Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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「仕事」に関する一考察

2008年12月19日 01時53分12秒 | Weblog
今日は久々の完全オフ。でも、ちょいと用事が有って朝早起き。溜まってたブログの宿題も朝のうちに済ませ、郵便局に行ったりしつつも、殆どを自慢のオーディオでレコードを聴くという贅沢な過ごし方で一日を終えた。あ~、でも今日録画していた「風のガーデン」が最終回ロングバージョンとは知らず、先程見てみたら最後の方が切れていた。ショック。レコード聴いてないで、生で見てれば良かったかぁ?でも、早い時間帯は大音量で聴けるし・・。

まぁ、こんな休日の過ごし方も有りだけど、殆どの場合、一日中練習して終わるのがミュージシャンの休日の過ごし方ってなもんだ。もちろん、休憩を挟みつつだけど。そういうのを鑑みれば、いわゆる「時間外労働」が最も多い人種の一つではないだろうか。趣味と実益を兼ねてるから、殆どの人がそれを嫌がるわけではないのだけど。(笑) まぁ、楽しく演奏して金が稼げるなら、これ程楽しくて楽な商売も無いのだけど、たまにふとこの「時間外労働」について考える。こういう隠れた努力が無ければ、スキルUPも望めないし、維持することも難しい。

ワイドショウやニュースでは、最近の「派遣社員切り」が連日報じられている。僕の様な自営業だって、いつ、お店やバンドや、あるいはレッスンをしている学校からクビを宣告されるか分かったものではない。今年も長年やって来た仕事が急に無くなってしまったり、やっと手に入れたレギュラーの仕事が無くなってしまったりが有った。世の中不況だから仕方ない。でも、今までの経験から、それが残念ながら日常茶飯事になっているジャズ業界に身を置いているため、珍しくも感じず、「もしも」の事を考えて、常に「次の手」を考えながら生活している。それは、時には営業努力であったりもするのだけれど、今は専らスキルUPのための努力に主眼を置いている。僕自身が良いプレーヤーでなければ、新しい仕事なんて入ってこないし、今有る仕事でさえ、他の誰かに奪われる可能性を孕んでおり、危機感を持って臨んでいなければ仕事は減る一方だ。ただでさえ年齢と共にテクニックの維持が難しくなって来ているし。(苦笑)

「ハケン切り」報道を見ていて思ったのは、会社は元々、ハケンの彼らとは「パートナー・シップ」を持つつもりが無かったわけで、だからこそ「ハケン」なわけで、「正社員」と明らかに一線を画している。もちろん、不況の昨今、就職もままならず正社員になる事は困難を極める。しかし、ハケンである以上、そのリスクは常に付きまとうわけで、特に若い世代にはその辺りの危機感を持って仕事に就いて欲しいと思う。

僕が居た頃のアメリカでは、スキルUPと共にそれを完全に自己評価として会社にアピールし、更に良い条件を望むか、あるいは違う場所にその条件を求めるか・・それが当たり前で、まさにプロ野球の契約更改と同じシステムだ。そのアメリカも現在の不況下ではどうなのか分からないけど。でも、今や日本もそうなりつつある。終身雇用が根底から崩れ、大学を出てサラリーマンにさえなれば安泰と言われたバブル時代の僕らの就職時とは大違いだ。

さて、自分の職場に話を戻すと、「パートナー・シップ」は、今の僕の周辺では何とか保たれているような気がするから、僕はまだ幸せな方なんだと思う。この歳になるまで「ミュージシャン」で居られる事って奇跡だと思うし、色んな人に感謝すべきなんだと思う。お客さんが少なくても「また、やりましょう!」と言ってくれるお店のマスター、生徒集めを必死で考えてくれるスクールのスタッフなどなど・・「パートナー・シップ」が無ければこんな仕事は成立しようがない。僕がそれに応えるには、演奏もレッスンも常に質を向上させるしかないのである。したがって時間外労働は当たり前の事として自分に義務付けて然るべきである。

しかしながら、この「パートナーシップ」を全く理解できずにこの仕事をしている輩が結構居るのが、悲しいかな現実である。そういう輩は大概、営利の事しか考えていない。この業界、金回りが非常に悪く、大変なのはよく分かるのだが、単純に営利目的なら違う業種を選ぶべきだと僕は思う。僕がこの業種を選んだのは金持ちになるためでは決して無い。音楽を聴いていると心が豊かになるから、自分もそれを提供出来る様になりたいという「夢」の実現である。心を豊かにするのが「音楽業界」の本来のあるべき姿にも拘らず、営利ばかりが先行している。でもね、営利のために心が豊かになれないものばかりを提供していても、結局は付け焼刃なんですよ。

僕はこの大不況は様々な人間界の実情に対する「浄化作用」だと考えている。馬鹿げた経済の動向(以前のガソリンの高騰などがまさにそう)、頭の悪い官僚や政治家・・今までの諸悪の根源が浄化されるための必然であると僕は思う。その結果、遠い所からエコロジーという考えが地球上に広がった事は大きな功績でもある。その浄化作用の中で僕はひょっとしたらミュージシャンで居続ける事は不可能かもしれない。僕より才能に恵まれた人はたくさん居るしね。でも、人に望まれる事をしてお金を稼ぐ事が仕事であり、望まれて働く以上、人間らしい生活を保障されるのが社会のはず。個人レベルでは「何がやりたいのか?」と「自分に何を求められているか?」を真剣に考える必要があるだろうし、目先の小さな営利よりも個々のパートナー・シップに目を向けて貰いたい。

映画「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」でミュージシャンの老人が「音楽の仕事がなくなった時は、食うために何でもした。でも、また音楽が出来る様になればやればいいんだ。その繰り返しだ。」みたいなセリフを言ってた気がする。老人は、すごい歳とってから、キューバからアメリカにツアーに出かけ、世界的に有名になった。そんな人生だってあるんだから。
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