Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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ビッグバンドから日本という国を考える

2021年05月12日 10時22分00秒 | music

ビッグバンドは社会の縮図だ。


団体行動が苦手な僕にとっては、それを長年続けているミュージシャン達をとても尊敬する。僕はプライベートな旅行でさえ、団体旅行は無理だし、一人旅かパートナーとだけ(まぁ、それでさえも揉め事に発展する事も有るけどw)じゃないと厳しい。そんな僕から見て、大所帯を纏め上げるビッグバンドのバンマスって大変だろうなと想像する。


このレコードのB面一曲目「Prologue」では、各メンバー(言わば社員)の紹介を各人のソロを交えながら、ケントン自らのナレーションと、尖ったオーケストレーション(トロンボーンのビル・ルッソのアレンジ)をバックに行っている。「この人はこういう役割でこのバンドに貢献してます。」みたいな。勿論、自己紹介も有る。「アイデアを出して纏め上げる他にも仕事が有る。それは『金儲け』だ。」というシニカルなギャグ入りで(笑)。


西海岸ジャズやクールジャズが最近のお気に入りである僕にとっては、各メンバーが垂涎ものの名手で構成されてる事は当然ながら、あのリー・コニッツ(as)が、このビッグバンドの中でどんな立ち位置なのか聴きたくて買ったアルバムである。で、そのコニッツはどうかというと、トリスターノ時代そのままに、まるでコンボで演奏してるかの様に自由にソロを取ったりしている。流石である。このバンドでは最早スター扱いだ。でも、こんな人をビッグバンドで雇うって事自体、アレンジも含めて何かと大変な筈。


で、僕はと言うと、そもそも人が沢山居るのが苦手だ。呑み会でも、バンドでも、なんでも5人がマックスで、それ以上人が集まると、自分で完全にオーガナイズ出来る筈もなく、ベクトルが一つに纏まらないのが何とも苦手なのだ。自分自身は協調性に欠けてるというのにだ(笑)


呑み会だと、10人も集まれば、そのうちグループに別れて別々の話題が始まり、割と席をシャフルする事も無くそのまま会が終わる事が多いけど、なら、最初から5人で呑めばいいやん!と思ってしまうのだ。折角10人以上集まったのだからと、一人奮起して、あちこちに気を遣ってお酌しに回ったり、全員に聞こえる様な大声でギャグを発したりするのが実は非常に疲れる。それを事前に想像すると呑み会の前に疲れてしまい、会にさえ行きたくなくなる事もしばしば。サービス精神が旺盛ではあるけど、また一方で自分がオーガナイズしきれない大所帯には全く向いてないというのが僕という人間らしい。コロナ禍の今となっては、懐かしい話でもあるが。


色んな性質の人が存在するのが「社会」であり、ある程度、ほったらかして自由に泳がせる事が出来る人が、会社の社長の然るべき姿だと思う。バンドで言えば、メンバーの性格を見極めた上で、自分の責任の元、好き勝手やらせつつ、調整役を買って出て、メンバー全員が気持ち良く演奏出来る様に仕向けるのが、バンマスの、特にビッグバンドの様な大所帯のバンマスの在るべき姿であろう。そういう意味では自分は失格な気もする。完全にオーガナイズしたがるので。


だから、一人で部屋に篭って、打ち込みしたり、ミックスしたりが好きなのだと思う。機械はあまり文句言わず(時々フリーズという抵抗を見せるが)、思った通り働いてくれるので。でも、一方で、全て自分のセンスのみでオーガナイズして出来上がったものが、必ずしもパーフェクトだとも思ってなく、それぞれのスペシャリストが自らのコダワリを持って、持ち寄って完成したものの方が断然面白いに決まってるとも思っている。


だから、自分のバンドでは、ジャズという自由な音楽をやってる以上、敢えてメンバーには好き勝手やらせる様に気を付けている。5人くらいまでだと、それ程ベクトルがあちこちに行く事は稀だし、また、それ程方向性が違う者同士が集まる事も無いから楽なのだ。



何故、こんな事を書き出したかと言うと、こんなに色んな人間が世の中に居るのに、日本という国は、割と、好き勝手にやる人間がそれ程居ないという事が言いたかったのだ。たまに、無差別殺人鬼の様な人間の「不良品」を生み出してしまうけど、それでも、「常識」や「しがらみ」という言葉に縛られて、軌道修正を自らやる国民性が有る。僕の海外生活での経験から、世界でもかなりレアなケースだと考えている。面白味に欠けると言われればそうかも知れない。でも、死者が出たり掠奪が行われる様な暴動が滅多に起きないのは、ひとえにこの国民性の賜物だ。


コロナ禍で政府や行政がやった事なんて失敗続きで全く評価に値しないのだが、結局のところ、国民それぞれが無意識に協力し合って、ある程度の感染拡大防止に大きく貢献していると思うのだ。これは、誇りに思うべき事だと思うし、世界的にも評価されるべき事だ。政治機構が「バンマス」とすれば、こんなに扱いやすい「メンバー」は他に居ないと思うのだが、肝心のオーガナイズの仕方が下手だと来てる。ま、「こんなバンマスの元ではやってらんねぇよ!」となると、「バンド脱退」と言うことになるのだが、その場合、祖国を出ることになるわけで、他の国を探さなきゃならないという新たな壁にぶち当たる事になる。それでも尚、実際に優秀な人材が他国に流出してる事実は決して見逃す事は出来ない。


だから、大志を持って政治を志した者が、この期に及んでちっぽけな利権やらで、国民をミスリードするなんて事は有ってはならない事だ。バンマスはメンバーに気持ち良く演奏させる事が最大の仕事の筈なのだから。メンバーとしては非常に扱い難く、協調性に欠けている僕に言われてちゃダメだと思うんだけど(笑)



これとは関係ないけど、オリンピックに関して既にこのブログに書いてて懸念していた事が、やはり起こった。アスリートに対する風当たりである。僕は、この状況でオリンピックをやる事には反対だけど、それをアスリートに向ける事は断じて間違ってると思う。


政府には、この様な異例で異常な事態で違約金の様な無駄金を血税から払わされて、IOCが全く痛手を負わないなんて理不尽を何とか調整力で食い止めて欲しいと願う。国民は全員怒り狂ってますよ。


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