つれズレ愚抄

つれ：「避難所の閉鎖とか地震学会の自己批判とかのニュースに時間の経過を感じるけれど、気象庁さんも津波警報の出し方を改めるんだっけかねぇ」

ズレ：「地形によって高さや勢いも違ってくるから、一律に何ｍたって実際の脅威は伝わりにくいやな」

つれ：「被害に遭った経験値があれば予報に係数を掛けて予測するって手もあるけどねぇ」

ズレ：「高さだけだと一過性のイメージだから１ｍ程度じゃ大したことはなさそうに感じても、実は水深１ｍの濁流が秒速１０ｍで流れてくるようなもんで表面積１㎡に毎秒１０ｔの圧力を受けるてぇ風に考えりゃ、何を置いても逃げだそうって気にもなるだろうよ」

つれ：「そういう油断をしないように、第一報では敢えて高さには触れずとにかく避難を呼び掛けることにするみたいだよ」

ズレ：「とはいえ薬が効きすぎて空振りが続くと、羊飼いの少年の伝でまた油断を招きかねないのが難しいとこだわな」

つれ：「津波が押し寄せる所にお住まいの皆さんには、携帯電話の一斉同報メールがきたらとにかく欺され続けてくださいとお願いするようだねぇ・・」

つれ：「６５歳じゃ追いつかず、いずれは年金支給を７０歳からにする画策が進んでるみたいだよ」

ズレ：「早い話が７０に引き上げりゃそれまでに逝っちまう衆が増えて何とかなるってだけのことじゃねぇのか」

つれ：「年金を払う前に寿命が尽きる筈てぇビスマルク時代の定年制に逆戻りする案配かぃ」

ズレ：「年金支給まで高齢者を働かせりゃ、若年層の雇用不安から更に少子化が進んでますます年金の担い手が減るだけだろうによ」

つれ：「生活保護が過去最多に迫ってるそうだけど、年金の受給者を減らしてもその分が生活保護に回ったら意味ないよねぇ」

ズレ：「支給開始まで食いつなぐにはと貯蓄性向が高まって景気が冷えりゃ、それでまた生活保護が増えちまわぁな」

つれ：「してみるととにかく景気から良くしてきゃ八方丸く収まるのかねぇ」

ズレ：「卵と鶏はどっちが先か定かならねど、保障と景気ならまずは景気でぃ・・」

つれ：「往事の飛ぶ鳥落とす勢いがすっかり尾羽打ち枯らしたか、個人崇拝体制でブィブィいわせてたカダフィさんの音沙汰も段々と聞こえなくなってきてるねぇ」

ズレ：「ローマ帝国の昔から傭兵に依存するようになっちゃ長くないってのは歴史の鉄則だからよ」

つれ：「今般は特段アメリカさんが仕掛けた風には見えない内発的な体制転換だけに、今後の推移が一層注目されるんじゃないかぃ」

ズレ：「アラブのことはアラブが決めるに越したこたぁないんで、欧米型システムを押しつけたってうまくいかないのはイラクやアフガンのイスラム社会で証明済みだぁな」

つれ：「一方でアフリカのことはアフリカでと放置してると一向に内戦が収まらないって面もあるだろうに」

ズレ：「おそらくは西洋社会がどれだけその地域の秩序を掻き回したかの違いによるところで、それだけひたすら収奪されたアフリカの傷跡は深いってことじゃねぇか」

つれ：「となると万一アメリカさんが完全に手を引いた暁には日本も内戦状態になるのかぃ」

ズレ：「現にアメリカさんと疎遠になって以来、一時はブィブィいわせてた民主党政権も内紛続きでぇ・・」

つれ：「３月公開の予定を大震災の影響で見送ったのもごもっともと納得がいくほど全編通じてひたすら破壊と犠牲が繰り広げられるガチガチの戦争映画で、ストーリーもベトナム以前の勧善懲悪的戦争映画華やかなりし頃の教科書どおりだから、その頃の作品に馴染んだ方なら戦友に邂逅したような懐かしさを感じるかもよ。
