新潟久紀ブログ版retrospective

ほのぼの愛車遍歴5「トヨタ・カリーナ1400DX」

◇◇◇トヨタカリーナ1400DX
 [昭和59年の春から冬まで愛用して事故で廃車]◇◇◇

 自動車販売も手がける勤め先だった父の斡旋で初めてのマイカーを手にすることになったのは大学1年生春休みの1984年。父に託すことができたのは僅かな手持ち金でしかなかったので、車種はおろかクーペかセダンの別などの車型も希望のしようがない。安くて良い出物を待つのみだった。
 国道の路肩に少し残雪もある寒い日だったので、さすがに原付バイクのヤマハRX50で風を切るのは辛いため、久々に国鉄(当時)越後線で新潟大学前駅を出て東柏崎駅に降り立ち、実家に帰省して車庫を覗くと、薄暗い中にカーキ色のオーソドックスなセダンのシルエットが。「おおっ」と思わず声が出て、すぐにシャッターを開けた。
 私にとって最初の四輪の愛車となるトヨタ・初代カリーナ1400DXとの出会いだった。私は昔から何でもモノに対して特段の執着を持たない質で、与えられるものや手に入るものに余り不満を感じずに自然と良いところを見いだして気に入ってしまう性格だ。学校の教材など手にするアイテムがことごとく5歳年上の兄からのお下がりだったのが影響しているのかもしれない。
 それでも、このカリーナには一目で積極的に私好みの魅力を感じ入ったものだ。いわゆる典型的な5人乗りの3ボックススタイルの4ドアセダンであり、車体のカーキ色も含めて、全体にはオヤジ系のクルマであったのだが、カリーナ初代エクステリアの最大の特徴ともいえる面構えには一目惚れだった。丸形4灯の内側2灯と外側2灯の間に車幅灯が配されるという奇抜な意匠。車幅を表すものとしてはどうなのか…と突っ込みたくなるが、クルマという乗り物には杓子定規の度外視もアリだ。更にそれにとどまらずにリヤウインドウからなだらかに滑り降りるテールラインの両端にそのまま流し込んだような縦長のストップアンドウインカーランプ。前面と背後の無二の強烈な印象に、私は虜になってしまった。
 その時点で恐らく10年くらい前の車体であったが、ワンオーナーで4~5万キロくらいしか走っていなかったように覚えている。とにかく今から見ればカーステレオもエアコンも付いていない殺風景なインテリアと最低限の装備であったが、ゴテゴテしていないのも私好みだった。スピードメーターの並びに大きなアナログ時計しかない。かえってそれも潔い印象だった。
 外観の第一印象は良いとしても、若いファミリー向けのカローラと少し年配層向けのコロナの中間層を狙うポジションのセダンとして、当時としては初心者が最初に乗るクルマには不相応なやや大きめな車体と見た目の大人らしさから見て、乗り心地の相性はどうかと少し懸念したが、排気量1400ccとはいえ80馬力以上をヒネり出すということで、一人で乗り回すには申し分の無い機動力であったし、FR車で今時のクルマに比べればホイールベースも短くてキビキビと小回りも利いた。「足のいいやつ」。思わず千葉真一のコマーシャルコピーをつぶやいたのだ。
 スポーツタイプでもなく新型でもない中古の初代カリーナ1400DXは、同じ歳頃の友人達から見れば、"オヤジくせえ"とか"鈍くさい"と思われるような渋いクルマてあったが、かくして私的には直ぐにお気に入りになったのだ。
 恐る恐るおっかなびっくりの初乗りでの柏崎から新潟への道中80kmの慣らし運転を終えると、いよいよ操舵感覚が手足にフィットしてクルマとの一体感を得られて、数日後にはバイトや遊びにとフル稼働をしたものだ。エンジン音はいつも安定していて故障で困らせることも全く無い。
 巡り合ったのも何かの縁とばかり、初の愛車となったこのクルマとはできるだけ長く付き合いたいと思うのであったが、ほんの半年程度で突然のお別れとなってしまうのだった。
 ※初代トヨタカリーナ1400DXとのお別れのお話はこちら


(「ほのぼの愛車遍歴5「トヨタ・カリーナ1400DX」」終わり。「ほのぼの愛車遍歴6「三菱・ランサーEX1400GL」(その1)」に続ます。)
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