アラシゴトが忙しくて遅れ気味ですみません。
やっと一段落?
いえいえ、HDDが全然整理できていません
どうするんだろ・・・
ではどうぞ
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妄想ドラマ 『Snowflake』 (15)
美冬はなんと答えていいかわからずにいた。
具合が悪い時は誰しも不安で気弱になる。
悟はひとりになるのが寂しくて誰かにいてほしいだけなのか、それとも特別な想いがあって言っているのか。
もし後者なら、受け止めることはできない。
でもそんなはずはないと打ち消した。
やはり具合が悪くて不安なのだろうと思う。
「わかった。今夜はここにいるから大丈夫よ。なにかあったら言ってね」
悟は黙って頷いた。
安心したのか少し微笑んだように見えた。
美冬は悟が眠れるように部屋の灯りを消して、床に置かれたスタンドを点けると、ダイニングへ行った。
画材と絵が所狭しと並べられている。
イーゼルに架けられたままの絵には無造作に布がかかっていた。
自分がモデルになった絵かもしれないと思いそっと布をまくった。
そこには希望に満ちた表情の美冬がいた。
後ろにはアーチ型の窓が開かれていて、その向こうに花が咲き乱れる草原が
果てしなく続いている。
その絵を見た瞬間、悟の想いがまっすぐに心に飛び込んでくるのを感じた。
ひたむきな愛が溢れている。
美冬は戸惑いと嬉しさの入り混じった自分の気持ちが整理できなくて、暫く動けなかった。
元通りに布をかけると、徐々に胸の鼓動が治まって現実に引き戻された。
美冬は佐和野に年が明けたら、二人で新たな人生を踏み出さないかと言われたばかりだった。
もし答えがノーであっても、仕事で顔を会わせる美冬との関係が気まずくならないように、
言葉を選んでくれたのが佐和野らしい。
佐和野は大人でいつも優しく美冬を見守ってくれ、仕事も出来、学ぶことも多い。
彼の気持ちは前からわかっていたし、その気持ちに応えるつもりだ。
胸を焦がすような熱い想いはないけれど、それは自分が大人になったせいだろう。
結婚は、こんなふうに穏やかな愛情で包んでくれる人とだったら、うまくいくに違いない。
悟の気持ちは気づかなかったことにして、少し距離を置こうと思った。
個展のことは佐和野に進めてもらい、彼とのことを早く悟に知ってもらうしかない。
美冬は心を落ち着かせると、静かにベッドに寄りかかって座り、もう一度悟を見つめた。
それから17歳の時の悟を思い浮かべた。
6年経った今でも、自分の気持ちの中では悟は少年のままだ。
いつの間にか大人になったことに気づかないふりをしていた。
心のどこかに、悟に惹かれてしまいそうな自分がいて怖かったから。
気がつくとカーテンの隙間から白っぽい光が射し込んでいた。
クッションを枕に眠ってしまったのだ。
いつのまにか毛布がかけられている。
「帰らないでくれたんだ」
悟の声に驚いた。
美冬は視線を合わせないよう、手で髪を直す素振りをし、平静を装って言った。
「いつの間にか寝ちゃって、役にたたなかったけど」
「目が覚めた時、傍に誰かが居てくれるってほっとする。ありがとう」
「具合はどう?」
美冬は悟の額に伸ばしかけた手を思い直して引っ込めた。
「熱は下がってないけど、夕べほど苦しくはなくなった。風邪うつすと悪いからもう帰って。引き止めて悪かった」
「何か食べる?」
「今は欲しくない。あとで食べるよ」
時々咳が出ている。
「そう。携帯はどこ?心配だから連絡付くようにしておきたいの」
美冬は電池切れのまま部屋の隅に放置されていた携帯を充電器につなぎ、
悟に聞いて、着替えとタオルを出してベッドに置いた。
このままひとりにするのは可哀そうだったが、悟の気持ちを知ってしまったのに
二人きりでいるわけにはいかなかった。
「じゃ、行くね。食欲無くても水分はちゃんと摂らなきゃだめよ」
「大丈夫」
そう言ってベッドから起き上がると、悟はバイバイというように手を振った。
二日後、美冬はハワイへ旅立った。
顧客のIT企業の社長の別荘が完成したので、新年をハワイで過ごそうと友人とふたり招待されていたのだ。
出発前に悟から、熱は下がったから心配しないで楽しんできてというメールが届いた。
美冬は心配でたまらなかった気持ちを隠して、そっけない返事を送った。
悟からはそれきり連絡は来ない。
ハワイの空気や景色に触れて、悟のことで動揺した夜を記憶の奥深くに閉じ込めてしまいたかった。
ひとりになった悟は、布のかけ方が変わっていたことで、美冬が絵を見たことに気づいていた。
そして、美冬に対する自分の想いを彼女が知ってしまったことも。
-----------つづく------------
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あ~間に合った。
ここからラストまでは一気にいきたいなぁ。
勢いつけてね
あっ、妄想では私、ドSですからお忘れなく