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ミーターの大冒険 プロローグ 第7話 極素輻射体

2023-05-16 19:29:28 | プロローグ
75第7話極素輻射体
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第7話 

極素輻射体

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。

75
ハニス ミーター君、「極素輻射体」(Prime Radiant )というのが、今一わからない。君のデータベースから探ってみてくれないか!
 
ミーター ハニスさんの研究熱心には舌を巻きます。またここの渚に来ていましたね。どれどれ、端末を見せてください。お役にたてるかどうか怪しいですがねぇ。

ミーター そうですね、ハニスさん。ハリ・セルダンの心理歴史学の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわかりません。ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に見られます。

ハニス 助かるね、ミーター君。もう少し捕捉してくれたまえ。

ミーター OKです。それに...ハリ・セルダンが初めて心理歴史学の理論の端緒を思いついたトランターのワイ地区の件(くだり)が気になります。なにやら、ハリ・セルダンが、当時宰相であったエトー・デマーゼルが親友のヒューミン自身であったこと、そして当時忌むべき禁断のロボット・ダニール・オリヴォーと同一人物であったことを初めて看破したのが例のワイ地区の事件の時だったのですよ。彼らロボットの「第零の法則」に心理歴史学の真髄を見出だしたと推測できます。
 もしかしたら、『児童のための知識の書』に出てくる「不死の従僕」そのものなのではないでしょうか?
 それにですね、かの不死の従僕は、彼の盟友から引き継いだんだものだったんです。「第零の法則」の継続活動は、その盟友の強い意志だったんですが、その盟友の名前がなんと、「ジスカルド・レベントロフ」!

ハニス なんだって!実に妙だ!ミーター君。オリンサス爺さんから、彼は俺の爺(祖父)さんと若いときからの知り合いで、孫に「ジスカルド」とつけたのは俺の爺さんだって聞いている。なんの風の吹きまわしなんだか?

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 7 「 極素輻射体」


ミーターの大冒険 プロローグ 第2話 新たな3人組

2023-05-09 19:54:07 | プロローグ
70第2話新たな三人組
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第2話

新たな三人組

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。

 

70

ミーター ハニスさん、フレクスナーの町からここまでだいぶ遠いというのに、よくいらして下さいました。

ハニス なあに、私にとってはアルカディアさんは人生の宝石みたいなものなのだよ、ミーター君。

 彼女は、我が銀河のまさにスター、救世主のような存在で尊敬する人類の導きなのだよ。

 彼女は私に優しく接してくれたばかりでなく、セルダン理論をわかりやすく教えてくれた。銀河の復興のアウトラインでさえ、示してくれた大先生なんだ。

 君を守って行くようにと仰せ付けられている。オリンサスさんも、なにやら彼女と約束した大業があるらしい。帝国辞書編纂図書館の抜本的再構築とか聞いてる。

ミーター ハニスさん、ありがとう。これからお世話になります。でもモーヴでのお仕事はどうされるのですか?

ハニス それは、辞めて来た。もっと大事な役目があるというものだ。そうだろう、ミーター君。それにターミナス、いやファウンデーション自体が今や陰気に満ちて来ている。銀河の終末っていったところだ。

 マンドレス星出身のモーヴの新警察署長、リオノ・コデルが着任して来てからはもっと深刻になってきている。あのインドバー政権よりも危ない。それに私はあの風貌には呆れてる。灰色のモジャモジャな口髭、気取った胸の外ポケットが原色の鳶色ときてりゃ、なおさらだ!

ミーター ハニスさん、どこから始めようとしているのですか。

ハニス ミーター君、心配には及ばない。君のデータバンクの掘り起こしから始めればいいだけさ。

ミーター なるほど、それはごもっとも!エッヘン!

yatcha john s. 「 新たな3人組 」『ミーターの大冒険』プロローグ その2


ミーターの大冒険  プロローグ  第2話   新たな三人組

2023-05-07 21:38:56 | プロローグ
70第2話新たな三人組
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第2話

新たな三人組

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。

 

70

ミーター ハニスさん、フレクスナーの町からここまでだいぶ遠いというのに、よくいらして下さいました。

ハニス なあに、私にとってはアルカディアさんは人生の宝石みたいなものなのだよ、ミーター君。

 彼女は、我が銀河のまさにスター、救世主のような存在で尊敬する人類の導きなのだよ。

 彼女は私に優しく接してくれたばかりでなく、セルダン理論をわかりやすく教えてくれた。銀河の復興のアウトラインでさえ、示してくれた大先生なんだ。

 君を守って行くようにと仰せ付けられている。オリンサスさんも、なにやら彼女と約束した大業があるらしい。帝国辞書編纂図書館の抜本的再構築とか聞いてる。

ミーター ハニスさん、ありがとう。これからお世話になります。でもモーヴでのお仕事はどうされるのですか?

