”スローライフ滋賀” 

【滋賀・近江の先人第313回】前衛短歌の三雄・塚本邦雄(東近江市)

 塚本 邦雄(1920年8月7日 - 2005年6月9日)は、歌人、詩人、評論家、小説家。
寺山修司、岡井隆とともに「前衛短歌の三雄と称され、独自の絢爛な語彙とイメージを駆使した旺盛な創作を成した。
若い頃の別名に碧川瞬、火原翔(この二つは、日本現代詩歌文学館にて確認 )、菱川紳士( 士 は省かれる場合もある )等があり、晩年の教授時代の学生たちとの歌会では鴻池黙示を好んで使った。それでも、著書目録にある単行本や文庫本には、これらの著者名で出版されたものはない。
長男は作家の塚本靑史。

ヒストリー
滋賀県神崎郡南五個荘村川並(現東近江市五個荘川並町)に生まれる。
父方の塚本家、母方の外村家はともに近江商人の家系である。母方の祖父(外村甚吉)は、近江一円に弟子を持つ俳諧の宗匠だった。
1938年、神崎商業学校(現・滋賀県立八日市高等学校)卒業。神崎高商(現・滋賀大学)卒という説もあるが、本人が書いた履歴書にそのような記載は一切ない。
卒業後、又一株式会社(現三菱商事RtMジャパン)に勤務しながら、兄・塚本春雄の影響で作歌を始める。
1941年、呉海軍工廠に徴用され、
1943年に地元の短歌結社「木槿」に入会。終戦の年、投下された原爆の茸雲を仰ぎ見た記憶がいつまでも残ったと言う。

戦後は大阪に転じ、
1947年に奈良に本部のあった「日本歌人」に入会、前川佐美雄に師事する。
1948年5月10日、「青樫」の竹島慶子と結婚。山陽地方に転勤。翌年の4月9日、倉敷で長男・靑史誕生。その後、松江に転勤するが、鳥取在住の杉原一司と「日本歌人」を通じて知り合い、1949年に同人誌『メトード』を創刊。

1950年に他界した杉原一司の追悼として、1951年に第一歌集『水葬物語』を刊行。同歌集は中井英夫や三島由紀夫に絶賛される。
1952年、大阪へ転勤となり、中河内郡盾津町(現東大阪市南鴻池町)へ転居。当地を終の棲家とした。同年に創刊されたアドニス会の機関誌「ADONIS」に菱川紳名義で寄稿する。
1954年、結核に感染したことが判明、同年「ADONIS」の別冊として単独名義(菱川紳)の創作小説誌『アポロの末裔』が発行される。医師大東勝之助の指示に従い2年間自宅療養に専念。結核回復後も商社勤務を続け、1956年に第二歌集『裝飾樂句(カデンツァ)』、1958年に第三歌集『日本人靈歌』を上梓。

以下24冊の序数歌集の他に、多くの短歌、俳句、詩、小説、評論を発表した。歌集の全冊数は80冊を越える。だが、邦雄の文学業績で軸となったのは、岡井隆や寺山修司とともに1960年代の前衛短歌運動を成功させたことである。またその中にあって「日本歌人」から離れ、永らく無所属を貫いていたが、1985年に短歌結社『玲瓏』を設立して機関誌『玲瓏』を創刊、以後(没後も)一貫して同社主宰の座にある。さらに1990年より近畿大学文芸学部教授としても後進の育成に励んだ。

晩年にも旺盛な活動を続けていたが、1998年9月8日に妻・慶子が他界、2000年7月には自らの健康を損ねた。
そのため、晩年を慮った息子の靑史が帰省し、同居して最期を看取った。
2005年6月9日、呼吸不全のため大阪府吹田市の病院で死去。戒名は玲瓏院神変日授居士。
尚、玲瓏の会員らを中心に、以後、忌日は『神變忌(しんぺんき)』と称するようになっている。
以降に靑史の手で資料の整理がなされ、2009年1月末、自宅にあった邦雄の蔵書・直筆原稿・愛用品や書簡など様々な遺品が日本現代詩歌文学館へ寄贈されている。
なお、2013年7月に、遺族の手により旧宅は処分された。
2016年3月19日~6月5日、岩手県北上市の日本現代詩歌文学館にて、直筆原稿や書簡、色紙、愛用品などを開示した展覧会が開催された。現在「塚本邦雄」と「神變」は商標登録されており、商標権者は著作権継承者と同じく塚本靑史になっている。
2020年、短歌研究社により「塚本邦雄賞」が創設される。

作風
反写実的・幻想的な喩とイメージ、明敏な批評性と方法意識に支えられたその作風によって、岡井隆や寺山修司らとともに、昭和30年代以降の前衛短歌運動に決定的な影響を与えた。その衝撃は坂井修一、藤原龍一郎、中川佐和子、松平盟子や加藤治郎、穂村弘、東直子らのいわゆるニューウェーブ短歌にも及んでいる。作品では一貫して正字歴史的仮名遣い(旧字旧仮名)を貫いた。

よく知られた歌には次のものがある。
「革命歌作詞家に凭りかかられてすこしずつ液化してゆくピアノ」(『水葬物語』巻頭歌)
「日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも」(『日本人靈歌』巻頭歌)
「突風に生卵割れ、かつてかく擊ちぬかれたる兵士の眼」(『日本人靈歌』)
「馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば人あやむるこころ」(『感幻樂』)

受賞歴
1959年 『日本人靈歌』で第3回 現代歌人協会賞 受賞。
1987年 『詩歌變』で第2回 詩歌文学館賞 受賞
1989年 『不變律』で第23回 迢空賞 受賞
1990年  紫綬褒章 受章
1992年 『黄金律』で第3回 斎藤茂吉短歌文学賞受賞
1993年 『魔王』で第16回現代短歌大賞受賞
1997年  勲四等旭日小綬章 受章

<Wikipediaより引用>
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「滋賀・近江の先人」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事