oceansidecompany

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ファウンデーションの夢 第五部 嵐の気配 第5話 嵐の気配

2023-03-14 18:19:37 | 嵐の気配
24第4話時間霊廟
ファウンデーションの夢
第四部 
嵐の気配
第4話 

時間霊廟

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部「嵐の気配」の大枠

21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
 
 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
 
 それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。
 ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
 その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。
 
 ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。

 ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。

 読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。
 
 ここからがその次の世代の物語である。ハリ・セルダンの孫娘ウォンダも人類の常に従って息をひきとることになる。それも、わざわざロボットのメッカ、イオス星で。
 ドース二世の命名のきっかけ談が入る。アルカディアに繋がる女系には同じ名前が繰り返される発端ともなる。
 
 レイチを養子にした経緯は、本文には入れなかったが、ドースがこの子に、精神感応能力を見いだしたことによる、ということも付け加えおくべきである。

 
24
ドース サルヴァー僕ちゃん、素晴らしかったわ。あんなに辞書編纂委員会のメンバーが呆気にとられる光景は凄かったわ!もう実権は市長に移ったも同然だわ。
 
ハーディン 僕ちゃんは止めて下さいよ!もう時期ターミナスのナンバーワンなんですから。

ドース それにしても、私としては感激だったわ。ハリ・セルダンをホログラフで見させてもらって。曾祖父は写真でしか見たときないんですもの!
 わざわざあなたに会いにきたのは、別な二つの理由があったからなの。一つ目は、ハリが言ってた「星界の涯」なんだけどね、ファウンデーションナンバーツーっていうのよ。あなたご存知でしたか?
 
ハーディン 「第二ファウンデーション」?

 ドースさん。それが今後、大事な未来の出来事だとしても、私は今の任務をただひたすら遂行するだけです。あなたのお母さんから学びました。お父さんからも学んだことがあります。これから30年後に、本当の危機が訪れます。お母さんから学んだ、兵法を試す時です。そしてこのファウンデーションの行く末は、シンナックス方式なのです。敵を欺くには、まず味方からと申します。ハリもその手を使いました。

ドース そこまでご存知でしたか。私の両親はそんなにまでしてあなたを見込んでいたのですね!
 それから、二つ目は、あなたのお子さんの二番目の女の子、グレディアちゃんを私の養女に貰いたいの。

ハーディン 喜んで。実は本人もそのつもりです。あなたのお申し出をお待ちしておりました。あなたがおもちの二色に輝くシリンダー。二つうち一つを我が娘に渡すおつもりなのでしょう。
 
ドース えっ! そこまでご存知とは。

yatcha john s. 「時間霊廟」


ファウンデーションの夢 第四部 嵐の気配 第4話 時間霊廟

2023-03-13 18:37:20 | 嵐の気配
24第4話時間霊廟
ファウンデーションの夢
第四部 
嵐の気配
第4話 

時間霊廟

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部「嵐の気配」の大枠

21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
 
 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
 
 それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。
 ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
 その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。
 
 ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。

 ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。

 読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。
 
 ここからがその次の世代の物語である。ハリ・セルダンの孫娘ウォンダも人類の常に従って息をひきとることになる。それも、わざわざロボットのメッカ、イオス星で。
 ドース二世の命名のきっかけ談が入る。アルカディアに繋がる女系には同じ名前が繰り返される発端ともなる。
 
 レイチを養子にした経緯は、本文には入れなかったが、ドースがこの子に、精神感応能力を見いだしたことによる、ということも付け加えおくべきである。

 
24
ドース サルヴァー僕ちゃん、素晴らしかったわ。あんなに辞書編纂委員会のメンバーが呆気にとられる光景は凄かったわ!もう実権は市長に移ったも同然だわ。
 
ハーディン 僕ちゃんは止めて下さいよ!もう時期ターミナスのナンバーワンなんですから。

ドース それにしても、私としては感激だったわ。ハリ・セルダンをホログラムで見させてもらって。曾祖父は写真でしか見たときないんですもの!
 わざわざあなたに会いにきたのは、別な二つの理由があったからなの。一つ目は、ハリが言ってた「星界の涯」なんだけどね、ファウンデーションナンバーツーっていうのよ。あなたご存知でしたか?
 
ハーディン 「第二ファウンデーション」?

 ドースさん。それが今後、大事な未来の出来事だとしても、私は今の任務をただひたすら遂行するだけです。あなたのお母さんから学びました。お父さんからも学んだことがあります。これから30年後に、本当の危機が訪れます。お母さんから学んだ、兵法を試す時です。そしてこのファウンデーションの行く末は、シンナックス方式なのです。敵を欺くには、まず味方からと申します。ハリもその手を使いました。

ドース そこまでご存知でしたか。私の両親はそんなにまでしてあなたを見込んでいたのですね!
 それから、二つ目は、あなたのお子さんの二番目の女の子、グレディアちゃんを私の養女に貰いたいの。

ハーディン 喜んで。実は本人もそのつもりです。あなたのお申し出をお待ちしておりました。あなたがおもちの二色に輝くシリンダー。二つうち一つを我が娘に渡すおつもりなのでしょう。
 
