オーロラへ
『2万年後の銀河』
第十部
「イルミナ」
第6話
オーロラへ
あらすじ
ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
イルミナはミーターが時々白昼夢を見、独り言を喋り出す癖を発見する。ミーターの体の全体がまるでアルカディアの思い出で満たされているように。イルミナはミーターの白昼夢の内容を知っているにもかかわらず敢えて尋ねるのであった。
思い出の一つは、その時が必ず来る事を50年も待っていたアルカディアのある晩のことであった。
アルカディアとペレアス・アンソーアの再会の出来事であった。
場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星に軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
イルミナのアンソーアについての感想が際立つ。
ミーターは、それでも「音痴」という言葉から何かに気がつく。
ミーターはイルミナにオーロラへの進路を指示する。
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(尚もミーターの白昼夢はつづく)
「アルカディア、僕だって遠慮する場面ぐらいはわかってますって。」
イルミナ ミーターさん、なに独り言、いってるのよ!わたしよ!アルカディアじゃ、ありません、イルミナよ!あなた、もうボケが入ったんじゃないの!イオスの温泉浸かりすぎでね!ミーター、起きてください。またアルカディアの夢、見ていたんでしょう。フライト・プランを教えて。
ミーター な~んだ、イルミナか。
(ミーターの白昼夢の癖は病的か?アルカディアとアンソーアの会話を思い出す)
「アンソーア。二人の人生って、第一ファウンデーションと第二ファウンデーションの確執を埋めるためだけの人生だったのかしら?二人の宿命だったのかしら?でもこれでよかったんですよね。二人頑張ったわ!ねえ、そうでしょう。」
「そうだね、アルカディア、大変な人生だった。そのせいで僕はだいぶ歳より老けて見えるだろう。でももう解決した。ドースさんのお陰でね。人間型Rを何体か第二ファウンデーション員の替え玉にしてね。もう僕たちの役目は終わった。少しはくすぶっては行くだろうが。
そして今、やっとこういう風に二人で会える。こんな星の下でね。」
「これでセルダンプランは元通りになったのかしらね?
ねえ、アンソーア、この銀河の下で二人だけで乾杯しましょうか?手に手をとって。
あらっ、ミーターの姿が見えないわね、ミーター!」
ミーター なんだ、イルミナか?行き先は決まってる。オーロラ!その前に、アルカディアと彼女のおばあさんベイタの思い出の星カルガンに行ってみる。それにミュールの謎解きは、またこの銀河の復興にも役立つに違いないからさ。
イルミナ な~んだ、はないでしょう。フライト・プランがなければ、何処にも行けないわよ!
□ 作品紹介 ⇨
『ダニールの地球探索』
https://note.com/yinyi/n/nff447ec428e1
by yatcha john s.