ぬのや 和代
ダイオキシン類特別措置法の指定施設として
二ツ塚処分場には、多摩地域25市1町の家庭から出されたゴミを中間処理施設で焼却した後に残る灰が運ばれています。灰に含まれるダイオキシンは、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある毒物として、ダイオキシン類特別措置法で規制されています。中間処理場も最終処分場もこの法律の規制の対象となる施設でですから、その自覚を持って、施設の運営をしていただきたいものです。
エコセメント化施設は焼却灰を1350°Cの高温でロタリーキュルンで回転しながら加熱して、振動を与えながら焼却灰の中のダイオキシンを分解します。ダイオキシンの成分は分解して、排ガス中に出ますが、外界に出るまでに冷却され、再びダイオキシンが合成されると言われています。最近、チタンを触媒にするバックフィルターが開発され、機能が向上するとともに安定化したと言われていますが、煙突からダイオキシンを含むガスを排出していることに変わりありません。
国立公衆衛生院の研究で、ゴミ焼却場の煙突を中心にして、1kmおきに11kmまで、同心円に区分して、ダイオキシンの土壌汚染を測定した研究がありますが、距離と土壌汚染は反比例しました。煙突に近いほど、ダイオキシンによる健康被害の蓋然性が高くなるという結果でした。ダイオキシンの被害は、肝臓がんなどの発がん性、死産、流産などの生殖障害、免疫の低下と言われています。
昭和60年代、30代の私は西多摩衛生組合から1kmくらいの羽村市に住んでいました。5階のベランダには時々黒い灰が飛んできていました。今の煙突フィルターとは比べ物にならないほど劣悪なものだったと思います。私は酷い肺炎を患い、その後5年間ほど、気管支炎に悩みました。幼稚園に通う長女は喘息様気管支炎と診断されていました。青梅に引っ越してからは、空気が綺麗なのでしょうか、嘘のように気管支症状は消失しました。
地元認定の非合理性
エコセメント化施設の環境影響被害の蓋然性を考える時、被害の蓋然性は、煙突の距離から同心円状に広がると考えるのが妥当性があるでしょう。循環組合の考え方では、二つ塚処分場が日の出町第22自治会玉の内集落の入会地出会ったため、地元を第22自治会としていますが、科学的に考え方ではありません。半径1kmには小さな集落ですが坂本、水口、長井が入り、半径2kmにすると、ようやく玉の内が入ります。2kmには青梅市の駒木町、畑中、和田町、日向和田が入ります。資源循環組合は日の出町には、地元として、丁寧な説明をして、おまけに年間8から10億円の迷惑料が入ります。一方、青梅市には、灰を運ぶトラックの運搬路として、長渕自治会が、認められていますが、その他に自治体には一切の説明もありません。煙突からの距離を基準にして、地元を認定すべきである。現状の地元認定は合理性に欠けると言わざるを得ません。
焼却灰の埋め立ては危険がいっぱい
谷戸沢処分場で行われていた焼却灰の埋め立ては、風で焼却灰が周りに飛び散るため、大変乱暴な方法と言わざるを得ません。灰は軽いため、少しの風でも飛び散ります。一日のうちでも風の強い時間帯があります。さらに公害防止協定で風速の強い日は、焼却灰の搬入が禁止されていました。ところが、あろうことに台風の日も搬入は行われていました。私は、日出町平井に住んでいたことがあり、台風で、大きな木の枝がいなうような大風が吹いていた時も、搬入が行われていたのを目撃しました。
今回出された環境影響評価書によれば、二つ塚付近は西から東に吹く風が年間通して多いことが分かりました。二つ塚から、青梅市の川沿いの地域(畑中、和田町、日向和田)に向かって風が吹くわけで、焼却灰を乗せた風がこれらの多摩川沿いの地域に吹き込みことになります。冬の夜は、川からの水蒸気が雲になって、谷間を覆い易いので、ダイオキシンを含んだ汚い空気は谷間に残って、川に沿って流れていきます。
谷戸沢処分場では、処分場の地形が第22区玉の内地区の方が低くなっていたため、処分場から焼却灰を含んだ風が西側の玉の内地区に吹き込んでいました。日本環境学会の調査でも、玉の内地区の雨樋の中から高濃度のダイオキシンが検出されました。
新しいシステムを作るチャンス〜エコセメントを広めよう〜
1350°Cのロータリーキュルンを中間処理場に設置すれば、二つ塚にはセメント製造ラインだけあればいいことになります。トラックに詰めて二ツ塚処分場に運ぶにも、運行路のダイオキシン汚染の心配もなくなります。二つ塚のダイオキシン汚染も、今以上に進む心配もなくなります。エコセメントは、海外の検査機関で安全性が確かめられたということですが、もっと、広めて、地球上にダイオキシン汚染から、人類を救ってください。ダイオキシンは魚の脂身に多く蓄積しています。その原因は、焼却灰の海岸埋立があります。23区の焼却灰も脱ダイオキシンをして、エコセメントの材料にすれば、ダイオキシンの海洋汚染は多少なりとも改善するでしょう。バッグフィルターも改良されて、性能が向上したのですから、海洋汚染の改善を目指して、今こそエコセメント技術を広める時ではないでしょうか。