そりゃ 使う量も5人分ですよ
誰かの手を借りることなく
それぞれが
それぞれのものを
それぞれの流儀で
それぞれに始末するわけですから
行き場をなくした芯のところが
日に日に増えていくばかり
何やら密かな企てが
粛々と進行しつつあることに
気づいた時には
もう遅く
ひとたび自分のところに
バトンが来たならば
何人たりとも
それを拒むことはできないのです
そもそも
事のはじまりは
いつだったのか
そして
誰が始めたのかすら
分からないのです
なぜなら
そこから出た者たちは
一様に口を閉ざし
それについて
いっさい話題にしないからです
特に聞いてみようかと
思うほどのことでもないし
誰の口からも
何ひとつ語られることなく
それは
日毎に
のびていく
ひとつ
そして
またひとつ
しかし
どれだけ積み上げようと
そこに何か意味を見出そうとしても
役目を終えた芯は
ただの芯にしかなりえないでしょう
それが証拠に
こんな大きなオブジェが
完成したことを
歓喜するものは
一人もいませんでした
そして
もはや
驚きも
感動もしないのですが
やはり
増築が始まっていたのでした