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ファウンデーションの夢  第五部  Tee Tree   第2話   本当の商人は錬金術師

2023-03-15 15:27:46 | TeeTree
27第2話本当の商人は錬金術師
ファウンデーションの夢
第五部 
Tee Tree
第2話
 
本当の商人は錬金術師

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第四部「Tee Tree 」の大枠

26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション

あらすじ

 ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。
 それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。

 ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。

 ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。

 ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。
 
 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 再生の命というものなのであろうか!
 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
 その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。
 
 そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。

 グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。
 彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。

  
27

ポニェッツ お前が、エスケル・ゴロヴか。30日間投獄されてた割には元気だったな。俺は、リマー・ポニェッツ、貿易商人だ。

ゴロヴ 恩に切るぜ。アスコーン星不法侵入で処刑されるはずサルヴァトーレ・シリグが、商人に助けられるとはな。

ポニェッツ それにしてもお前はドジなスパイだな。俺なんか、しょうがなくて助けただけだ。命を張ってな。それにいつものノルマを達成できないかとハラハラだったんだ。

ゴロヴ どうして助かったか、教えてくれるか。

ポニェッツ 簡単なことさ。いつもの常套手段を使っただけだ。普通の鉄屑を黄金に変えただけだよ。二、三日は変換装置を作るのにかかったけれどね。お役人は、よく国家やおかみに対して「忠誠心」とかいってるけど、そんなものははなからバカバカしい。裏はみんな「カネ」なんでね。自分の欲得が優先する。まして、黄金とくりゃあ騙すのはわけない。
 
ゴロヴ なんだって!鉄屑を黄金に変えた、だって!

ポニェッツ その様に見せかける。二日もすれば、ばれるがね。その前にトンズラすればいいだけさ。お陰で錫売りのノルマも同時に達成できた。

ゴロヴ 商人ときたら、汚い手を使うんだな!
あんたには道徳心のかけらもないんだな。

ポニェッツ 助けられたお前が言う台詞か?お前は国家のエリート行政マンかもしれないが、ちっともハーディンの気持ちがわかってないのだな。彼のモットー「正しいことをするのを、決して道徳観念に邪魔されてはならない」、と。
 俺の本当のノルマはこれからだって言うのに!お前はスパイのノルマを達成していないじゃないか。

ゴロヴ 本当のノルマ?

ポニェッツ これからターミナスに戻って、頼まれものを売りに出る。アルカディアさんの農場が目に浮かぶ。紫の世界。そのエキスで黄金なんかいくらでも買える。それとアルカディアさんの娘アルシアちゃんの笑顔も浮かんでくるのだよ!

yatcha john s. 「 本当の商人は錬金術師」

ミーターの大冒険 第六部 地球へ 第14話 核分裂と核融合

2022-12-29 18:55:32 | TeeTree
156第14話核分裂と核融合
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第14話

核分裂と核融合

 

あらすじ

 
 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 

 
156

イルミナ その核戦争で終わった世界大戦のことを歴史家は、『第二次世界大戦』と呼んだわ。

ミーター それじゃ『第一次世界大戦』もあったことになる。

イルミナ そうなんじゃないですか。

ミーター それじゃ『世界大戦』は、何次まで起き続けたんだ。

イルミナ それ以上は、詳しくは書いてないですね。この本の主題は、とくにアルファですからね。うがって読めば、第三次世界大戦が起こりそうになって、その「寸前の~危機」という言葉が目白押しだわ。

 でも、ミーターさん、推測すると、それが実際に地球に起こったら、人類は核爆弾を用いて、放射能が地球に蔓延して人類は住めなくなっちゃうんじゃないでしょうか。

ミーター それで、大戦抑止のために、また地球の敵対国同士は、何万発の原子爆弾を保有していくのだからなあ!矛盾だよなぁ!
 それで、先見性のある極く少数の裕福な連中がスペーサーとなって宇宙に飛び出して行った。

イルミナ まあ、それは恐怖だわ。破滅寸前の地球時代の到来ですね。それじゃ地球は安心して住める惑星じゃなくなったも同然だわ!

ミーター ハッキリ言って、悲惨だ!

