近所のスーパーに行くと、よく「香水」という歌がかかっている。
僕はどうもあの曲が苦手だ。歌は上手いと思うし、特段曲が悪いわけでなくごく普通のJ-pop(山下達郎や冨田ラボほどの衝撃は無いという意味)だと思う。
ただ、あの「ドルチェ&ガッバーナの その香水のせい」というメインであろう歌詞の違和感が、とてつもなく嫌なのだ。「ドルチェ&ガッバーナ」というフレーズ有りきで無理矢理入れた様な、お前、それが言いたいだけやろ…的な。
まぁ、しかしながら普段音楽を聴く上で殆ど歌詞が入って来ず、メロディとコード進化にばかり耳が行く僕に、歌詞の不快感という形でも爪痕を残したのだから、この方式はある意味大成功なのかも知れない。若い子には、このフレーズがウケてるみたいだし。
ジャズの「リック」ってこういう事なのかも…と、ふと思った。
生徒に対して、何がフレーズで、何がリックで、何がメロディか?って説明は結構難しい。要はパズルみたいに嵌め込んだだけのものをリックと言う…って事にしてるけど、自然な流れではなく、あまりにも流れを無視した唐突なフレージングが違和感と不快感に結び付くので、リックプレイは避けるべき…なんだけど、当て嵌める練習もしないと、コードのサウンドからフレーズを導き出すことも出来ない。だから、コピーしたものを音源と一緒に演奏する練習やⅡ-Ⅴのカラオケに合わせる練習を繰り返したりもするわけで。
でも、長年演奏して来て、漸く最近気が付いてきたのは、「メロディ」ってのはトーナリティさえ合ってれば、コードをそれほど意識してなくても、多少ズレてても物凄く説得力の有るものだという事。若い頃、NYで演奏してて先輩ミュージシャンから「リックを吹くな!メロディを吹け!」と言われた意味が25年ほど経って漸く理解出来てきた気がする。
それにも、自然に湧いて出た物でないといけない…という条件が付く。たまたま流れで落ち着いた音から始まるメロディを、その場で思い付いたから、とっさに吹く…というような。
結局、それには凄まじい語彙力が必要だし、思い付いたものをすぐ演奏可能に出来る技術力だって必要だ。
うーん、分かりやすくお笑いに例えると、雛壇芸人に散々喋らしといて、ここぞ!という時にポーンと一言とてつも無い例え話やギャグを発するダウンタウンの松ちゃんが僕の理想って事になる。彼の語彙力と瞬発力は凄まじいと思うので。
要は、準備したものを、周りの雰囲気とかを無視して、練習した通りにブチ込むだけブチ込んで、その後の処理も無く、練習した通りに終わるのがリックプレイという事かな。ジャズはスタイルが日常会話なので、人の話も聞かず勝手に一人で喋ってると嫌われる…まぁ、呑み会での最低限のマナーと似てるとこが有ると思う。やっぱ、呑み会で面白い人は、よく話を聞いていて、周りの反応見て、ここぞ!という時にフィットした言葉を発するものだ。
スーパーで「突然、なんでドルチェ&ガッバーナって企業名が出て来んねん!覚えたてか!」と心の中でツッコミながら、今日も買い物をする自分が居る。
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