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アルカディア・ダレルと敗れ口

2023-04-08 18:58:37 | そばかすだらけのアルカディア

アルカディア・ダレルと敗れ口



Yi Yin


アイザック・アシモフ 『ファウンデーション三部作』

 第1作 『ファウンデーション』

 第2作 『ファウンデーション対帝国』

 第3作 『第2ファウンデーション』


 アルカディア・ダレルは、八十二年二ヶ月の生涯でした。生まれは、ハリ・セルダンとウォンダ・パルヴァー(セルダンの孫)に『星界の果て』と暗示された、銀河のかつての中心都市トランターであったのですが、空間的最果ての、紫の星ターミナスで生涯を終えることになりました。


 いわば、たった一人で敗れ口に立った少女の物語です。




 原作者のアイザック・アシモフは、「銀河系の反対側の端はどこにあったのか?」(『第二ファウンデーション』p.356)の暗示を三部作を閉じる前に、サービス精神を発露しています。


 今日、殺伐とした毎日を生きぬかなければならない私たちにとって、明日に繋げる道を、必死に暗中模索しなくてはならない状態が続いております。


 かつて、哲学者ヤスパースは、古代文明がいったん滅んで、殺伐とした混沌から新たな人類の精神の曙光をみた四人の時代を「車軸時代」(紀元前八百年から二百年に活躍した孔子、ソクラテス、釈迦、エゼキエル)と呼びました。



カール・ヤスパース


生年月日: 1883年2月23日


出生地: ドイツ オルデンブルク


死亡日: 1969年2月26日, スイス バーゼル





 その一人、エゼキエルが神の代弁者として悲痛な言葉を発しています。「私の前に、破れ口に立つ者を探しても誰もいなかった」と嘆いています。


 アシモフのいう「反対側」とエゼキエルの「破れ口」。同じ意味だと強く思うのです。



「私がこの地を滅ぼさないために、石垣を築き、私の前で破れ口に立つ一人の人を、私は彼らの中に探したが、見つからなかった。そして私は彼らの上に私の憤りを注ぎ、私の怒りの火で彼らを滅ぼし尽くし、彼らの行ないを彼らの頭に報いた、と主、ヤーウェが言われる」


(エゼキエル書、第22章30~31節)



 単なる善悪の分裂(いいとかわるいといった決めつけは自分と他を傷つける)で決めつける安易な生き方が問われていると思うのです。もうひとりの自分と親しく対話して行く。自分の痛み、隣人の傷、社会の歪みをまず身に帯びる、根本的生と意味を知ることが急務と思いますし、そのことを皆さんとさらに考えて行きたく思い、ダニールからアルカディアに至る四百四十年の物語の結語とさせていただきます。



https://youtu.be/i3cYsqYO6TM



yatcha john s. 「アルカディアと敗れ口」












ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル  第1話   ミュール破局後の危機

2022-11-13 19:08:56 | そばかすだらけのアルカディア
47第1話ミュール破局後の危機
ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第1話
ミュール破局後の危機

あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。
 

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リー・センター やれやれこれでいい!我ながら完璧だった。
 ドースさんの申し出は、心が痛かったが、望んでた結末だった。
 最初はミュールが人の感情をコントロール出来る変異体とは思わなかったので、戸惑ったが。

ウォンダ お父さん。それは自画自賛過ぎない?結局、なにもしなかったんじゃない!

リー ウォンダ、それは親の心、子知らずだ。何年も前から準備はしてた。筋書きを書いたのは私なんだから。
 まだお前は知らなくていい。
 
ウォンダ そんな、今回の大役のご褒美で、それを教えて頂戴。

リー どうせ言ってもまた私を嫌悪するだけに決まってるが、まあ教えてあげよう。
 故郷の星の古い諺にもある、「蛇のように狡猾で、鳩のように素直であれ」、とな。
 またファウンデーションのハーディンの名言にも「いいことをするのにちゃちな道徳心に振り回されるな」ともね。それが第零の法則なのだよ。ハリ・セルダンはデマーゼル、いやダニール・オリヴォーから、ここで教わった!!

ウォンダ どう言うこと?具体的には?
 
リー あとは自分で考えるんだな!今頃は、ドースさんの体は、デマーゼル、じゃなかった、ダニールさんか、レオナルドさんが引き取りに来ている。
 ベイタさんは、私の恋敵(がたき)のランデュのヘイブンに着いた頃だ。

 あと二三秒の違いでうまくいった。ミスさんは可哀想だったが、死ぬ直前、ここが第二ファウンデーションだとわかっただけでも本望だったに違いない。
 第二ファウンデーションの人間は感応力に優れているだけじゃ、だめなのだから。演劇にも優れていなくてはならない。

ウォンダ まあ?! じゃあ「星界の涯」ってここのことなんですね、お父さん。
 
リー そういうことだ。銀河は星の渦で空間が歪んでいる。天体物理学を学べば、わかるはずだ。そうだ、少しは進歩したな、ウォンダ、起点が終着点になる!

yatcha john s.


深夜、やさしく窓を叩く者

2022-11-03 23:34:25 | そばかすだらけのアルカディア
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深夜、やさしく窓を叩く者

そばかすだらけのアルカディア
驚愕の真実が数奇な運命へ

家出 宇宙船 銀河を越えて
数ヶ月も経たないで
智恵の女へと

驚愕の先にあったもの
もうひとつの真実

眠られない 何度読んでも
深夜、やさしく窓を叩く者 それは僕か

yatcha john s. 「Foundation の夢」より抜粋


ファウンデーションの夢 序 2 「 Fleckles Arcadia 」

2022-10-12 19:58:22 | そばかすだらけのアルカディア
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A person who gently knocks on the window at midnight
Her name is Arcadia full of freckles
Amazing truth turns into strange fate

Runaway spaceship across the galaxy
Less than a few months
She turned herself the woman of wisdom

What happened before the surprise
Another truth exists

I can't sleep no matter how many times I read Am I the one who gently knocks on the window at midnight ?

https://youtu.be/Ow25lvYoKXo

Yatcha John s. “ Freckles Arcadia” Excerpt from " Foundation Dream "

深夜、やさしく窓を叩く者

そばかすだらけのアルカディア
驚愕の真実が数奇な運命へ

家出 宇宙船 銀河を越えて
数ヶ月も経たないで
智恵の女へと

驚愕の先にあったもの
もうひとつの真実

眠られない 何度読んでも
深夜 やさしく窓を叩く者 それは僕か

yatcha john s. 「Foundation の夢」より抜粋

Photo : Arcadia’s lavender field