イルミナ 続けるわね。
 
 そのあたりになると、地球人類の主要課題は人口問題とエネルギー問題が、起こります。都市化問題と言ってもいいですね。

 当時、エネルギー資源は、化石燃料の石炭から石油。そして核分裂を使った原子力発電に移行して行きました。

 核戦争はしばらく起きなかったんですが、原子力発電所の爆発が何度か起きたわ。

 ニフにも起きたんです。

ミーター「フクシマ」だな。

イルミナ それで、ニフ人たちは、過去に起きた、二度の悲惨な経験から、別なエネルギー源を実用化させたんです。
 それが「核融合」エネルギーですね。
 もっとも最初に実用化させたのはフランスという国だったんですが。ニフはそのあとを追うように実用化させ、地球の各国をリードして行ったのです。

ミーター それって当然と言えば当然だ。

イルミナ そうね、世界人類で唯一の被爆国だったんですから。

ミーター イルミナ、悪いが、「核融合」の意味を簡潔に言うと?

 そうですね、太陽のような恒星の内部で起きている現象で、放射能を発生しないクリーンなエネルギー。

 「トカマク」というドーナツ型の核融合炉のなかで、ジュウテリウム(重水素)とトリチウム(三重水素)の2種類の水素を融合させると、太陽の表面よりも高温のプラズマが発生します。

 ところがこの「無限の電力源」に必要な水素の放射性同位元素であるトリチウムは極めて希少なんです。
 その問題をニフ人たちはクリアしたんですね。

ミーター なんという科学力なんだ。
 なんで、彼らはそんなに科学力があるんだろうね?

イルミナ 民族と言えば、もう一つの、これも、特殊な民族がいたわ。

ミーター へ~。なんて言うんだ、その民族とやらわ?

イルミナ 一般に、放浪の民ユダヤ人。またはイスラエル人と呼ばれています。ユダヤ人たちは、とても優秀で、当時あったノーベル賞を数多く獲得しました。

ミーター ニフ人とそのユダヤ人って言うのは、どういう関係だろうか?

イルミナ ちょっと、お時間下さいね!込み入ったデータを調べてみますので。

 分かりました、ボス。ニフ人とユダヤ人の先祖たちは遺伝子学上、共通性があります。どちらも「ヤップ遺伝子」を保有しています。
 先ほどご説明した「出アフリカ』の時に、地球の各地にホモ・サピエンスが拡散して行く際に、ちょっとだけの遺伝子変異が起こったと考えられます。その遺伝子変異は、おもに環境の変化とホモ・サピエンスの先住人類の融合による度合いと考えられます。
 そしてニフ人とユダヤ人の先祖は、同じグループから分離した、と推測されます。

ミーター へ~、共通の遺伝子ねえ!
 ところで、だいぶ脱線したな、イルミナ。

イルミナ そうですね、「二種類のニフ人』のことでした。


Recalling

2022-12-22 17:25:19 | TeeTree
忘れること 
大事だけど 
全て忘れちゃダメだよ 
きみとって大事だったこと

あの旅立ちの朝の緑のかぜ
自分のこと考えること 
大事だけど 
全てわすれちゃダメだよ
 
君にとって大事だったこと
あの美しい人に初めて告白したときの
あのひとの瞳の揺らめき

新しいこと 
夢中になること大事だけど 
忘れちゃダメだよ 
きみにとって大事だったこと

夕焼けの下 
ふと気がついたら 
ひとりだった
そのとき呟いた 
I miss you の気持ち

そう 
振り向いてごらん 
きみのうしろがわ

yatcha john s. 「 recalling」


ファウンデーションの夢  第五部  Tee Tree   第8話  第2ファウンデーション

2022-11-05 01:25:03 | TeeTree
33第8話第2ファウンデーション
ファウンデーションの夢 
第五部 
Tee Tree
第8話 

第2ファウンデーション

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第五部「Tee Tree 」の大枠

26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション

あらすじ

 ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。

 それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。

 ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。

 ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。

 ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。

 そして親しげにガールに話しかけてくる。

 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 再生の命というものなのであろうか!

