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ミーターの大冒険 第七部 太陽系 第10話 途中下車 火星

2023-01-14 19:24:40 | 太陽系
172第10話途中下車 火星
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第10話

途中下車 火星

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を除去することができるのか?

 そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

 新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。

 そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。

 ところが、ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は月の軌道目掛けて一直線のコースをとろうとしたところ、手前の火星地表で有機体とロボット(通常のロボットの反応とは違う)の存在をキャッチした。

 ミーターの直感は火星に着陸する選択をする。

172

ロボット やあ、はるばる銀河の反対から来られましたね、ミーター・マロウ君。

ミーター お初にお目にかかります。長年、この時が来ることを願っておりました。光栄です、サー。
 ところで隣にいる女性はどなたですか?

ロボット ペイリー・リャン。わたしの身の回りの一切の世話をさせています。もう私の体は終焉を迎えている。何しろ2万歳ですから。
 彼女はコンポレロンで身内がなく、孤児だったのでここ太陽系に連れて来ました。彼女は、全て私の思考通りに動いてくれます。

ミーター ところで、私どもは、あなたのおられる月に向かう最中でした。
 なぜ、あなたはここにおられ、何をなさっておられるのですか?

ロボット 月には地下層に相当量の水があります。月でその作業が完成したので、もっと埋蔵量の多い火星に来て、同じ作業をしていたのです。

ミーター えっ!!
 と言うことは、地球の海洋回復の目的!

ロボット そうです。月や火星からだと、磁場膜チューブで送水できます。アルファからだと、宇宙潮流に沿って運ぶには、だいぶ年月がかかりますが。

ミーター と言うことは、地球放射能除去にもすでに着手されておられるのですね。

ロボット さよう、私とジスカルドがなした人類に対する不都合への謝罪の行為として。銀河復興と連動してかねてよりの念願だ。私が引き起こした責任は私が償うのが、妥当だ。

ミーター かつてアルカディアは「人間の体に対しては、放射性物質は、9割くらいが放射性ヨウ素で、残りの1割くらいが放射性セシウム」と語ってくれました。

ロボット 放射性セシウムに対する処方はウェルスクリーク産ゼオライトが有効だ。

ミーター それではたった1割だけの解決でしょう。あとの9割はどうやって?

ロボット ミーター君、それについては、君の専売特許のはずだ。

ミーター えっ!

ロボット 君の推理力は尋常でないが、基本的な記憶力は相当乏しいらしい。あのイオス星の熱い温泉。
 イオス星のポニェッツ仕様のラヴェンダー・エキスだよ。
 あの時は危機一髪だった。生還不能だと覚悟した。何しろブラック・ホールに突っ込む寸前だったからね。

ミーター そうだったんですね。

ロボット いずれポニェッツ仕様のラヴェンダーのエキスが月に届く。すべてドースの手配でね。

ミーター そこまで用意周到なのですね。
 そしたら、私の出る幕はほぼゼロですね。

ロボット そんなことは全くない。私の準備はほんの手始めだ。ほぼ残り全部が君の肩にかかってる。
 
ミーター う~!
 ところで不死の従僕様、あなたをなんとお呼びすればいいのですか?

ロボット ダニールだ、ダニールでいい。


ミーターの大冒険 第七部 太陽系 第9話 ふたたび 宇宙潮流

2023-01-12 19:37:45 | 太陽系
171第9話ふたたび 宇宙潮流
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第9話

ふたたび 宇宙潮流

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

 新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。

 そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。

 そして、ミーターはさらに ...

171

ミーター まさに宇宙彷徨(さまよい)だ。宇宙ヒッチハイカー。別な言い方だと、宇宙ノマドだ。

イルミナ そうなんですね!シンナックス人の生き様の「新しさ」、「移動」こそ、根本、ということですね。
惑星土壌の「墾化」だ!

イルミナ ボス、さっき、ターミナスにも墾化が関係あるとおっしゃいましたね。

ミーター 大いにある!放浪のシンナックス人はどういう具合でターミナスに来て、道標まで造って、さらに、特定の未来の人物にターゲットを絞ってメッセージを遺したのか、を考えれば自ずと分かるというもんだ。

 その墾化のシンボルがジンジャーの花とラヴェンダーだ!

