令和6年6月3日、プレジデントオンライン配信の「愛子さま、佳子さまの「将来の年収」を左右する…「女性皇族は結婚後も皇族残留案」の抜群のメリット」と題する記事がある。
また八幡和郎氏である。
記事中、以下の記載がある。
-----引用開始-----
■「女性宮家」は小室家騒動で立ち消え
野田佳彦内閣(2011年9月~2012年1月)のときに、女性宮家という案が話題になった。眞子さま・佳子さま・愛子さまらを当主にした宮家を創設して、夫や子も皇族にしようというものだった。
当時、「彼女たちがもし、疑問がある男性と結婚したいと言ったら困る」と私たちが指摘したら、推進派の人たちは、「皇室の女性たちは常識があるし、宮内庁にも調査能力があるから心配する必要はない」と言った。
ところが、眞子さまと小室圭氏の婚約予定が公表されたあと、小室家のスキャンダルが出た。皇族の良識も宮内庁の調査能力も幻だった。もし、野田内閣が続いて、女性宮家が実現していたら小室圭氏はいまごろ「殿下」になっていただろう。
そこで風向きが変わり、女性宮家案は力を失い、女性皇族のみが皇室に残る「単独残留案」にシフトしたのだから、野田元首相が女性皇族の結婚相手を皇族にしたがるのは、反省がない無責任な態度だ。
-----引用終了-----
まず指摘しておきたいのは、女性宮家案が力を失い立ち消えになったのは、時系列的に、小室家騒動とは関係がないということである。
野田佳彦内閣の時の女性宮家案というのは、平成24年(2012年)10月5日、内閣官房により取りまとめられた「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」のことを指しているはずであるが、これが力を失い立ち消えになったのは、同年12月26日より安倍晋三内閣となり、安倍内閣が女性宮家案を白紙にすることとしたからである。
例えば、平成24年12月31日の産経新聞に掲載された安倍総理へのインタビューの中で「全く白紙から検討していきたい」と述べたことは、この問題に関心のある者であれば、誰でも知っているであろう。
眞子内親王殿下の御婚約内定は、平成29年9月3日であるが、それよりもずっと前のことであり、女性宮家案をつぶしたのは安倍さんである。
それにしても、「もし、野田内閣が続いて、女性宮家が実現していたら小室圭氏はいまごろ「殿下」になっていただろう。」という言い方は、酷いものだ。
眞子内親王殿下は皇室を出ることを前提にした上での小室圭氏の結婚だったのであり、皇室に迎えることを前提にしていたわけではなかった。
例としては逆方向の例であり、また、そもそも「複雑性PTSD」になってしまうほど傷つかれた方について、こういう形で取り上げるのは、人の道に反するのではないかと思う。
このような具合で、あまり細々と読み込むのもどうかと思い始めていたところ、以下の記載が気になった。
-----引用開始-----
ただし、常陸宮・三笠宮・高円宮各宮家の当主には3050万円なのを、従来の皇太子殿下の費用とほぼ同額ということで、秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円が支払われるようにした。
-----引用終了-----
天皇御一家と皇太子御一家は、全部合わせて内廷費(3億2千4百万円)となっており、その内訳は良く分からないというのが実態である。
少なくとも、皇太子殿下の分はいくらであるといった話は聞いたことがない。
それなのに、「従来の皇太子殿下の費用とほぼ同額ということで、秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円」などと書いてある。
そこで、「秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円」となった根拠を確認すると、平成29年4月21日付け天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議最終報告の18ページに、以下のように記載されている。
-----引用開始(下線は筆者)-----
3 皇室経済法上の経費区分
文仁親王殿下を皇太子としない場合、皇室経済法上の位置付けは、御家族を含め、引き続き内廷外皇族であり、皇族費の対象となる。
ただし、この場合であっても、皇位継承順位第一位というお立場の重要性や御活動の拡大等に鑑み、皇族費の額を増額することが必要である。具体的には、皇室経済法において、摂政たる皇族に対する皇族費の支給について、その在任中は定額の3倍に相当する額の金額とする旨が規定されていることも参考とし、これに相当する程度に増額することが適当である。
-----引用開始-----
なんと、皇太子と同額というのではなく、摂政と同額という話だったのである。
これは、八幡氏の記事がいい加減だという話とは別に、かなり衝撃的である。
まず、これは明らかにもらい過ぎである。
