で横に並んで潜望鏡を構えて遊べるのも面白かった。
 思い出せるのはこんなものだが、夢中で遊んでいれば数時間などあっと言う間で、そろそろ帰るかということに。友達とワイワイ騒ぎながらだと、それそのものが楽しくて、意外にも小遣いに少し残金があるほどだった。イシザキを出ると当時大流行していた「およげたいやきくん」が商店街をヘビーローテしており、それに押されたのか、皆が近くの手作りの店で焼き立てのたいやきを残金の限りで買い込んだ。私は子供だけのゲーセン行きに理解を示してくれた母や家族へのお土産にして、本日の武勇伝を語る上でのお茶請けにしようと思ったのだ。

(「柏崎こども時代23「イシザキ遊技場(その3)」」終わり。仕事遍歴を少し離れた実家暮らしこども時代の思い出話「柏崎こども時代24「色覚検査のトラウマ」」に続きます。)
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