ハニス それは、辞めて来た。もっと大事な役目があるというものだ。そうだろう、ミーター君。それにターミナス、いやファウンデーション自体が今や陰気に満ちて来ている。銀河の終末っていったところだ。

 マンドレス星出身のモーヴの新警察署長、リオノ・コデルが着任して来てからはもっと深刻になってきている。あのインドバー政権よりも危ない。それに私はあの風貌には呆れてる。灰色のモジャモジャな口髭、気取った胸の外ポケットが原色の鳶色ときてりゃ、なおさらだ!

ミーター ハニスさん、どこから始めようとしているのですか。

ハニス ミーター君、心配には及ばない。君のデータバンクの掘り起こしから始めればいいだけさ。

ミーター なるほど、それはごもっとも!エッヘン!

yatcha john s. 「 新たな3人組 」『ミーターの大冒険』プロローグ その2


ミーターの大冒険 プロローグ 第12話 レアアース

2023-01-22 14:56:40 | プロローグ
80第12話レアアース
ミーターの大冒険
プロローグ 
第12話 

レアアース

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 ジスカルド・ハニスはミーターの巧みな誘導によって、ジスカルド・ハニスがジスカルド・レベントルフ由来の命名であることに気付かされ、オリンサスが今の携わっている図書館改造に真摯に向き合う決心をする。ハニスの外遊が始まろうとしている。が、第2ファウンデーション及びまだ隠されているもうひとつのグループに会合できるかは、未知数であった。

80
ハニス ミーター君、「変移」とは意味深い言葉だね。
 『児童のための知恵の書』にも「日々新たなり新たなり」という人類の誕生の「人としての本義」の教えがあったのを思い出したね。
 そして移動とは「精神の冒険」であり、あえて「異種」の文化と親密になること、「新たな材料」をすすんで摂取することを忘れてはならないんだね。

 もうミーター君はアルカディアなしでしっかり独り立ちできるっていうことだね!

 ところで、ミーター君、オリンサスさんの仕事が今、頓挫してしまってる。
 ブック・フィルムのバーチャル化には大量な希土類元素が必要なのだが、ここターミナス星は皆無だから。この星の地盤は花崗岩が主だ。奇妙な星だな!
 オリンサスさんをなんとか助けたいんだ。
 
ミーター ハニスさん、それならトランターに山ほどありますよ。心配いりません。トランターには銀河全体から集積された貴重な鉱物が500年前から放置されたままですからね。レアアースが、トランターのマイコゲン地区にはレアアースの集積場所がありますよ。そこに行けばなんなく手に入るはずです。
 スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、リウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム
が今でもある、って記憶しています。

ハニス ミーター君、君がたまにロボットであることを忘れてしまってる。ハッハッハ!
 それにしても、今、全銀河を維持しているターミナスにないものが、既に過去の遺物であるトランターにあるっていうのは、大いなる皮肉だな!
 有難い。しばらく留守することになるね。ついでにニュートンに隠してあるファー・スター2世号の修理部品も調達してくるよ。

ミーター ハニスさん、ファー・スター2世号?

ハニス もう一つの探索もある。
 
ミーター もう一つの探索?
 
ハニス ミーター君、第二ファウンデーションともう一つのグループを!

yatcha john s.


ミーターの大冒険  プロローグ  第6話  敵を欺くには味方から

2022-12-01 23:13:50 | プロローグ
74第6話敵を欺くには味方から
ミーターの大冒険 
プロローグ 
第6話 

を欺くには味方から

あらすじ

 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?
 「微細心理歴史学」という真理なのか?
 ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?

 ミュールの必然性とは、ますます展開が際立って来たようだ。

74
ミーター ハニスさん、僕のデータでは、サルヴァー・ハーディンの時代とミュールの時代とでは約250年の隔たりがありますが、彼ら同士の関係について何かの真実があると思っているような口振りですね。よかったらこの僕に教えてください。
 大事なことなんですね!