ドース えっ! そこまでご存知とは。

yatcha john s. 「時間霊廟


ファウンデーションの夢 第四部 嵐の気配 第3話 ドースと孤児レイチ

2023-03-12 19:31:16 | 嵐の気配
23第3話ドースと孤児レイチ
ファウンデーションの夢
第四部 
嵐の気配
第3話 

ドースと孤児レイチ

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部「嵐の気配」の大枠

21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
 
 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
 
 それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。
 ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
 その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。
 
 ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。

 ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。

 読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。
 
 ここからがその次の世代の物語である。ハリ・セルダンの孫娘ウォンダも人類の常に従って息をひきとることになる。それも、わざわざロボットのメッカ、イオス星で。

23

ダニール アルーリンは、もう一人のドースを無事にターミナスに送り返したようだな。お前の仕事も一段落したようだな。
 
ドース ダニール、あなたって相変わらず機械的な言い方しかできないのね。それでよく帝国の宰相やハリの友人の役がつとまったわね!
 
ダニール それはご挨拶だね。お前をこの星で製造したのは私だ。しかしお前こそ、私の失敗作かもしれない。あまりにも人間の女性以上ではないのかな?
 孤児であったレイチを貧民窟で見つけてから、ハリの養子として彼を育て上げ、その娘ウォンダを第二ファウンデーションの指導者として立派に成長させた。

 今ではすでに彼女なしでも十分機能する「星界の涯」になった。そしてお前が機能不全で、ハリから離れると、お前が陰ながらハリの面倒を見たとは言え、ウォンダはハリの片腕以上に成長した。

 ところで、ドース、もう一人のドースは、偶然にしては、なぜ同じ名前なのかな?

ドース 地球に二人を送る際、ガール・ドーニックが寝ている間、彼をシンパシック・ハーヴェイ号に運ぶ最中に、ウォンダがびっくりして叫んだのよ。「お婆ちゃん。ドース」って。

ダニール なるほど、それで地球で彼の感応力が覚醒してから、その名前が彼の潜在意識に刻まれ、娘が出来たときその名前をつけたっていうわけだ。
 しかし、それにしてもお前と瓜二つではないか。彼女もお前以上の「宇宙の女」なのかもしれない。

 宇宙の意思は、私とジスカルドの「第零の法則」なんて米粒に等しいほど、比較にならないくらい偉大なのかもしれない!

(イオス星の病院の片隅に設置されたレコーダーを解析して出されたデータより〖ロボットが人間語で喋って記録された稀な例。〗)

https://youtu.be/at0R8Mx8WGU

yatcha john s. 「ドースと孤児レイチ」

絵画∶
 Thomas Benjamin Kennington - Orphans.jpg


ファウンデーションの夢 第四部 嵐の気配 第2話 帝国辞書編纂図書館 

2023-03-12 00:40:44 | 嵐の気配
ファウンデーションの夢
第四部 
嵐の気配
第2話 

帝国辞書編纂図書館

前史

銀河暦 12028年 
 ダニール・オリヴォー、宰相を辞任。ハリ・ セルダン、宰相になる。

銀河暦 12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。

銀河暦 12040年 
 ウオンダ・セルダン生まれる。

銀河暦 12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。

銀河暦 12067年 
 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委 員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部の大枠
21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。

 そして親しげにガールに話しかけてくる。

 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!

 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。

 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。
 
 それから数十年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。

 ターミナスは、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。

 その立役者がサルヴァー・ハーディン、その人であった。彼の活躍にはもう十年の月日が必要である。

 ドーニック家は、ベリスの娘、ドースの時代になっていた。あらかじめ、お断りいたしますが、ドースと言っても、ハリの奥さんと同じファーストネームのドースであるが、もう一人のドースである。

 ガールの盟友ボー・アルーリンは、トランターの仲間との紐帯を強く守り続け、大いにガールを助け、ガール亡き後は、ガール家を支え続けていた。方や、アルーリンは、ターミナスの次の段階への準備を着実に進めていった。

 読者には、残念ながら、その詳細については、Yi Yin の『ミーターの大冒険』のエピローグと第一部を参照してもらいたい。

 ここからがその次の世代の物語である。

22

(『ドース・ドーニックの日記』より)

「あの母さん、ベリス。ずっと綺麗でガールに愛された幸せな人生。不思議な力を内に秘めていたけれど、それを決して表に出さなかった女性。最後に渡されたのが三色に輝くシリンダー。そして私は何をすればいいのか?優しさだけが人の生きる意味だと言ってた!その他のことは、どうでもいい、とも言ってたわ。

 以前、叔母ウォンダと親しかったというボー・アルーリン(心理歴史学者)が、彼は、トランターとターミナスとの間を行き来していたが、そのときはトランターに長く滞在していて、わざわざトランターから私に会いに来たことがあった。ウォンダは死期が迫っていて、私に逢いたいと。

 そして8年経ったら、帝国辞書編纂図書館でハリ・セルダンの第一回目の『時間霊廟』のホログラフが公開されると伝えてくれた。すべてお膳立ては、父ガールがトランターにいた最後の年に用意した、という。ホログラムには写らないだろうけどガールが側にいるはずだという。是非見たい。ハリ・セルダンの姿を!