　戦場の緊張感がよりリアルに伝わるように作られてるのは今風ながら、これで相手も人間だと近年の常道としてつい斜な気を回したくなるところを、エイリアン側の事情は一顧だにせず済むように仕立ててひたすらヒロイックな愛国心に肩入れできるようになってるのもお約束だよねぇ。
　そもそもの制作意図からして対テロ戦争に倦んできた米国民の戦意を鼓舞して国威を発揚しようてぇ戦争映画の王道を歩んでるのかもしれないけど、図らずも震災から半年を経過して関心の低下が取り沙汰されるこの時期に公開されたのは本邦の災害ボランティアを鼓舞する効果もあるんじゃないかぃ」

つれ：「稀代の風雲児らしく、スティーブ・ジョブズさんは秋の嵐の如く急ぎ足で旅立たれたねぇ」

ズレ：「当世にあっては立志伝中の人、後生にあっては第２の産業革命の魁として記憶されるのは間違いないだろうよ」

つれ：「マックかウィンかの論争が世上を賑わして一時は駆逐されるかに見えたマック側がアイポッドからアイフォンで再び覇を唱えるまでになった展開も、まんま戦国絵巻のような血湧き肉躍る物語になりそうだよねぇ」

ズレ：「その大先達が世を去るのと時を同じくして、ＩＴ革命の舞台となったアメリカで経済デモが広がってるってのも何やら歴史の因縁めいてるじゃねぇか」

つれ：「ジョブズさんが”ハングリーであれ”と檄を飛ばしたのはあくまで精神的にだろうけど、今はむしろ物質的にハングリーになってるみたいだよ」

ズレ：「産業革命以来２５０年余を経て、労働抜きで金が金を産む爛熟した資本主義もいよいよ制度疲労の極みを迎えてるのかもしれねぇぜ」

つれ：「体制転換でよもや本当に血吹き肉散らす世界革命なんてことにはならないだろうねぇ・・」

つれ：「高裁とはいえ、婚外子の相続差別は違憲てぇ判決が確定したんだってさ」

ズレ：「夫婦別姓の煽りも受けてか、家族制度に踏み込む大胆な判決じゃねぇか」

つれ：「最高裁で合憲判決が出たのが１９９５年てぇと、そこからさほど社会の状況が変わったとも思えないけどねぇ」

ズレ：「婚外子の国籍を認めなかった国籍法を違憲とした２００８年の最高裁判決も参酌してるようだけど、国籍と相続とじゃいささか趣を異にもしそうだぜ」

つれ：「相続財産の取り分が増えるとなれば、金持ちのヒヒじじぃを狙って言い寄る爪長女が増えるかもしれないしねぇ」

ズレ：「シモの話はともかくも、社会の変化に対応するってことなら血縁関係よりもどれだけ老親に孝養を尽くしたかの人間関係で遺産を分配したらどうでぇ」

つれ：「やっぱりシモの面倒を見ていただいた方にこそ報いないといけないよ・・」

つれ：「南スーダンＰＫＯ派遣・武器輸出三原則見直し発言・次期主力戦闘機選定と、防衛ネタが三題噺のように続くねぇ」

ズレ：「予備自衛官補に応募が殺到するほど災害対応で絶大な信頼を得ようと国際的には立派な軍隊なんだから武器制限なんぞ笑止千万だし、既に日本の技術が世界の兵器産業に組み込まれて久しいとすりゃ三原則も古色蒼然でぃ」

つれ：「とはいえ政権与党からして政調会長と護憲派で党論統一が出来てないようじゃ、Ｆ４Ｆのようにまだまだ現役が続くんじゃないかぃ」

ズレ：「何やらキナ臭そうな現地に丸腰で送り込まれる兵隊さんの身にもなってみろってんでぇ」

つれ：「ＦＸ選定の方じゃ一応自前の技術確保を図るべく、国内生産の幅が大きい機種を考えてるみたいだよ」

ズレ：「それが新鋭のＦ３５よりもＦ１８の在庫処分を狙ったアメリカさんの思惑かもしれないし、民生航空機産業も発展してきたところでいよいよ純国産戦闘機復活に乗り出したっていいんじゃねぇか」