ハニス そうなんだ。ここに身を寄せて貰ってから、そこにターミナスの秘密の根幹部分が隠されているのにやっと気がついてきたんだ。ベイタ文書にハーディンの真意について次のような記録がある。
 「たぶんそれは、心理歴史学者だったら事の真相を悟ったからでしょう─それも、悟るのが早すぎてハリ・セルダンにとって都合が悪かったからでしょう。しかし、われわれは心理歴史学者ではないから、このようにあちらこちらつまずいて歩き、五里霧中でさっぱり真相をつかめずにいる。これがハリ・セルダンの狙いなのですよ」。
 このラベンダー畑のおかげでこの霧が晴れて来た感じなんだね。
「アルーリンの真実」というやつがねぇ!

ミーター アルーリン?あの心理歴史学者ですか。ウォンダとステッティンの仲間第一号の。あのハリに「礼儀正しい盟友」と呼ばれた「ボー・アルーリン」ですね!彼とハーディンの関係について何か?

ハニス 大いにありそうなんだ。ハーディンは根っからの政治人間であったと記録されているが、実はアルーリンの元で心理歴史学の真髄を叩き込まれたんだ。アルーリンは彼を唯一の心理歴史学の後継者と任じていた節がある。

ミーター それがミュールにどういう関係があるんですか、ハニスさん?

ハニス そこなんだよ!ターミナスが生き残り、徐々に銀河の覇権を握るきっかけをつくったのがハーディンなんだがね。そのプロセスというのは、科学技術と宗教という一見場違いにみえる組み合わせによって最初段階は近隣のアナクレオン星域を奪取して行った。銀河全体が原子力技術の忘却によって衰退していくのを横目に見ながら、ターミナスだけが隆盛して行った。他の世界は必然的にターミナスの科学技術の助けだけに命を繋ぐ活路のように仕組んで行った。巧妙なからくりを造り上げて着実に遂行して行った。
 しかしその巧妙な仕組みもついに最近、機能してない。

ミーター ハニスさん。どういうことですか?ハニスさんは、アルーリンとハーディンがそういう筋書きを最初から仕組んでいたと勘ぐっているんですね!

ハニス ミーター君。お見事!ドンピシャだ!流石ホームズの二代目。そこまで分かっていれば、あとは簡単。あとはミュールのことだけだ。

ミーター ハニスさん。ごめんなさい。ハーディンとミュールの関係がもうひとつわかりません。お願いです、ご説明してくれませんか。

ハニス うん、そこなんだよ。「ホルレッゴールの戦い」って分かっているよね。ミュールの勝因は、よく彼の強烈な精神作用力と言われているが、実は原子フィールド抑制機の意味合いの方が重要な気がしている。俺の勘繰りというのは、彼はファウンデーションの科学技術、特に原子力技術に対して、もっと正しく言うなら、原子力を極度に嫌悪していたと理解出来るんだよ。
 その意味で、アルカディアの見解は的を得ている。ファウンデーションの弱点をミュールは的確に利用したということ。

ミーター なんですって!それじゃ、ミュールが正義でターミナスが悪だと言うんですか?
 ガールとアルーリンは私たちターミナスを欺いて来たですって!
 全くの逆??
 にわかには信じられません。ハニスさん!あなたは正気ですか?何のために今までターミナスは戦ってきたんですか?この銀河を復興し、正義を打ち立てるためじゃなかったのですか?あなたの方こそでっち上げじゃあないんですか?

ハニス ミーター君。そんなに怒るなよ。ロボットならもう少し冷静になったらどうなんだ。もう一回、最初からシュミレーションをしてみないかい。冷静に冷静に、真相究明するのが推理探偵の肝だろう。

ミーター わかりました。ごめんなさい。アルカディアも言ってました。「宇宙の謎は神妙、そう簡単には真相は掴めないものだ」と。
 それにしても!ガールとアルーリンの目論見は深淵過ぎます。ロボットの僕にはその論理は、全く把握困難です。その目論見を見事にベイタは深く理解した唯一の人物。そしてアルカディアは祖母の遺志を継いだと。

ハニス ミュールについてだがね。彼の威力は、強烈な精神作用力だと言われているが、彼の存在の由来が、今問題になって来たということなんだ。ミュールの存在を深く探れば、きっとその先に我が人類の故郷、最古の(惑星)世界が見えて来るに違いない。そして、さらにその先に銀河復興が。

yatcha john s.