 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。

 その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。

 そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。

 グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。

 彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。そのグレディアの娘アルカディア(後のミーターの主人アルカディアとは別人)に敬意を払い、親交の絆を絶やさなかった貿易商人がいた。彼の名は、ポエニッツ。後にミーターの地球復興の大事業に連なる基礎になる活躍をすることとなる。

 その後、アルカディアとその娘アルシアは、ターミナスな人口の過剰問題を慮って、スミルナに移住する。そこで世話になったのが、馬の首暗黒星団付近のネフェロス星の最高貴族の血脈をもつバイロン・ファレルであって、当時、サマーセックの独裁政権に大して反対派の運動員をしていた。

 バイロンは、アルシアを妻に迎え、サマーセック政権を倒し、スミルナをファウンデーション連盟の一員にさせた。その後は歴史学者として、先祖がネフェロス星から携えて来たと思われる『ジョン・ナックの歴史思想書』という文献を再発見して、その解読に専念する。

 アルシアは娘を授かる。彼女は母の名前をつける。また不思議にも母娘は『児童のための知識の書』なる本を見つける。

 「断捨離」の意味は、後のアルカディアと彼女の友人であり、ロボットであるミーターによって、詳しく明らかになる。読者の皆さんのため、ちょっとだけサービスさせて頂きますと、人類の生存には、既存の財産を最小限にして、次の段階に進めるのには、移動しなければならない、という「新しさと移動」の哲学の要諦が求められている、ということです。

 一度、ミニマリストやノマドについて、考察あれ!

 アルカディアは母アルシアにターミナス帰還の提案をする。

 ここでは、ホバー・マロウの活躍は述べないが、ご興味ある読者は、是非とも、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』を繙いて頂きたい。

 ここは時代は下って、ホバー・マロウの娘ジータ・マロウの時代の話である。

 死んだと思われていた、オナム・バーの愛娘ジータ・マルレイネ・バーは生きていた。マルレイネは、彼女の星、シウェナにジータ・ベリス・マロウを招き入れ、おまけにトランターから、パルヴァー家の娘、ジータ・ウォンダ・パルヴァーを一緒に連れて来た。パルヴァー家の初の女の子であった。
 ジータ・ベリス・マロウは、二つあったペンダントの一つをトランターから来た女の子に渡す。
 このことは、いよいよ第2ファウンデーションの出る幕が近づいて来たとの予感を与える。

33
ジータ・マロウ(ベリス) ジータさん。うふふ。どちらからお話ししたらいいかしら?じゃあねぇ。私のこと、ベリスって呼んで。このペンダント、最初に着けた、我が家のご先祖さん。でも今からあなたのものね。
 
ジータ・パルヴァー(ウォンダ) どうして、そのことが!実はね、夢にお告げで、シウェナで、三色に輝くシリンダーをもらいに来るように言われたの!私を、ウォンダって呼んでください。
 でもベリスちゃん、あなたの分なくなっちゃうんじゃない!

ジータ・マロウ(ベリス) ウォンダちゃん、心配いらないわ。おばあさんの分、ちゃんとあるから。

ジータ・バー(マルレイネ) お二人ちゃん。 私は、本当は、マルレイネっていうの。
 悪いやつらにアスパー・アーゴの連中に山頂で捕まりそうになったとき、自殺しようと思って、滝に飛び込んだの。
 気がついたら、そばにドースさんがいて、しばらくは、自殺したことにして、行方を眩ましていなさいって言って、トランターのパルヴァーさん(ジータ・ウォンダ)のお宅に匿われたの。
 時期が来たから、シウェナに戻りなさいって言われて、戻って来たわ。

ジータ・マロウとジータ・パルヴァー なんですって!!(二人同時に)

ジータ・パルヴァー(ウォンダ) そうなの、スミルナのジータさんからそのペンダント、この場所で、トランターのジータさんから渡してもらうようにって。
 なにか、この場所って昔、ハリ・セルダンとドースの大事な場所だって、言われたわ。こうとも言ってたわ。「そろそろ第二ファウンデーションの出る番」だって。

ジータ・ベリス・マロウ そういうことなんですね!