つれ：「多少時間が掛かってもそうそう戦闘機が要るような紛争にはならないだろうしねぇ」

ズレ：「そこまでいきゃどのみちＦ３５に出張って貰うようだしよ・・」

つれ：「建設だ凍結だ中止だとオセロのようにパタパタひっくり返って、公務員宿舎オマエもかてな具合になってるねぇ」

ズレ：「自ら決めたことすら腰の定まらない朝令暮改ぶりこそ、どうやら民主党さんの民主党さんたる所以のようだわな」

つれ：「過チテハ則チ改ムルニ憚ルコト勿レてぇこともあるだろうけどさ」

ズレ：「過ちかどうかに信念が窺えるならともかく、叩かれたらとにかく引っ込める式の右顧左眄じゃ人心は離れる一方でぃ」

つれ：「折角ご機嫌を取り結びつつあった官僚からも愛想を尽かされそうだよねぇ」

ズレ：「？マーク山盛りの政策の隙間には共通番号制だの年金通帳だのと時折キラッと光るアイデアもあるのに、周りの顔色を伺ってばかりじゃこぞってポシャっちまわぁな」

つれ：「政府の復興庁設置構想に併せて、民主党さんにも復興機関を設けるようかぃ」

ズレ：「それも肝心な隅を押さえられずにバタバタひっくり返るのが関の山だろうよ・・」

つれ：「ノーベル賞は逃したけれど、イグ・ノーベル賞の方は日本人が５年連続受賞ですっかりお馴染みになってきたねぇ」

ズレ：「わさび警報機たぁ子供のイタズラかと思いきや、聴覚障害の方に危険を報せるてぇ崇高な動機を伺うに及んじゃお笑い抜きの本家ノーベル賞でもいいいくらいでぇ」

つれ：「むしろノーベル賞に対抗したものの見事１回でポシャった孔子平和賞の方がよほどお笑い草だよねぇ」

ズレ：「笑って済ましゃそれまでながら、本邦も平和ボケからマジなつもりがお笑いなってるネタはないかと他山の石にするようじゃねぇか」

つれ：「直近の話題ってぇと、ブレーキなし自転車や暴力団縁故の取り締まり辺りをイジろうってのかぃ」

ズレ：「確かに危険を排除するてぇ目的はもっともながら、見せしめ的にお笑い芸人さんを吊し上げたり極道そのものでなく周りの堅気を締め上げようって方法論にはどうにも孔子平和賞的な無理矢理感がつきまとって、逆に山口組のトップが仰る理屈の方がもっともらしく聞こえてくるくらいだぜ」

つれ：「天下の実力組織山口組トップの座に上り詰めたお方なら、タナボタで政権の座に着いた面々とは言葉の重みも違うだろうけどさ・・」

つれ：「正に快刀乱麻のごとくヒットを叩き出してきたイチロー選手の２００本安打記録が遂に途切れちまったねぇ」

ズレ：「ご本人は存外さばけた様子で、重圧がなくなった分さらに闊達に活躍できるかもしれねぇぜ」

つれ：「ファンとすりゃ記録更新を期待するものの、その期待に応えるほどに足枷にもなってくからねぇ」

ズレ：「高支持率でスタートした野田内閣も期待の重さで動きが鈍ってる感じだしよ」

つれ：「何しろ前が前だけに、やっと代わった安堵感から勢い実力以上に期待も膨らもうてぇもんだょ」

ズレ：「これだけ難問山積じゃ誰にしろ快刀乱麻の快進撃って訳にはいかない以上、ここはさほど騒がれなくてもそれなりの実績は残した落合監督の長期政権にあやかりたいところじゃねぇか」

つれ：「どっこい一票の格差から選挙制度改革も求められる折柄、まずはその選挙すら待たずに解党なんて憂き目に遭わないようご祈念申し上げとくようかもねぇ・・」