人々をはじめ、物や情報、文化などが行き交った江戸時代の五街道の一つ中山道。
東近江市五個荘地区を通る約3kmの中山道沿いは、武佐宿(近江八幡市)から愛知川宿(愛荘町)の間に位置し、当時のにぎわいを象徴させる道標や常夜燈などが今もひっそりと残る。
昨年、このような歴史ある遺産を伝承・魅力発信していこうと発足した「中山道五個荘にぎわい事業委員会」により、名所を案内する「中山道散策マップと案内看板」が作成され、歴史好きの観光客らを歓迎している。
同委員会は、中山道を「知る」「伝える」「元気にする」を目指した「中山道復活プロジェクト」として2016年、五個荘地区まちづくり協議会(会長・小杉勇)を中心に立ち上がった。
現在、五個荘の歴史に見識のある地元有識者や有志ら13人で構成され、その初の取り組みとして、マップ作成と案内看板の設置が考案された。
これまで、五個荘地区の中山道沿いに残る遺産の詳細をまとめた観光案内向けのパンフレットはなく、随所に残る貴重な歴史遺産の存在価値が観光客らに伝わりづらいところがあった。
今回作成したマップには、旧五個荘町時代の教育委員会著書の『五個荘昔ばなし』をもとに、17の各名所が事細かに記されている。
愛知川を渡る人々の安全を見守った川の対岸にある燈籠と対峙する「睨み燈籠」や、御代参街道と中山道の分岐点として旅人にとって重要だった「小幡の道標」、国登録有形文化財に指定されている大正モダンを彷彿させる洋館の旧郵便局、江戸時代に日本橋を起点に設置された一里塚を示す石塚の一里塚碑などのほか、中山道周辺にある近江商人屋敷や五個荘で生まれた郷土玩具「小幡人形」を展示する博物館などもマップ上に掲載され、編さん資料としても読みごたえのある内容に仕上がっている。
そのほかにも、中山道が通る10の各自治会の歴史文化を紹介するなど、往時の中山道がイメージしやすいよう工夫し、名所となる各ポイントには案内看板も設置。昔の面影が残る街道で思いを馳せながら散策が楽しめると好評だ。
マップはA3判の4つ折りカラー。昨年4月に初版し、増版を含めた約5千部を作成。
五個荘コミュニティセンター(東近江市五個荘小幡町)のほか、五個荘地区の各観光施設に配置されている。
詳しくは、五個荘地区まちづくり協議会(TEL0748―48―7303)
<滋賀報知新聞より>