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ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪

2023-03-11 06:52:04 | ウォンダとガールの地球探訪
20第10話星界の涯
ファウンデーションの夢 
第三部
ウォンダとガールの地球探索
第10話

星界の涯

前史

銀河暦 12028年 
 ダニール・オリヴォー、宰相を辞任。ハリ・  セルダン、宰相になる。
銀河暦 12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦 12040年 
 ウオンダ・セルダン生まれる。
銀河暦 12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦 12067年 
 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委  員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。

前話までの大枠

第一部 ダニールの地球探索
1 第1話 探索のはじまり
2 第2話 Synnax
3 第3話 精神感応力者
4 第4話 What a genius!
5 第5話 Gaia

第二部 ガイア
6 第1話 来たかった、来たくはなかった
7 第2話 Peter Ferdinand Drucker
8 第3話 Albert Einstein
9 第4話 yamabuki
10 第5話 時間も感応できる!

第三部 ウォンダとガールの地球探索

11 第1話 狂乱
12 第2話 聴かずんばこれを去らん
13 第3話 もう一つの任務
14 第4話 Y市の謎、おそらく蝶番の謎
15 第5話 ウォンダ・セルダン
16 第6話 What on earth !
17 第7話 地球は一つの生命体
18 第8話 クローバー
19 第9話 パークサイド

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

20

「確かにあのとき、あの小さい島全体輝いて、ウォンダがその光に包まれるのを見た。目撃した。そのとき以来、それまでになかった感覚、もしかしてずっと以前にはあったような感覚に気がついた。戻ったというのが正しいのかも。ヒューミンさんと再会したあと、スペースワゴンで目覚める間、怪力の女性に担がれていた。そして今、あの少女を見た瞬間、ウォンダが包まれたとき以上の強い光を見た。きっと、ウォンダが言っていた彼女の妹に違いない。少しずつわかって来たぞ。きっと、ウォンダとステッティンはハリの面倒を看るためだけにトランターに残ったのではないのだな!ハリとヒューミンのなにかしらの計らいなのだろう。そうだ。ウォンダがつい口から漏らした言葉を思い出した。『星界の涯』だ。ターミナスではないということなのか。それはなんのためなのか?これ以上は、もう問うてはならないかもしれないというのか。
 そんなことより、もう一度あの少女、ベリス・セルダンに会いたい。そして、ウォンダから託された三色に輝くシリンダー、ウォンダが名付けた『ベニ・サラの水』を渡すことだ。」(『ガール・ドーニックのターミナス到着当時の日記』からドース・ドーニックによる)

yatcha john s. 「星界の涯」


ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪  第9話  パークサイド

2023-03-10 20:39:59 | ウォンダとガールの地球探訪
19第9話パークサイド
ファウンデーションの夢 
第三部 
ウォンダとガールの地球探訪 
第9話 

パークサイド

あらすじ

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

 話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
 ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
 逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
 その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。

 話しを元の状態に戻す。ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。
 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難したの彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

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「このメモは公には出ないであろう。しかし聡明な我が娘ドースはこれを見つけ出すかも知れないが、どうしても書いておかなくてはならない。なぜなら、両方を知っているのは人間では私一人なのだから。」『父ガールのメモ書き(ドース・ドーニックによる)』

 三人と別れた。セルダン先生はあと二年ももたまい。
 モーブの町には仕事が山ほどある、国会議事堂とそれに付随する行政機関、そして公園を完成させたばかりだ。大事な図書館こそ丁寧に豪勢につくらねばならない。なにしろ、ターミナスの存在は表立っては、銀河帝国の全歴史の辞書編纂にあるのだから、その名は、「百科辞書編纂ファウンデーション」。