イルミナ なるほどね、宇宙潮流ね。すべて辻褄が合いますね。もちろん、特定の未来の人物とは、ベリス・セルダンですね。

ミーター そうだ、彼女が、時間差はあれ、特殊な有り様で彷徨(さまよ)えるシンナックス人に遭遇した唯一の人物なのさ。

 シンナックス人は、彼らの感応力にしたがって、宇宙潮流に乗ってターミナスにたどり着いた。いいや、もっと正確に言うなら、ターミナスを銀河系最後のジャンプ台として利用し、跳躍力を何倍にも高め、銀河外部の深宇宙に飛び出して行った、と観るべきだ。
 
 宇宙潮流とは、ある意味で、人類或いは人間の感応力に反応して変化する存在と考えればいい。宇宙潮流と人間の意識が交流する、と言うことだ。

イルミナ おっしゃる意味が、わたしにも漸く分かってきましたよ。例のロボット第零の法則の「捕捉」にある真理律ね。

 「直感、感応、触れ合い、溶け込み、融合、歓喜、充満、そしてその後の再生」ですね!

 またまた驚きですこと。

ミーター そんなに驚くことでもあるまい。
種明かしは簡単さ、イルミナ。ハニスさんの発見したジョン・ナックの『歴史思想書』に出て来る概念でね、それに俺なりの推理によって展開しただけだ。

イルミナ それにしたって、よくもまあミーターさんの推理力って底なしだわ!
 それに、ジョン・ナックって、シンナックスやアルファの原動力になった地球時代の科学者だと思いますけど、どんな人物だったのかしらねぇ!俄然、興味が出てきました。

ミーター 今はただ、『宇宙潮流理論』の産みの親、とだけ言っておこう。

イルミナ ミーターさん、怒るわよ!もう少しのサービスを!わたしには、それを聞く権利がありますからね。

ミーター なんたって、お前は、「銀河帝国辞書編纂図書館」だからな! ハッハッハ!
 
 そうだな、もう少しならいいぜ!
 忘れてやしないよな、オーロラのアンテンニンの洞窟のことを。

イルミナ はい、ジスカルド・レヴェントロフの頭部!
 そこにも銘が打ってありましたね、「第零の捕捉律」。

ミーター それだよ、イルミナ、俺の推測だと、ダニール・オリヴォーの陽電子頭脳の飛躍の理由なんだがな。どう考えても、人間との感応交流の結果としか考えられないんだよ。
 そして、そのダニール・オリヴォーもまた、ジスカルド・レヴェントロフによって精神感応力を伝授された。
 その墓標に、ハッキリと印されてあったぞ。

 そこから推測するに、ジスカルド・レヴェントロフは、オーロラの社会学者ロイ・ネメヌウ・サートンによって、地球の宇宙ドームに滞在している期間中に、発見された、とね。そしてジスカルドの内部構造自体を徹底的に調べた。その新たな構築が、後のヒューマンタイプの二体の製作へと進展したんだ。

 その先も言うのかい、イルミナ!

イルミナ お願いします。もう少し。焦れったい!

ミーター そうだな、推理の最後の結末まで話すことになってしまったな。ハッハッハ!
 
 つまりだ、ジスカルドの感応力とは、ファストルフ博士や、サートン博士のもとに、ジスカルドが置かれた以前から、備わっていたと観るべきだ。そして、後のダニール・オリヴォーとイライジャ・ベイリーとの親交が彼の陽電子頭脳を飛躍させたと同じように、ジスカルドの感応力も人間との交流によっている、と観るのが妥当だね。

イルミナ そうすると、件(くだん)のジョン・ナックとジスカルド・レヴェントロフとの友情関係による、とおっしゃるのね?

ミーター そうだけど、それ以上は、単なる憶測になってしまうけどな。

イルミナ 納得!納得!ミーターさんたら、宇宙潮流の話しからだいぶ飛躍しましたね!

ミーター ハッハッハ!うん。


ミーターの大冒険 第七部 太陽系 第8話 墾化

2023-01-11 19:39:44 | 太陽系
170第8話墾化
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第8話

墾化

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

 新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。

 そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。

170

ミーター まさに宇宙彷徨(さまよい)だ。宇宙ヒッチハイカー。別な言い方だと、宇宙ノマドだ。

イルミナ そうなんですね!シンナックス人の生き様の「新しさ」、「移動」こそ、根本、ということですね。

ミーター ところで、お前に、問いたいことがある。ちょっとした演算をしてもらいたい。「宇宙潮流」の波の周期についてだ。

イルミナ 今度はなんでしょう、ボス?

