先程SNSで、日本のサッカーチームの欧州人の監督がヨーロッパ諸国と比べた際の日本人の民度の異常な程の高さと、それに本人達が気付いて無い事に対する奇妙さについて言及している記事を読んだ。
確かにそういう部分も有るだろう。アメリカに長く暮らしてたから、そう感じる部分も有る。でも、こと文化芸術に対する民度ってそれ程じゃないんじゃないか…って思う。
僕がファースト・アルバムである『Weather Eyes』をリリースした時にこんなメールを頂いた。
その人は、マイナーであるジャズのアルバムを図書館がどんどん仕入れる様に促す活動をしているという。それに関しては、リスナーを少しでも増やしたいという気持ちを察して御立派だと思う。でも、リリースしたての僕のアルバムもそうする様に活動に協力して欲しいと仰るのだ。
今や廃盤となった『Weather Eyes』に対して、現時点でのご協力なら問題無い。しかし、制作費を掛け、漸くリリースに漕ぎ着けたアルバムをいきなり、図書館でタダで聴ける様に協力しろと、作った本人である僕に言えるこの人は一体何なんだ⁇と思った。
恐らく、「ジャズを広める」という大義名分で眼が見えなくなり、演奏スキルを上げる為の日々の努力や制作に関する苦労や費用や葛藤などに全く思いを馳せる事が出来ない御仁なのであろう。我々ミュージシャンがどうやって生活費を稼いでるのかほんの少しくらいはイメージ出来ても良いのでは?と思う。でも、僕のキャリアの中でこういった人に会ったのは一度や二度ではない。
僕は世界で常識になってるサブスクが如何にミュージシャンを苦しめてるかを鑑み、また自分も痛い目に会ったので(関連記事)、反発して利用しない様にしている。勿論、中々手に入らない音源が簡単に聴けるという利便性は認めているし、利用してる人は羨ましいんだけど(笑)
ただ救いなのは、日本人がいまだにレコードやCDの収集が好きで、新譜リリースの度に多くの方々に買って頂いている事だ。なにもそこで海外の真似をする事はない。若い世代からはサブスクにも出品して欲しいとの要望が出ているけど、バブル崩壊後に育ち、お金を使いたがらない世代に合わせていたのではビジネスとして成立はしない。また、若者の流行や思考は移ろい易い。僕は完全にターゲットを同世代以上に設定する事にした。辛うじて、その世代には文化芸術に対するお金の使い方をご存知の方々が多いと思うからだ。
ただ、最近レコードを収集する若者が増えて来たという。その音質の良さに気付いたらしいのだ。それはとてもオジサン世代には嬉しい事。レコードが若者達に音楽の価値を教え、ひいては文化芸術に対する民度を高める事に繋がってくれればと祈る。
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