 あのベリスは、私のことを愛してくれたことは当然であるが、隣の子、サルヴァー・ハーディンをとても可愛がっていたのを覚えてる。あの子は今、市議会議員になったばかりだが。ひょっとするとここターミナスの命運を握ることになる人物かもしれない!」(『ドース・ドーニックの日記』)

yatcha john s. 「帝国辞書編纂図書館」


ファウンデーションの夢 第四部 嵐の気配 第1話 涙の黒い太陽

2023-03-11 18:24:29 | 嵐の気配
21第1話涙の黒い太陽
ファウンデーションの夢 
第四部
嵐の気配
第1話

涙の黒い太陽

前史

銀河暦 12028年 
 ダニール・オリヴォー、宰相を辞任。ハリ・  セルダン、宰相になる。
銀河暦 12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦 12040年 
 ウオンダ・セルダン生まれる。
銀河暦 12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦 12067年 
 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委  員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部の大枠

21 第1話 涙の黒い太陽
22 第2話 帝国辞書編纂図書館
23 第3話 ドースと孤児レイチ
24 第4話 時間霊廟
25 第5話 嵐の気配

あらすじ

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 ただウォンダが地面の割れ目から湧きだしている水に狂喜して、なにやら汲んでいるのは覚えていた。しかもその泉の回りにはクローバーが密集していたことも。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 ターミナスのパークサイドで彼女を見失った。地球の大地から脇だした泉に狂喜していたウォンダの姿にオーバーラップし、「星界の涯」の意味を沈思するガールであった。

 方や、ウォンダの妹のベリスは、その場所を訪れていた経緯をその日のうちに母マネルラに手紙をしたためていた。
 
 なぜか祖母ドースが夢に現れて、不思議な一連の作法で新たに新設された公園のある場所を訪れるように指示されていた。

 これは不思議な事件で、後に、ジョン・ナックの『歴史思想書』たる書籍はその図書館には存在せず、ベリスが訪れた涙の黒い太陽の像は次の日には消えていた。誰一人ターミナス人は、知らなかったということになる。

 これが、後の後のベイタ・マロウによって発見されるまでは。

21

「もう十分、読者は理解できたであろう結論を再確認してもらおう。要するに科学の進歩は人類の想像力の範囲内を一歩でも出てしまえば、危険極まりなく、自らに破滅をもたらすのである。ニフが選民と呼ばれることをある民族は、嫉妬し、原子力のなんたるかを既に獲得していた理論を盗み、その事実を闇に葬ろうとした。それが二度の原子爆弾投下という、戦争を終結させるという美名のもとに極めて少数の意見である時暴走した。
 ニフとは現地語で『二不』であり、皮肉にも人類の歴史上、どこの場所にもあり得なかった一回のみ原爆投下されたという意味であり、その痛みを知っている唯一の民という意味なのである。その悪魔は、嫉妬という人間の醜い奇形を生むのである。諸君、そのことを最後の警句としてこの書を閉じることとする。」『ジョン・ナックの歴史思想書(22世紀の思想家)の結論部』

 お母様マネルラへ。サリプでの暮しはいかがですか?
 こちらは一人でも大丈夫です。

 実は大変なことがありましたのでお手紙書きました。
 でも全然心配はいりません。

 昨夜、お祖母さんドースが夢に現れて、「図書館でジョン・ナックの本を読んでから例の公園へ行くように、家に咲いているジンジャーの花を髪にさしてね。」と言われました。

 その通りに言われた場所には、昨日までなかった丸い黒い顔の像が土に埋まっていたのです。 私が手をかざすと黒い部分が黄金に輝いて初めて見る文字が浮かび上がりました。
 そうしたらなぜだかその文章の意味が分かったのです。その分は次のようです。

 『我らはニフ人、シンナックスを経由してここ銀河のはずれまでやってきた。
 ここに「涙の黒い太陽」の像を埋める。
 放射能の悲惨さを忘れないためだ。
 我らが〇〇のニフから宇宙に飛び出したのはいうまでもない。
 空が放射能で黒く覆い光を遮り四十日の間、太陽を見ることがなかったからだ。
 その教訓のため、ここにこの像を埋める。ここに記念として別紫蘇(ラベンダー)の種を撒いていく。
 宇宙が蘇る、その礎を開く時が来る。
 そして一人のシンナックスの青年がその意味を理解するであろう。』

 その青年とは誰でしょう。萌葱色の霧雨が降っていました。大地が霞んでいました。
 公園は泉のせせらぎと小鳥が囀ずる声だけでした。
 空には虹がかかっていました。
 今日の不思議な出来事に物思いを寄せていました。
 お姉さんウォンダは今頃どうしているんでしょう。
 その時、誰かが私を見ているような気配を感じたのですが! 
            
ベリスより。

yatcha john s. 「涙の黒い太陽」