近江商人の研究を半世紀以上続ける同志社大名誉教授の末永國紀(くにとし)さん(81)が4月4日、研究の集大成として著した「近江商人の経営と理念 三方よし精神の系譜」を三日月大造知事に献本した。
滋賀県公館で三日月知事、福永忠克教育長と懇談した。
著書は昨年12月に発行し、近江商人発祥の歴史や経営の実態、「三方よし」の精神についての考察などが貴重な資料とともにまとめられている。
売掛金の回収にみられる交渉の巧みさや、複式簿記による売り上げの管理など、近江商人の手腕に迫る記述もある。近江商人の妻に関しての記述や太平洋戦争期における下級商店員の日記など、貴重な研究成果も記されている。
末永さんは、近江商人の心得について「顧客満足を第一にし、下請けとの共存共栄を大事にしていた。日本企業の理念の背骨にあるのが『三方よし』の精神だ」と話した。
三日月知事は、新しく定めた県職員の行動指針となるパーパス(志)にも「三方よし」の文言を入れたと紹介し「この精神を広げ、体現できるようになりたい」と語った。
著書はA5判958ページで、定価22,000円。
清文堂出版
<中日新聞より>