新潟久紀ブログ版retrospective

土木部監理課16「新潟整備部の移転調整に奔走」編

●新潟整備部の移転調整に奔走

 土木部の主管課である監理課の課長補佐は、部の組織人事に関することや労務管理課題などの実務的取りまとめ役になるのだが、勤めていると土木行政そのものとは縁遠い懸案の調整などに関わるものだ。
 新潟県庁と信濃川を挟んで目と鼻の先にある合同庁舎を移転するという話が持ち上がった。平成の市町村合併の結果、新潟市の一市に県の合同庁舎が3箇所も存立することとなり、その整理統合が以前から議論されていたことと、特に、県庁間近の合同庁舎は、その土地の価値の高さから見ても市内他所への機能の集約移転により売却することで財政に貢献すべきという議論もあり、地価の下落傾向が続く中で速い対処が求められていた。
 土木部の出先機関が当該合同庁舎に配置されており、統廃合となれば、出て行く先の決定や調整が必要となる。複数部局に関わる組織の見直し事案ということで、行革担当部署の主導の下で、土木部については私が調整事務の窓口となった。
 新潟市内には、旧新津市と旧巻町に合同庁舎の建物が残っており、土木部としては旧新津庁舎にも出先機関を擁していた。公共工事の取扱量や建設業関連の許認可事務等が一定程度あるということで、くだんの旧新潟市内の庁舎と併存してきたというわけだ。
 ただ、公共投資も減少し、各種行政手続きも簡素化したりオンライン化が進む中で、庁舎は一つで良いだろうという情勢になってきていた。跡地処分のことを考えれば、地価が高く財政寄与度も大きい旧新潟市庁舎から旧新津庁舎へ移転統合が合理的な考え方となる。
 土木部系の出先機関だけの移転であれば簡単なのだが、旧新潟市の合同庁舎には県税と農林の大所帯も入っていたので、それらの受皿も確保しなければならない。それを考えると旧新津市の庁舎は手狭なのだ。
 また、物理的に職員が入れるか否かだけではなく、業務運営の観点でその場所が適切かどうかも重要になる。県税の"お客様"たる企業や事業者などは旧新潟市内に圧倒的に集中しているわけだから、納税関係で税金を納めて頂く立場としては、手続きや相談等の窓口が今より離れて不便になることは、なかなか容認されがたいという議論があった。
 土木部系出先機関にしてもしかりで、建設業者の本店などは旧新潟市内に集中していたし、例えば豪雨災害対応などで彼らに連携や協議の調整と迅速な対応の協力を求めることも、とりわけ人口集中地域においては実態として多く、旧新潟市から何キロも離れた場所にわざわざ建設業者に車仕立てで集まってくれというのも適当ではないだろうという議論があった。
 行革サイドの合理性追求と事業部局サイドの実務性重視の板挟みになり、私はなんとか折り合いの付く統廃合案をまとめられないかと、移転可能性のある旧新潟市内の幾つかの施設や建物を巡って視察したり施設の管理者と借用条件を意見交換したりした。
 詳しい経緯は記載できないのであるが、結果して、旧新潟市内の外れにあり統廃合により"空き家"となっていた県立学校の施設が、県税と土木部系の出先機関の受皿に決まった。古い木造の学校施設で使えないと思っていたが、耐震性のある建物で二つの出先機関の移転先受皿となり得るというのだ。
 移転先となり得るには"個別具体の調整要件や課題"が多々あったのだが、物理的に入居できることと旧新潟市内であることといった最重要となる柱をクリアできた。取り敢えず、私は方針決定をもってお役御免となり、移転対応の具体については、出先機関が職員団体などと"詰めていく"ということとなった。
 数年後に、その"詰め"の実務に当たった職員からお話を聞く機会があったのだが、公共交通の不便や駐車場の狭隘など通勤条件の悪化、食堂の不備など福利厚生の水準低下など、"個別具体の調整要件や課題"への対応に大変なご苦労をされたということだ。大方針の決定までで相当苦労させられたという思いの私であったが、そんな話を聞くと私ごときの苦労は申し訳ない程度に過ぎないとの思いにすらなった。巡り合わせの運と不運に翻弄されるのは正に県職員の宿命なのだ。

(「土木部監理課16「新潟整備部の移転調整に奔走」編」終わり。「土木部監理課17「降格並みの出向内示に耳を疑う(その1)」編」に続きます。)
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