●三菱・ランサーフィオーレ・アレックス(その3)
◇◇◇三菱・ランサー・フィオーレ・アレックス
[1988年4月から1994年10月まで各種ライフイベントを乗り切る]◇◇◇
[1988年4月から1994年10月まで各種ライフイベントを乗り切る]◇◇◇
私にとって3台目の愛車の三菱ランサー・フィオーレ・ALEX(アレックス)は、私が手にした初の新車であり、とにかく大切に綺麗に乗り続けたいと思った。ところが、2か月ほどして友人に貸すと、私のアパートの車庫入れ時に後部バンパーを強かぶつけてくれた。そのアパートは1階部分がピロティ形式の駐車スペースとなっていて二階部分に部屋があり、冬の降雪など荒れた天気の多い新潟に暮らすにはありがたい構造だったのだが、駐車スペースの後ろ、運転席から見えない車の左後部にあたる部分に、建物の構造的な出っ張りがあり、特に注意を要するものだったのだ。
運転席側のサイドミラーないしはドアを少し開けて確認できる車の右後部の奥行だけを頼りにバックして入れていくと、左後部をぶつけてしまう。私の友人はそのトラップにまんまとはまり、わりと勢いよく当ててしまったのだ。
私が確認すると、後部バンパーが大きくへこみ、さらにトランクもひしゃげている。私は大いに落胆したし、友人も平謝りではあったが、十分な注意をせずに貸した自分の自業自得というものなかもしれない。放置しておけない見た目の損傷だったので修理に出すがお金も無いので、バンパーもトランク部分も簡単な打ち出しで補修してもらった。バンパーとトランク部品を丸ごと取り換えるような根治療法ではなかったので、この事故がもとでALEXは乗り続けている間ずっとトランクルームに雨水がしみ込む状態が続くことになった。
1991年に結婚が決まると、住まいの近くで世帯用のアパートを探して引っ越すことにしたが、一人暮らしの部屋からの移送にあたり、一回だけ職場の同僚から自家用の小さなトラックを出してもらったが、ALEXで運べるものは何度か往復することで概ね片が付いた。
1992年に子供が生まれると、当時はチャイルドシートの規制が今ほどではなかったので、ベビーバスケットに赤ちゃんを入れてALEXの後部座席に配置してどこにでも出かけたものだ。夜泣きして止まない時は、安普請のアパートで騒音が迷惑になるということで、夜な夜なALEXに乗せて少し近くを回っていると自然に眠ってしまうことも。車の振動や音がそれを誘うと聞きかじった情報での対応だった。
1993年5月に父が57歳で急逝してしまった時も、通夜や葬儀の準備に奔走するにセダンで人を乗せやすく、小回りの利くALEXは大活躍だった。
1995年に二人目の子供が生まれた時、上の子で慣れたものだとベビーバスケットに入れてアパートの玄関を出てALEXに乗せようとしたときに、手を滑らせて駐車場の舗装面にバスケットを落としてしまい、毛布にくるまれた赤ちゃんが転がり出てしまった。これはマズイと抱き上げると少しばかり泣くも静かな寝息に。これなら大丈夫だなと医者に診てもらうでもなかったが、その後、その話が家族内で出るたびに、二女は自分の不出来な部分を私が落下させて頭の打ちどころが悪かったのが原因だと笑い話にしている。
三菱ランサーフィオーレALEXは、はっきり言って忘れ得ぬような個性や魅力を私に刻み付けるようなクルマではなかった。まさに標準的なファミリー向けコンパクトセダンとして、当時の日本車の普通の中の普通といえるものだった。ただ、ALEXに乗っていた頃は、結婚や出生、父の死など、私の人生において大きなイベントが次々と起こる時期と重なり、その一つ一つに対応していくにあたり、個性やクセの無いALEXのプレーンぶりが、かえってどんなシーンにも馴染めて、すべからく自然に振舞わせてくれたように思い返される。
どんな平凡なクルマでも持ち主ならではの体験を通じて特別な存在になるのだと思う。
〓〓ALEX終わり〓〓
(「ほのぼの愛車遍歴11「三菱・ランサーフィオーレ・アレックス」(その3)」終わり。「ほのぼの愛車遍歴12「三菱・ギャラン・ヴィエント」(その1)」に続きます。)
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