新潟久紀ブログ版retrospective

新発田地域振興局長の細々日記「新発田高校生へ挑戦状」(その2)

●業務分野ごとに悩みごとを考える

 新発田地域振興局は、専門業務分野により7つの部署で構成されている。それぞれが抱える問題意識から解決したいと真剣に考えている課題を示さないと、説得力が伴わずに新発田高校生の研究テーマとして取り上げてもらえないだろう。
 具体的には餅は餅屋ということで各部の幹部から新発田高校生に考えてもらいたい課題を聞いてみることにしたいが、先ずは、各部業務を統括する立場の局長として思い当たる課題と高校生の目線で考えてもらいたい方策について、書き出してみることにしよう。

◆企画振興部
 新発田地域の振興とは、考えを突き詰めれば、この地に暮らす、できれば若い人を、出来るだけ減らさないようにすること、そしてこの地に関心を持って関わってくれる人を増やす事。新潟県からの若者の転出による社会減とそれがもたらす少子化の流れの中に立つ進学校の生徒自身としての思いや対策に関する提案を聞きたい。
 しかしこれでは、我ながらあまりにも大きくて漠とした投げかけに過ぎる。例えば、具体的に新発田地域へ関与する人を増やすためのアイデアを示して、課題抽出とテーマ設定をするにツッコみしやすく示すべきだと思う。
 新発田地域振興局長に着任して以来、カネも権限もない中で地域への人の呼び込みを考えるに、この地に在る自然の恵みそのままを魅力として活かせるものとして、”日本一低い”という唯一無二のラベルを持ち気軽かつ多様に楽しめる「櫛形山脈」に着目している。
 「コロナ禍後の低山ブーム」「脱炭素とSDGsへの関心の高まり」「観光のモノ消費からコト消費への推移」「世界情勢など踏まえた先行き不安の広まり」といった時勢の下で、「日本一低い低山たる櫛形山脈」に、「便利でエコな鉄路で来訪」して、「緑樹保全に貢献して達成感」を得て、「思い出にタイムカプセルを埋めてこの先に向けた願掛けを」しませんかと誘ってはどうかと考えて、提案を個人的にまとめてみたところだ。
 この荒唐無稽で唐突な局長「私案」を示して新発田高校生がどう考えるか、この案そのものへの駄目出しでも良いので、地域にあるそのままの資源を活かして地域へ関与する人を増やすための方策について研究する切っ掛けにしてもらえないかと切に思う。

◆県税部
 県行政が実のある仕事ができるための財源確保を支える最前線が振興局県税部。税負担の公平性を鑑み、納期の厳守や滞納の解消のためにはどうしたら良いか。高校生の柔軟な発想力やITリテラシーの高さなどから思いがけない簡素で実効性の高い目からうろこ的なコロンブスの卵的な方策が見いだされないものか聞きたい。

◆健康福祉部
 コロナ禍のヤマを越え、何事もなかったかのような日常になったが、日本で累計10万人もの死者を出して未だ感染者が絶えない状況の中で、平時から新興感染症対策を考えて行くことは肝要。例えば新発田市をモデルに、人口の年齢や属性別の分布や地域外との通勤通学等の往来などのデータから考えるまん延予防の提案を聞いてみたい。

◆児童・障害者相談支援センター
 夫婦喧嘩といった面前DVなども含め児童虐待が増加の一途だが、対応は各家庭のプライバシーへの関与などデリケートで難しい。特に郊外の新興住宅街や新築マンションなど人間関係が薄くコミュニティーとしての目が行き届かないエリアにおいて、児童虐待の深刻化の兆しを察知して手遅れなく対応につなげるような方策の提案を聞いてみたい。

◆農業振興部
 農業の担い手減少や法人の労力不足の中で、稲作の大規模化による集約も限界に近く、収益の面から県をあげて推奨する野菜などへの多角化や転換も容易ではない。将来を見据え地域外に居る若い人をこの地の農業に関与させる仕組みづくりが必要と考えるが、若い目線での動機づけや誘因策についての提案を聞いてみたい。

◆農村整備部
 農業において用排水の調整は肝心かなめ。異常気象が頻発する昨今においては、それらに伴う作物や農地への影響を想定した多様な対策を考えておかなければならない。記憶に新しい昨年の異常少雨を踏まえ、新発田地域で渇水が起きた場合の、内外地域からの地下水や海水淡水化などによる農業用水確保の確保策に関する提案を聞いてみたい。

◆地域整備部
 何と言っても建設業の担い手不足対策だ。地域に根差して地域の細かな地理や実情をよく知る地元の建設業者というのは、豪雨や地震といった自然災害時の緊急対応や除雪など、いざという時の安全安心確保に何よりも頼りになり欠かすことのできない存在だ。新発田地域の建設業に若い人が増えるための若者目線の提案を聞いてみたい。

(「新発田地域振興局長の細々日記「新発田高校生へ挑戦状」(その2)」」終わり。「へたれ県職員の回顧録」の「仕事遍歴」シリーズで現在進行形の日記形式「R6.6.24-R6.6.30新発田地域振興局長の細々日記」続きます。)
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「活かすぜ羽越本線100年」をスピンオフ(?)で連載始めました。

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