今般、書籍「明智光秀と近江・丹波 分国支配から『本能寺の変へ』」(大山崎町歴史資料館(京都府大山崎町)の福島克彦館長著)をサンライズ出版(彦根市鳥居本町)の淡海文庫シリーズから出版された。
同書では明智光秀の残した文書から浮かび上がる人物像に着目する。
織田信長に仕えるまでの謎の多い前半生、近江支配、丹波攻略と時代ごとに読み解き、主君の信長を裏切り、山崎合戦で討たれるまでを考察する。
近年の研究では、信長は具体的な政策実践を決定せず、配下の武将に多くが一任されていたと考えられている。各武将は信長の権威を背景に、それぞれの経験や人間的魅力を駆使して、新たな支配地の国衆を調略していった。
光秀もその一人であり、福島館長は、当時光秀が交わした書状類を丹念に読み込むことで、その人柄を探る。また、最新の研究成果もできるだけ本文に反映するようにしているという。
多くの歴史ファンから関心を集める「光秀はなぜ信長を裏切ったか」について、福島館長は地理的要因について言及する。光秀の支配した国は、丹波と坂本であり、都を挟んで近い距離にあった。また、信長は多くの戦に向けて主要道の整備を進めていた。この都を挟んだ土地勘と軍道整備が、本能寺の変のきっかけではなかったかと論を展開している。
福島館長は1965年兵庫県生まれ。立命館大学文学部卒業で、主な著書に「畿内・近国の戦国合戦」(吉川弘文館)、共著に「明智光秀:史料で読む戦国史」(八木書店古書出版部)などがある。
同書はB6判、188頁、1500円+税。
県内の主な書店を中心に全国で販売中。
問い合わせ: サンライズ出版 (TEL 0749-22-0627)
<以上、滋賀報知新聞より>