●新潟暮らしセミナー@回帰センター(その1)
新潟県において深刻化する人口流出の要因は、主に東京圏の大学への進学とその延長での就職という流れがどんどん大きくなってきているためであることが明らかであったが、一旦出て行った彼らを含め東京圏に滞留する若者達を新潟へと逆流させるためには、多くの人に共通して居住地を移させるに至るほどの有力かつ強力な誘因というものは現実的には無いので、一人ひとりの悩み事や関心事に応えていく中で暮らしの場として新潟県を選んでもらうような地道な積み上げが必要となる。
そんな手法の一つとして「新潟暮らしセミナー」というものが新潟暮らし推進課創設の3年前から展開されていた。移住先進地といわれる他県の取組を参考としたもので、都内に住まう若者が立ち寄りやすい場所で主に休日の午後などに、40~50人程度のが入れるセミナールームを借用し、集まった若者達に新潟の暮らしの魅力を説明したり、関心をもった方と個別に移住や転職等についての相談会を行うものだ。
開催場所は、有楽町駅前の交通会館の中にある「ふるさと回帰支援センター」が基本となっていた。新潟県を始め全国の殆どの自治体が会員となっていて、抽選により借用できる大中小のセミナールームを相互に活用していたのだが、地方移住に関心のある来訪者とっても、移住先については必ずしも出身地へのUターンが念頭というわけでなく、色々な地域の魅力を見聞きしてみて考えたいという方も多いので、一箇所で違った自治体がセミナーを開催することは非常に便利なものなのだ。主催する我々も他の自治体の設営内容をチェックできてお互いの内容改善や充実につなげられるというもの。私が着任する以前からこうした情報発信のベースができあがっていたのだ。
会場の予約や設営手配の都合もあり、私が着任した当該年の年間のセミナー実施計画は日時に加えて内容も大方が既に決められていた。設営に係るロジ回しや効果的に集客宣伝したりするにはどうしても少ない課の職員だけで対応しきれず、前年度末にプロポーザルで広告代理店を委託者に選定済みであった。その提案の審査過程で、回ごとのテーマ設定やイベントの展開方法なども事実上決まっていたのだ。
昨年度の開催概況や今年度の企画案などを読み返したりしていると、新潟暮らし推進課が創設されて3年の間に、セミナーのテーマとして、稲作を中心に農業が主要産業である新潟において農業を生業としながらの田舎暮らしの魅力や、都市部もあって仕事も含めて都会的な生活需要にも対応できること、また、海山川の四季折々に特徴の際立つ自然環境ごとに生活の楽しさがあることなどなど、様々な切り口で新潟暮らしをアピールするテーマ設定は概ね出尽くしているようだ。私が着任した今年度も、これまでの取組を踏まえて、その延長として更に内容を磨き上げて集客を増やしたいといった方向感が決められていた。
イベント事というのは、意見や指摘をするは易いがその準備から後始末までを含めて小規模なものであろうが大変であることを私は経験的に知っていたので、新参者でもある私は、担当さんがここまでに企画調整してくれた内容にケチは付けずに、取り敢えずは既定路線で課長としての指揮を振るうこととした。ただ、これまでの取組や今年度の計画を見ていくと、新潟暮らしの良いところ、すなわち"ウリ"の発信に偏重しているように感じられたことが気になった。恐らくはどこの自治体でもウリのアピール合戦になっているに違い無い。海山川に島と何でもあるといっても新潟だけが唯一ということではなく、差別化の競争はいよいよ加熱していくだろう。そんな中でプッシュ型のセミナーからの転換が必要になっていくのではないかと直感的に思った。
そんな手法の一つとして「新潟暮らしセミナー」というものが新潟暮らし推進課創設の3年前から展開されていた。移住先進地といわれる他県の取組を参考としたもので、都内に住まう若者が立ち寄りやすい場所で主に休日の午後などに、40~50人程度のが入れるセミナールームを借用し、集まった若者達に新潟の暮らしの魅力を説明したり、関心をもった方と個別に移住や転職等についての相談会を行うものだ。
開催場所は、有楽町駅前の交通会館の中にある「ふるさと回帰支援センター」が基本となっていた。新潟県を始め全国の殆どの自治体が会員となっていて、抽選により借用できる大中小のセミナールームを相互に活用していたのだが、地方移住に関心のある来訪者とっても、移住先については必ずしも出身地へのUターンが念頭というわけでなく、色々な地域の魅力を見聞きしてみて考えたいという方も多いので、一箇所で違った自治体がセミナーを開催することは非常に便利なものなのだ。主催する我々も他の自治体の設営内容をチェックできてお互いの内容改善や充実につなげられるというもの。私が着任する以前からこうした情報発信のベースができあがっていたのだ。
会場の予約や設営手配の都合もあり、私が着任した当該年の年間のセミナー実施計画は日時に加えて内容も大方が既に決められていた。設営に係るロジ回しや効果的に集客宣伝したりするにはどうしても少ない課の職員だけで対応しきれず、前年度末にプロポーザルで広告代理店を委託者に選定済みであった。その提案の審査過程で、回ごとのテーマ設定やイベントの展開方法なども事実上決まっていたのだ。
昨年度の開催概況や今年度の企画案などを読み返したりしていると、新潟暮らし推進課が創設されて3年の間に、セミナーのテーマとして、稲作を中心に農業が主要産業である新潟において農業を生業としながらの田舎暮らしの魅力や、都市部もあって仕事も含めて都会的な生活需要にも対応できること、また、海山川の四季折々に特徴の際立つ自然環境ごとに生活の楽しさがあることなどなど、様々な切り口で新潟暮らしをアピールするテーマ設定は概ね出尽くしているようだ。私が着任した今年度も、これまでの取組を踏まえて、その延長として更に内容を磨き上げて集客を増やしたいといった方向感が決められていた。
イベント事というのは、意見や指摘をするは易いがその準備から後始末までを含めて小規模なものであろうが大変であることを私は経験的に知っていたので、新参者でもある私は、担当さんがここまでに企画調整してくれた内容にケチは付けずに、取り敢えずは既定路線で課長としての指揮を振るうこととした。ただ、これまでの取組や今年度の計画を見ていくと、新潟暮らしの良いところ、すなわち"ウリ"の発信に偏重しているように感じられたことが気になった。恐らくはどこの自治体でもウリのアピール合戦になっているに違い無い。海山川に島と何でもあるといっても新潟だけが唯一ということではなく、差別化の競争はいよいよ加熱していくだろう。そんな中でプッシュ型のセミナーからの転換が必要になっていくのではないかと直感的に思った。
(「新潟暮らし推進課7「新潟暮らしセミナー@回帰センター(その1)」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課8「新潟暮らしセミナー@回帰センター(その2)」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
https://twitter.com/rinosahibea