摂政とは、「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」に置かれるもの(皇室典範第16条第2項)で、国事行為はすべて摂政が代行することになる。
そのような重要な役割を果たすことになるからこそ、「定額の三倍に相当する額」(皇室経済法第6条第4項)となっているのである。
しかしながら、現在の天皇陛下がお元気であり、自らお務めを果たしておられるのであって、皇嗣殿下が代行する場面はほとんどないのではないか。
天皇陛下が外国御訪問をなさる際に臨時代行を務めるぐらいであろう。
それにも関わらず、常時代行者としての摂政と同額というのはおかしい。
皇嗣殿下について、皇太子と同様の扱いということはこれまでにも念頭にあったが、実は摂政待遇であったというのは、今の状況を理解する上で、把握しておくべきであろう。
それにしても、摂政というのは、その時の天皇が役目を果たせない時に置かれるものである。
天皇陛下に本当に敬意を抱いているのであれば、もちろん摂政そのものではないしにても、摂政待遇の存在を設けるというのはできないはずである。
つくづく、安倍系保守というのは信用ならない。
され、ここからは筆者の妄想であるが、皇嗣殿下が摂政待遇とするという発想は、皇位継承の本命を皇嗣殿下の系統にあるという発想に通じるのではないか。
そして、これは、嫌な話ではあるのだが、近い未来、天皇陛下に譲位を迫る動きが生じるかもしれない。
天皇陛下と皇嗣殿下の年齢差は5年9ヶ月であり、皇位継承について、天皇陛下、皇嗣殿下、悠仁親王殿下という流れを考えた場合、皇嗣殿下があまり高齢になってからの即位は都合が悪いという話は、いずれ必ず出てくる。
この問題については、以前、
「次の皇位継承の問題」
「次の皇位継承の問題2(悠仁親王殿下のお立場)」
という記事を書いたが、これは皇嗣殿下の即位をスキップするという案である。
しかしながら、別の方策として、天皇陛下に譲位を迫り、皇嗣殿下の即位、悠仁親王殿下の立太子という方策を考える者が出てきたとして、不思議はない。
何せ、上皇陛下の譲位という実例は既にあるので、ハードルはそれほど高くはなく、何より、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」ということと、まさに合致するのである。
愛子内親王殿下の立太子を実現しない限り、このような方向に向かわざるを得ないこととなろう。
また八幡和郎氏である。
記事中、以下の記載がある。
-----引用開始-----
■「女性宮家」は小室家騒動で立ち消え
野田佳彦内閣(2011年9月~2012年1月)のときに、女性宮家という案が話題になった。眞子さま・佳子さま・愛子さまらを当主にした宮家を創設して、夫や子も皇族にしようというものだった。
当時、「彼女たちがもし、疑問がある男性と結婚したいと言ったら困る」と私たちが指摘したら、推進派の人たちは、「皇室の女性たちは常識があるし、宮内庁にも調査能力があるから心配する必要はない」と言った。
ところが、眞子さまと小室圭氏の婚約予定が公表されたあと、小室家のスキャンダルが出た。皇族の良識も宮内庁の調査能力も幻だった。もし、野田内閣が続いて、女性宮家が実現していたら小室圭氏はいまごろ「殿下」になっていただろう。
そこで風向きが変わり、女性宮家案は力を失い、女性皇族のみが皇室に残る「単独残留案」にシフトしたのだから、野田元首相が女性皇族の結婚相手を皇族にしたがるのは、反省がない無責任な態度だ。
-----引用終了-----
まず指摘しておきたいのは、女性宮家案が力を失い立ち消えになったのは、時系列的に、小室家騒動とは関係がないということである。
野田佳彦内閣の時の女性宮家案というのは、平成24年(2012年)10月5日、内閣官房により取りまとめられた「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」のことを指しているはずであるが、これが力を失い立ち消えになったのは、同年12月26日より安倍晋三内閣となり、安倍内閣が女性宮家案を白紙にすることとしたからである。
例えば、平成24年12月31日の産経新聞に掲載された安倍総理へのインタビューの中で「全く白紙から検討していきたい」と述べたことは、この問題に関心のある者であれば、誰でも知っているであろう。
眞子内親王殿下の御婚約内定は、平成29年9月3日であるが、それよりもずっと前のことであり、女性宮家案をつぶしたのは安倍さんである。
それにしても、「もし、野田内閣が続いて、女性宮家が実現していたら小室圭氏はいまごろ「殿下」になっていただろう。」という言い方は、酷いものだ。
眞子内親王殿下は皇室を出ることを前提にした上での小室圭氏の結婚だったのであり、皇室に迎えることを前提にしていたわけではなかった。
例としては逆方向の例であり、また、そもそも「複雑性PTSD」になってしまうほど傷つかれた方について、こういう形で取り上げるのは、人の道に反するのではないかと思う。
このような具合で、あまり細々と読み込むのもどうかと思い始めていたところ、以下の記載が気になった。
-----引用開始-----