 仕事を早めに切り上げて、自宅へ向かう公園の側を歩いていたときであった。萌葱色の霧雨。大地が霞んでいた。公園のなかは少しばかりの谷になっていて、泉のせせらぎが聞こえ、小鳥が囀ずっていた。公園の森は木々が緑色に染まり、大空には虹がかかっていた。その虹を見上げていた少女がいた。物思いに耽っているような、憂いを帯びた。アッと叫びそうになった、「ウォンダ」っと叫んでいたのかも知れない。その時脳裏に浮かんだのは小さな島に咲き誇ってたクローバーを摘んでいたウォンダの姿であった。目を斜め下に戻した時にはその姿は消えていた。

 
yatcha john s. 「 park side 」


ファウンデーションの夢  第三部  ウォンダとガールの地球探訪  第8話  クローバー

2023-03-09 19:03:10 | ウォンダとガールの地球探訪
18第8話クローバー
ファウンデーションの夢 
第三部 
ウォンダとガールの地球探訪 
第8話 

クローバー

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

 話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
 ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
 逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
 その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。

 話しを元の状態に戻す。ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。
 再生の命というものなのであろうか!

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「そして私の結論はこうだ。あなたがたは、おそらくちっとも理解してくれないであろうけれど、あなたがた一人一人が地球なのだ。自浄作用をもった。新しい命を造り出せる。あなたがたはよくご存じであろう。七の七十倍、人を赦せ。これは寛容は無限であることを教えている。そして命は永遠なのだと。」(『ジョン・ナックの歴史思想書』)

ウォンダ よく協力してくださいました。クレジットバッグさん。

 それにしても驚いたわね!この星全体、放射能が満ちているのに、この水だけ汚染されてなかったわ。島全体、クローバーで覆われていたのも不思議だったけど!

 この水を、運んで行くわ。
 一つはトランターへ。
 二つめは、ヒューミンさんのお仲間がいる星へ。
 三つめはあなたに頼みたいの。私の妹がいる、ターミナスというおじいちゃんの仲間が移住する星へ。
 あっ、そうそう四つ葉のクローバーもあったのよ!

 なんかね、気がついたのよ。このクローバーの意味。三つの意味。それが本当は一つだということ、そして人間一人一人が独立して自尊心を持っているけど、みんなと共に生きていくのが幸せなんじゃないかとね。

 単なる勘繰りかしら!

yatcha john s. 「 clover 」






ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪 第7話 地球は一つの生命体

2023-03-07 21:32:22 | ウォンダとガールの地球探訪
17第7話地球は一つの生命体
ファウンデーションの夢 
第三部 
ウォンダとガールの地球探訪 
第7話

地球は一つの生命体

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

 話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
 ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
 逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
 その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。

 話しを元の状態に戻す。ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。

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「地球に命がある、と本当に信じているだろうか?話の上でみんなが言えば言うほど呆れてくるのは私だけなのかもしれない。様々な証拠をつきつけられようとも、人の心はそう簡単に利己主義の殻から抜け出せないのが真実ではないのか。例えば地球が何十億年にも亘って、酸素濃度が20%を維持してきたと言っても心の底から驚嘆し、畏敬の念を懐く人が何人いるかだ。」(『ジョン・ナックの歴史思想書』)

ウォンダ 私は、ウォンダ・セルダン。あの禿ジジイの孫。血は繋がっていませんけどね。これからヒューミンおじさんのご依頼にお答えするために地球に向かってるわ。
 ご心配なく。この船は完全制御よ。

ガール 何だって?その依頼というのは?僕はなんにも聞いていないし、承諾もしていない。 冒険は好きだけど、狂ってる!
 
ウォンダ 私も詳しくはなにも聞いていないのよ。
 なんか、ヒューミンおじさんが地球でこの前、何かを発見したらしいけど、ある星をつくっているお仲間が、ある報告をしたそうよ。

 ヒューミンさんが受けたその光の放射は、「心」を持っていたとしか考えられなくて、その場所が地球の目じゃないか、というのよ。
 そしてヒューミンさんが光を受けてから、その場所から水が湧いてきて、真ん中に島が出来て、木が生えてきたというの。

 私もワクワクよ。なんか、人間でなくては本当の感応ができない、とか言ってましたけど!

 それを体で感じて貰いたい、と言ってたわ!

ガール 地球だって?!
 君の言ってること、ゆっくり説明してくれないと、僕の頭は、全然整理されないんだけど...
 なんで、僕が地球とやらにいかなくちゃならないのか?
 それに君ってなんだ?

yatcha john s.