ミーター うん、「宇宙潮流」の短い波長は500年だよな?それではその上の大きい周期は何年になる?

イルミナ ええと、12500年でしょうか?
 500年に25を掛けるということですね。

ミーター うむ! 12500年か!
 ヤッパリ、そう来たか。

イルミナ どういうことですか、宇宙史の先生?

ミーター そうだな、イルミナの方が俺よりよく知ってるはずだが、12500年前に何があったか、ざっと言ってみれば、分かるってもんだ。

イルミナ まず、セッツラーがこの銀河の隅々までくまなく住居可能な惑星に住むのが、ほぼ完成した頃ね。
 それから、5個の惑星連合が統合して、トランター共和国が生まれ、それが、ほどなくして、トランター帝国となり、全銀河の統治して銀河帝国が成立するわ。
 
ミーター もう少し詳しく訊く。そのトランター共和国がトランター帝国になる発端になった出来事とは何だった?

イルミナ ある星系のフロリナという星の消滅に纏わる事件です。その星でしか産出しない超高価な繊維であるカートを独占していたその星系の覇権惑星サークにトランター共和国が政治的介入を図り、フロリナの独立に加担し、成功させたという出来事のようです。

ミーター 流石、銀河の博覧強記!
 それで、そのフロリナのカートが産出しなくなり、挙げ句にはその星が消滅する羽目になった理由は、何だったと思う?

イルミナ 先生、待って下さい。
 ですね、そうだわ、宇宙潮流の波の移動ですね!

ミーター ピンポーン!
 じゃあ、お前、そのほかの一つのこと、忘れてないか?

イルミナ ええっと!何だったかしら?
 ええっと、そうね、ボス、分かったわ。
 ダニール・オリヴォーによる「銀河歴史消滅」ですわ!
 ボス、それらが全部、符合するのね!

 またまた、ビックリだわ!

ミーター そこでだ、宇宙潮流がちょっとずれただけで、惑星の環境が以前とは極変してしまうもんだ。それでは、今度は、その惑星環境の変化について少し深堀しようじゃないか。

イルミナ 惑星環境の変化ですか?
 ちょっと待って下さい。
 ボス、ターミナスにも関係がありますでしょう?

ミーター 当然ある。

イルミナ その変化は、植物相についてですか?鉱物相についてですか?

ミーター それも含むし、それ以上だ。例えば、急激な大気の構成にも、惑星内部の構成にも多大な影響を及ぼす。
 驚くべきことは、この宇宙潮流に沿って人類の移動と惑星定住化が可能となったということなんだ!

イルミナ ボス、あなたはいつ、どういうことから、そういう結論を導き出させたんですか?全くの驚きです。

 ボス、そういう人類の住居可能に導いた惑星環境の劇的変化のことを何と呼べばいいのですか?

ミーター いいかい、イルミナ、宇宙潮流が人類に与えた素晴らしい恩恵の最たるもの。
 それは惑星土壌の「墾化」だ!


ミーターの大冒険  第七部  太陽系  第7話  宇宙潮流理論

2023-01-10 20:18:43 | 太陽系
169第7話宇宙潮流理論
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第7話

宇宙潮流理論

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。

 ついに太陽系の入り口にたどり着いた。人類の母なる太陽系。そして夢の地球。

 ミーターは、ロボットには病原菌は感染しないことを承知のうえで、万全の防備態勢でアルファに降り立った。そこには一人の少女が待ち受けていた。

 ミーターは、まずこの少女が語る彼らの星の名称がメルポメニアで入手したデータと食い違っていることに驚嘆する。

 さらにミーターはアルファ人の特異性について知らされる。

 そしていよいよ待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

 新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。

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イルミナ 「沈みかけの太陽」ですね!

 ミーターさん、ターミナスの天体物理学者が惑星ターミナスの天文学、地学的論文のデータについてですが。

ミーター どんな?