ただし、常陸宮・三笠宮・高円宮各宮家の当主には3050万円なのを、従来の皇太子殿下の費用とほぼ同額ということで、秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円が支払われるようにした。
-----引用終了-----
天皇御一家と皇太子御一家は、全部合わせて内廷費(3億2千4百万円)となっており、その内訳は良く分からないというのが実態である。
少なくとも、皇太子殿下の分はいくらであるといった話は聞いたことがない。
それなのに、「従来の皇太子殿下の費用とほぼ同額ということで、秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円」などと書いてある。
そこで、「秋篠宮皇嗣殿下には3倍の9150万円」となった根拠を確認すると、平成29年4月21日付け天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議最終報告の18ページに、以下のように記載されている。
-----引用開始(下線は筆者)-----
3 皇室経済法上の経費区分
文仁親王殿下を皇太子としない場合、皇室経済法上の位置付けは、御家族を含め、引き続き内廷外皇族であり、皇族費の対象となる。
ただし、この場合であっても、皇位継承順位第一位というお立場の重要性や御活動の拡大等に鑑み、皇族費の額を増額することが必要である。具体的には、皇室経済法において、摂政たる皇族に対する皇族費の支給について、その在任中は定額の3倍に相当する額の金額とする旨が規定されていることも参考とし、これに相当する程度に増額することが適当である。
-----引用開始-----
なんと、皇太子と同額というのではなく、摂政と同額という話だったのである。
これは、八幡氏の記事がいい加減だという話とは別に、かなり衝撃的である。
まず、これは明らかにもらい過ぎである。
摂政とは、「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」に置かれるもの(皇室典範第16条第2項)で、国事行為はすべて摂政が代行することになる。
そのような重要な役割を果たすことになるからこそ、「定額の三倍に相当する額」(皇室経済法第6条第4項)となっているのである。
皇室典範
第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
皇室経済法
第六条
④ 摂政たる皇族に対しては、その在任中は、定額の三倍に相当する額の金額とする。
第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
② 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
皇室経済法
第六条
④ 摂政たる皇族に対しては、その在任中は、定額の三倍に相当する額の金額とする。
しかしながら、現在の天皇陛下がお元気であり、自らお務めを果たしておられるのであって、皇嗣殿下が代行する場面はほとんどないのではないか。
天皇陛下が外国御訪問をなさる際に臨時代行を務めるぐらいであろう。
それにも関わらず、常時代行者としての摂政と同額というのはおかしい。
皇嗣殿下について、皇太子と同様の扱いということはこれまでにも念頭にあったが、実は摂政待遇であったというのは、今の状況を理解する上で、把握しておくべきであろう。
それにしても、摂政というのは、その時の天皇が役目を果たせない時に置かれるものである。
天皇陛下に本当に敬意を抱いているのであれば、もちろん摂政そのものではないしにても、摂政待遇の存在を設けるというのはできないはずである。
つくづく、安倍系保守というのは信用ならない。
され、ここからは筆者の妄想であるが、皇嗣殿下が摂政待遇とするという発想は、皇位継承の本命を皇嗣殿下の系統にあるという発想に通じるのではないか。
そして、これは、嫌な話ではあるのだが、近い未来、天皇陛下に譲位を迫る動きが生じるかもしれない。
天皇陛下と皇嗣殿下の年齢差は5年9ヶ月であり、皇位継承について、天皇陛下、皇嗣殿下、悠仁親王殿下という流れを考えた場合、皇嗣殿下があまり高齢になってからの即位は都合が悪いという話は、いずれ必ず出てくる。
この問題については、以前、
「次の皇位継承の問題」
「次の皇位継承の問題2(悠仁親王殿下のお立場)」
という記事を書いたが、これは皇嗣殿下の即位をスキップするという案である。
しかしながら、別の方策として、天皇陛下に譲位を迫り、皇嗣殿下の即位、悠仁親王殿下の立太子という方策を考える者が出てきたとして、不思議はない。
何せ、上皇陛下の譲位という実例は既にあるので、ハードルはそれほど高くはなく、何より、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」ということと、まさに合致するのである。
愛子内親王殿下の立太子を実現しない限り、このような方向に向かわざるを得ないこととなろう。