今年4月から公設民営の「上下分離方式」に移行して初めての近江鉄道の2024年度上半期(4月1日~9月30日)決算が13日、近江鉄道法定協議会(滋賀県と沿線10市町などで構成)の会合で報告された。
それによると、鉄道事業決算のうち営業収益は、土地使用料収入や利用者増加により前年同期比2億4100万円増の7億5200万円となった。
営業損益は9500万円の黒字 輸送実績は5%増の289万人
営業収益から費用を差し引いた営業損益は、上下分離移行によって近江鉄道は運行に専念できるようになり、固定資産税と動力費、一般管理費が減少したため、同3億200万円増の9500万円の黒字に改善した。黒字決算は1993年以来31年ぶり。
また輸送実績は、全体で前年同期比5%増の289万2549人だった。内訳は、通勤定期は同3%増の92万1574人、通学定期は同5%増の106万1491人、定期外は同5%増の90万9484人だった。
コロナ前の2019年の同期比でみると、輸送実績全体では増減なしの横ばい。内訳では通勤定期は5%増、通学定期は0・2%減、定期外については4%減と戻り切っていない状況が浮き彫りになった。
31年ぶりの黒字化について近江鉄道の飯田則昭社長は、「この状態を次の施策に回して利用客を増やすよい回転をつくりたい」と述べた。法定協会長の三日月大造滋賀県知事は、「うまくいったと言い切るのは早いが、順調な滑り出しはできているのでは」と語った。
このほか、JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」の導入については、今秋に滋賀県内で実施される国スポ障スポをめどに検討を進めていたが、実現が厳しい見通しを示した。2025年度末の導入にずれ込む見通し。
【ブログ筆者コメント】 近江鉄道は上下分離方式の導入により案の定、経営が改善された。それもそのはずで、負担が重い線路施設や固定資産税と動力費、一般管理費が滋賀県や関係市町もちになったからである。上物の運行責任を負う近江鉄道は報告でもあるように乗客はコロナ前に戻っておらず横ばいだと言う。筆者は週二回は通勤通学時間は少し外れるが近江鉄道を見る機会がある。2両編成の車両には極めて少ない乗客や時間によっては空っぽの時もある。
車社会で自家用車が必須な滋賀県の生活スタイルが現実でもある。少子化、高齢化も重なり近江鉄道の利用者増は簡単には期待できない。苦悩は続く。。。
<記事・写真: 滋賀報知新聞より>