昨日はおーちゃんのために4名様がサプライズを準備していたんですね
その場面に立ち会えなくて残念。
でもみなさんのレポ読んだだけでも十分感動しました
何十回目かわかんないけど“嵐のファンになれてよかった”と思いましたよ。
おーちゃんも幸せ者だね


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妄想ドラマ 『スパイラル』 (5)
「お疲れ様」の声が飛び交い、緊張の一日がやっと終わった。
報道、演劇関係者の評価は高く沢渡は上機嫌だ。
渉はホッとしたと同時に、幕が開く直前の美菜の言葉を思い返していた。
急に自分の気持ちを伝えたい思いが胸いっぱいになって抑えられなくなった。
あたりを見回したけれど、もう楽屋へもどったのか美菜の姿は見えない。
いつもより饒舌になった沢渡から解放されると、渉は足早に美菜の楽屋へ向かった。
楽屋のドアをノックするとマネージャーの川崎がドアを開けてくれた。
美菜はもう私服に着替えている。
渉は美菜に会ってどうするのか何も考えていなかったことに慌てた。
「きょうは素晴らしかったわよ高野さん。美菜がここまで頑張れたのはあなたのおかげ。
これで安心して初日を迎えられるわね」
「ありがとうございます」
「せっかく来ていただいたけど、これからテレビの収録が1本あってね、時間がないのよ」
その時、美菜が川崎の話をさえぎった。
「2,3分ならいいでしょ?」
「そうね。どうぞ」
「川崎さん、先に車に行ってて」
美菜がそう言うと川崎の表情が一瞬険しくなった。
しかしソファにあった美菜の荷物らしい大きなバッグを持つと念を押すように言った。
「時間が無いこと忘れないでね。2,3分よ」
川崎が楽屋を出てドアを閉めるなり、美菜は入り口に立っていた渉に駆け寄った。
「今日の私に合格点くれる?」
「沢渡さんもほめてたよ。でもまだスタート地点に立ったところだからね
本当の幕はまだ開いてない」
「沢渡さんじゃなくて渉さんにほめてもらいたいの」
「どうして?」
「また言わせるつもり?」
「美菜ちゃん・・・」
「美菜でいい」
渉は我慢できずに美菜を抱き寄せて言った。
「好きだよ美菜」
「ずっとこうしていたい」
渉はもっとお互いの気持ちを確かめたかった。
でも今の二人に許されたのは数分だけ。
「渉さん携帯は?」
「楽屋に置いてある」
「取りに行く暇ないね」
美菜はバッグから手帳を取り出すと何かを書いて、そのページを破って渉に渡した。
「私の携帯とメアド」
その時ドアがノックされた。
返事をする前にドアが開いて川崎が顔をのぞかせた。
「美菜ちゃん、時間オーバーでしょ。急いで」
「ごめんなさい。それじゃ渉さんお疲れ様でした」
慌ただしく美菜は行ってしまった。
渉は胸の高鳴りが消えてしまわないように手の中のメモの感触を確かめた。
自分の楽屋へ入ろうとしたき、川崎が廊下を走って戻ってきた。
「どうしました、忘れ物?」
「そうよ。高野さん、あなたに言っておかなくちゃいけない大事なことがあるの」
川崎は渉の腕を掴むと急に声を潜めた。
「美菜はラブストーリーをやるとね、相手役の役者さんに本気で惚れちゃうのよ。
役と自分の気持ちを混同してしまうのね。でも、撮影が終わると憑き物が落ちたみたいに
突然その恋は終わる。
だからあなたもそのつもりでいてちょうだい。舞台の間だけよ。本気にするとあなたが傷つくだけ」
渉は混乱したけれど、美菜にもらったメモを握りしめて言った。
「わかりました。でも僕は大丈夫です」
「さっき美菜になにか言われた?」
「いえ、別に。今日の芝居について話しただけです」
「そう、ならいいの。タイムリミットだから行くわね」
「お疲れ様でした」
渉は今夜のうちに美菜に電話しようと思った。
川崎の言うことなんて信じない。
いや、川崎が言ったことが本当でもかまわない。
美菜の気持ちが一時の気の迷いでも、自分が美菜を思う気持ちは変わらないから。
そしてきっかけはどうでも、この先の二人のことは誰にもわからないと思う。
美菜に自分の気持ちを伝えたことで、渉はもう熱い気持ちを抑えることはできなくなっていた。
----------つづく--------
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