イルミナ 私、あの地球と月についてのデータを見て、驚いたんです。

 ターミナスの太陽とターミナスの距離、及びターミナスの岩石惑星としての構造です。玄武岩構成の大陸なだ構造と花崗岩構成の大陸構成の違いから惑星ターミナスの生成についての報告ですよ。
 このカビレ星系、いいえ太陽系における地球とターミナスの太陽と惑星ターミナスとの類比が99.5パーセント同じなんです。

ミーター なんだって!ほぼ同じ?
 単なる偶然にしても不思議だ。
 どういうことだ?

 ターミナスが誰かによって造られた、という訳じゃないのだろうが、銀河系における両者の位置関係も似てはいないだろうし、どう考える、イルミナ。

イルミナ 言われる通りだわね!

ミーター でもターミナスの月と地球の月とはだいぶ違うような?こっちの月は地球サイズの惑星の衛星としては破格にデカい。

イルミナ ですから、ターミナスはファウンデーションが入植する以前には生態系がまるでない。かたや地球には惑星内部のコアやマントル対流が大いに水と緑と適度な大気を構成したんじゃないのですか。
 それと共に大きな要因というのは、月の存在だということですね!地球に生命が誕生し、その生命が進化し、その生態系と深く関係してホモ・サピエンスが誕生した、と考えられますね。

ミーター じゃあ、訊くが、その大きな月の存在は、どう説明するんだ?

イルミナ そうですね、ジャイアント・インパクト理論というものがありますよ。今から約46億年前、銀河円盤が自ずから大きな渦巻きの腕を回転させて行き、それに沿って太陽系が微妙な波をたてるように動いて、銀河の腕と太陽系外縁部のオールトの雲と接触した、ということです。
 そうすると、オールトの雲の気迫な原始雲がそれに触発されて、重力凝縮を起こし、ある天体となっていった。それが彗星ということですね!そして太陽系の内的引力に引っ張られて太陽系中心部に落下して行った。
 そして元の地球と衝突した、と考えられますね。

ミーター な~るほど。よくできた理論だこと!
 だけどな、イルミナ、よく考えてみるとだなぁ、ターミナスが太陽系の極似関係にあるってことは、誰がわかっていたんだ。説明できるか?

イルミナ ミーターさん、説明できますよ。ベリスが見つけた「涙の太陽」よ。ドース・ドーニックさんが記した日記をベイタ・ダレルさんがまとめ・保存した文書に、ありますよ。
 旅するシンナックス人の話ですよ!

ミーター な~るほど、フムフム。道理で。わかってきたぞ。

イルミナ なにがですか?

ミーター なぜ不死の従僕は月で我らを待っているか。銀河系の回転速度と太陽系の波打ち。
 みんな、ダーク・エネルギーによる「宇宙潮流」の仕業なんだ。地球が巨大彗星と衝突して、今の地球と月を造ったのも、「宇宙潮流」のせいなんだ。
 そして、彼は、俺を、月から地球に送り出す。

イルミナ なんとまあ!

ミーター それだけじゃあ、ないぞ。ダニール・オリヴォーは、シンナックスのある一派のように銀河系を離れようとしている。
 その行き先は、小マジェラン銀河か大マジェラン銀河だ!

イルミナ まあ!!


ミーターの大冒険 第七部 太陽系 第6話 ミーターの夢の一つ

2023-01-09 21:48:19 | 太陽系
168第6話ミーターの夢の一つ
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第6話

ミーターの夢の一つ

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。

 ついに太陽系の入り口にたどり着いた。人類の母なる太陽系。そして夢の地球。

 ミーターは、ロボットには病原菌は感染しないことを承知のうえで、万全の防備態勢でアルファに降り立った。そこには一人の少女が待ち受けていた。

 ミーターは、まずこの少女が語る彼らの星の名称がメルポメニアで入手したデータと食い違っていることに驚嘆する。

 さらにミーターはアルファ人の特異性について知らされる。

 そしていよいよ待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

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イルミナ どうして不死の従僕さんが月にいるということがわかるのですか?

