車の運転や気分転換などで定番として聴き込んだり、最新リリース情報などを仕入れては動画サイトで探るようなアーティストやアルバムは常々あるのだが、ふとした拍子に急に思い出したり聴きたくなったりする曲というものがある。
そんな"気まぐれなよみがえり楽曲"による、「思い出したり」「思い出させられたり」のあれこれを記してみます。
☆☆☆昨今の「よみがえり楽曲」☆☆☆
☆リアン・ライムス「Some People」
出口が見えず独り午前帰りの残業続きの中で、元々固い仕事は向かないのに何処で人生の選択間違えたのか…と思いながらYouTubeで偶然目に入ったのがLeAnn Rimesの「Some People」のPV。憂いある女性が淡い恋の頃を振り返るモノトーンの演出と沁みるサビが、私にとっての"あの頃"の岐路を思い出させて止まない。
リアン・ライムスは、静寂に"独りきり"を感じるときに、心の隙間に入り込んでくるように染み入ってくる。
例えば、私の勤める組織において巨額の不適正支出という前代未聞の不祥事が露見した折、その対応の担当スタッフの一員として不適正額の集計精査を任され、深夜に及ぶ一人きりの作業を終えて帰宅してビールを飲んで明かりを落としたベッドで横たわった時にFMラジオから流れてきたのが「How Do I Live 」。バラードの達人であるダイアン・ウォーレンの作ならではの泣ける曲調と詩もさることながら、当時15歳の少女でありながら澄んでいて慈愛の溢れるような歌唱は暗闇の中であっても安堵させるような思いにさせたものだ。永く昏睡状態だった患者に聴かせたところ覚醒したという話を聞けばさもありなんだ。
ニューリリースを追いかけ続けるほどではなかったが、音楽情報誌などで彼女の結婚や離婚、ちょっとしたスキャンダルなどを見聞きして、その都度、大人の憂いを帯びていく楽曲が、年季を重ねて心に傷を増やす私の機微に触れるものだったりして…。どこか古くからの友人で忘れた頃に声を掛けてくるような存在に似て…。それはこれから先も続くのかもしれない。
☆ピーター・ウルフ「Lights Out」
中学高校時代は、今のようにネットで最新の情報や動画が即座に得られるような時代ではなく、好きな洋楽の動向も、音楽週刊誌「FM fan」でビルボードチャートを見て、ヒット曲をラジオ番組で探して聞いたりしたもの。
1981年に破竹の勢いでチャートを駆け上り一気に一位になったThe J. Geils Bandの「Centerfold」は、日本での流通が後追いになったのでなかなか聴けずにヤキモキしたが、リリース直後に聞いてサウンドのあまりの思い切りとカッコのよさに仰天したものだ。その後、何度もCMなどで引用され、40年を経た今日に至るまでメディアで聴かない年は無いほどの定番になっている。
大ヒットが出た後のバンドの御多分に漏れず、看板ボーカルながら脱退したピーター・ウルフのソロが余り間を空けずに発表された。くだんの大ヒット後なので即座に日本でもリリースされたから、収録曲を事前に"エアチェック"(死後?)もせずにLPレコード(!)「Lights Out」を即買いした。
果たして、大学生になって少ししたばかりの等身大の自分の期待に違わぬ充実さとバラエティさで、正に"当たり"の買い物だった。
もともとはカントリー系上がりの泥臭いロックが好きだったのだが、年頃になると少しソウルとかブルースに近いものに近寄りたくなるもの。
「Centerfold」ばりのキャッチーさで一気に引き込む最初の「Lights Out」から、一転してトラディショナルなロックバラードで泣かせるかと思うと、今聴いても色あせを感じさせないファンキーなラップ、さらにモータウンサウンドのようなポップスなどなど。LPレコードからカセットテープにダビングして、貧乏学生が中古車でドライブするには欠かせないものだった。
就職して以来、特にオーディオがCDに移行して以来、ピーター・ウルフも「Lights Out」もすっかり忘れていたのだが…。
最近のTVはタイムマシンであり、刑事コロンボの再放送を観てはゲスト出演する往年の名優の演技に魅了されていたところ、1993年放送で当時52歳の フェイ・ダナウェイ の表現の豊かさに脱帽してネットで調べてみると、なんと、私が昔好きだったピーター・ウルフと一時期結婚していたと知った。
ニンマリとなり、また「Lights Out」が聴きたくなった。
ネットの動画サイトは便利に30年以上も前の熱い気持ちに連れ戻してくれる。
☆1980年代J-pop
コロナ禍のインドネシアであの懐かしい松原みき「真夜中のドア」がカバーされてヒットしたという。久々に1980年代の松任谷由実など聴くと、今時の売れ線曲調の組合せや使い回しの楽曲に比べて、その独創性や挑戦性が色褪せを全く感じさせない。眠れる秀逸なコンテンツは世界で再び開花させられそうだ。
(「ほのぼの鑑賞・きまぐれ音楽回想(vol.1)2021.9.4」終わり。「ほのぼの鑑賞・きまぐれ音楽回想(vol.2)2021.9.24」に続きます。一覧はこちらをクリック)
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