サビーノ独特の花瓶につづくは







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ボヘミアングラスの花瓶2点、
姿のそっくりな青と赤・°
トウジランキ ドウアカ
( 青=透地藍被 / 赤=銅赤着彩 )

シュッとスリムで
阿吽のように並び立つ、
透地藍被と銅赤着彩...どちらも
グラヴュール彫りで鹿文花瓶(=シカモン・カビン)。

長いながいラッパ型です。
つつつつー・・・と、
末広がる口べりに向かい
胴をなぞるように観ていけば、
その曲線がすべすべと目肌に触れる心地...
優美だわ。

どうでしょうこの色合い...
銅赤は
その名が知らせるとおり、
銅で発色させた深く沈む赤。
...しっとり大人しやかな
体の奥深くを巡る血色とも似て、
尊さすら感じる
生命的な赤。
血液は鉄由来ガラスは銅由来
そこが、
似てはいても
非なる赤の成分か・°

鹿文アップ。
構図は同じでポーズが違う。
青の鹿は嘶くように跳ねあがり、
赤の鹿は立ち止まって周囲を見渡すかのよう...
まるで静と動の一対
藍被花瓶は1880年作で
銅赤花瓶は1870年作、
時に10年の開き...
10年越しで揃ったのね。
ほぼ同じ風景が描かれているのは、
自然豊かなボヘミアの伝統的な
文様だからなのでしょう。

それぞれに凝らされた
お足元のフォルムと装飾。
長身を支えるプレート面の
模様や縁どりは可愛らしくて・°

グラヴュール彫り
銅製の
回る円盤にガラス表面を
当てて彫りこむ作業なのだそう。
二つを見比べると・・・

繊細でいて力強い
彫りの微妙な力加減に、
手先や指先に集まる細やかな...
神経と集中力を察せられる思い
職人さん特有の
勘と技が表出させた、
ガラス彫刻の文様芸術なのだわ。
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