ミーター 例のコンポレロンのデニアドールのことからだ。リングの惑星と、ある惑星の巨大衛星のセットで、不死さんは我々を誘導したんだ。土星の異常さだけ一方の理由なわけないだろう。

イルミナ ごもっともです。

ミーター 太陽系第3惑星には不自然で不釣り合いな衛星(月)がある。メルポメニアの『スペーサーとアルファ』には月(Luna)と衛星(the Satellite )と同義語として記載されてあった。そしておまえがデニアドールの想念から拾い上げた情報と、メルポメニアで入手した文書記録と、アルファで入手したデータを総合的に整理すると、そういう事実が浮かび上がる。しかも、それをダニールは楽しんで俺を試しているように思えるんだよ。

 イルミナ、いいかい、ダニールは我らロボットの永遠なる尊敬主であるかも知れないが、それでも、どこか人間的な存在なんだ。ユーモアがあり、失敗もし、時には後悔もする。

イルミナ そうだわね!彼ってハリ・セルダンの前に初めて姿を現した時はヒューミン(人間的)と名乗っていたし、あのガール・ドーニックと初めてシンナックス大学で遭遇したときも、ヒューミンと名乗っていた。

 もしかしたら、オリンサスさんと友達になったときも、ヒューミンと自己紹介していたかもね!

ミーター そうそう、おまえも俺の推理力の真似ができてきたなあ!

 今、気がついたことがある。
 今からダニールさんが月にいる理由を説明するが、
 そうだ!

 そのシンナックスねえ。

イルミナ なんですか?

ミーター 「シンナックス」の意味にも、2つある。2つの意味をかけていると言った方がいい。
 一つは、ナックス主義者の集合。
 もうひとつは、シンナックスの「シン」は、古代ニフ語で「新しい」という意味もある。

イルミナ そういうことなんですね!
 いわゆる、「日々新たなり、新たなり」という意味の古代語ですね。つまり、「新」の意味は、「冒険」、「探索」、「移動・変革」ですね!
 でも、ミーターさん、どうして突然、シンナックスのことを?

ミーター そうなんだ。要するに、俺はこの太陽系に入るまでに、何回も変身してきた。そしてここまで移動してきた。
 この銀河が再生するには、この銀河を復興するには、全能力を使って探索してきた。

 ダニールは俺の推理力に彼の感応力で挑戦している。
 イルミナ、おまえに訊くが、この銀河の凋落の原因はなんなんだと思う?

イルミナ そうね!重要な秘密のキーワードねえ!
 そうですね、...
 あの「反陰陽」という概念を再構成すると「混沌」ということかしら!

ミーター 素晴らしい!
 おまえって、どんな機能をもっているんだ!

イルミナ まあ、お褒めに預かって嬉しいですね!その「混沌」について、なにか?

ミーター 実は、確証はないのだが、俺はR・ダニール・オリヴォーの存在の裏には、やっぱり、ジスカルド・レヴェントロフの存在が大きいとふんでいる。
 そのレヴェントロフの存在にジョン・ナックが隠れているように思えてきた。
 その「混沌」は循環する。最も小さいサイクルは500年だ。
 そして、この理論は、ジョン・ナックが提唱した。ガール・ドーニックはシンナックス人だ。当然、彼の不定性の原理は、ジョン・ナックの思想に基づいていると考えるのがふつうだ。ジョン・ナックは、この「混沌」の原因が「宇宙潮流」から来ていると気がついていたんだ。

 そこでだ、R・ダニール・オリヴォーは、おそらく、この「宇宙潮流」を利用して、彼の機能が持続可能ならば、この銀河を脱出したい、のではないかな。

イルミナ まあ、ミーターさんったら、どこまで飛躍してしまうのですか?この後、不死の従僕さんがこの銀河を復興するんではないのですか?

ミーター イルミナ、いいかい、不死の従僕さんであっても、永遠に不死ではあり得ない。彼に余命があるなら、ジスカルドのなし得なかった夢を実現させてあげようではないか。彼はもうこの銀河で2万年ものあいだ、人類のために戦って来たんだから。

イルミナ まあ、もしそうなったら誰が不死様の代わりになるんですか?
 
 まあ、もしや..!!

ミーター かつて、ハニスさんは、ベリス岬でこの俺に呟いたんだ。

 「ミーター君。沈みかけの太陽になにかしかの糸口があるとずっと思ってきた」と。
 俺は地球から見た夕暮れの空に太陽がゆっくりと沈んでいく光景の夢を何度も見たんだ、イルミナ。