 時期が到来したんだわ。

ジータ・ウォンダ・パルヴァー それじゃ、ねぇ、私からベリスちゃんにお願いしたいわ。このいただいたシリンダーの水、そこの頂きに三人で登って、滝にこぼしましょう。半分づつ。

ジータ・バー・マルネイレ いいわね。そしたら、この森に沢山の果物育てて、この広大な銀河を美味しいフルーツだらけにできるわね!

yatcha john s. 「第2ファウンデーション」


ファウンデーションの夢  第五部  Tee Tree   第7話   3人のジータ

2022-11-04 20:42:21 | TeeTree
32第7話3人のジータ
ファウンデーションの夢
第五部 
Tee Tree
第7話
 
3人のジータ

物語の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第五部「Tee Tree 」の大枠

26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション

あらすじ

 ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。

 それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。

 ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。

 ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。

 ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。

 そして親しげにガールに話しかけてくる。

 無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。

 再生の命というものなのであろうか!

 ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。

 それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。

 その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。

 そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。

 グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。

 彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。そのグレディアの娘アルカディア(後のミーターの主人アルカディアとは別人)に敬意を払い、親交の絆を絶やさなかった貿易商人がいた。彼の名は、ポエニッツ。後にミーターの地球復興の大事業に連なる基礎になる活躍をすることとなる。

 
 その後、アルカディアとその娘アルシアは、ターミナスな人口の過剰問題を慮って、スミルナに移住する。そこで世話になったのが、馬の首暗黒星団付近のネフェロス星の最高貴族の血脈をもつバイロン・ファレルであって、当時、サマーセックの独裁政権に大して反対派の運動員をしていた。

 バイロンは、アルシアを妻に迎え、サマーセック政権を倒し、スミルナをファウンデーション連盟の一員にさせた。その後は歴史学者として、先祖がネフェロス星から携えて来たと思われる『ジョン・ナックの歴史思想書』という文献を再発見して、その解読に専念する。

 アルシアは娘を授かる。彼女は母の名前をつける。また不思議にも母娘は『児童のための知識の書』なる本を見つける。

 「断捨離」の意味は、後のアルカディアと彼女の友人であり、ロボットであるミーターによって、詳しく明らかになる。読者の皆さんのため、ちょっとだけサービスさせて頂きますと、人類の生存には、既存の財産を最小限にして、次の段階に進めるのには、移動しなければならない、という「新しさと移動」の哲学の要諦が求められている、ということです。

 一度、ミニマリストやノマドについて、考察あれ!

 アルカディアは母アルシアにターミナス帰還の提案をする。

 ここでは、ホバー・マロウの活躍は述べないが、ご興味ある読者は、是非とも、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』を繙いて頂きたい。

 ここは時代は下って、ホバー・マロウの娘ジータ・マロウの時代の話である。

32

「コレル共和国は無条件降伏した。そして、ホバー・マロウはファウンデーションの人々の心の中に、ハリ・セルダンおよびサルヴァー・ハーディンに次ぐ地位を得た。」(『銀河百科辞典』)
 
ジータ・バー 会えて嬉しいですよ。ジータさんね。私もジータ。ジータ・バー。私はあなたより歳はずっと上ですねよ。
 短い手紙でしたけど、よく来てくれましたね。

ジータ・マロウ(ベリス) どういたしまして。アルシアおばあちゃんが、行きなさい、って言ってくれたの。シウェナにも来たかったの。お父さんもよく言ってたわ。いい人がいたって。あなたのお父様ね。オナム・バーさん。今はその息子さん、あなたのお兄様がこのコレル地域の総理大臣なのね。

ジータ・バー(マルレイネ) それを言うなら、あなたのお父様ホバー・マロウさんは、この星でも、コレル地域共和国(今ではファウンデーションの一部)全体の人々にとっても英雄でしょう。お父様にもお会いして、お礼が言いたいわ。  
 でもね、実はあなたはね、お父様の単なる代理人ではないの。私は二つの理由で、あなたにこの星シウェナに直に来てもらって、お願いしたいことがあったの。
 その一つ目は、この星にあなたのおばあ様が始められた、アグロフォレストリーを導入したいのよ。あなたからその第一人者としての能力と知識を学ばせてもらいたいの。
 もう一つと言うのはね。私は、この星で内乱があったとき。家族が散り散りになった時ね、ある女の人に命からがら助けられて、トランターに連れて行ってもらって、ある家族にお世話になったの。今、この家に来ているの。ご紹介するわね。そのご家族の娘さんジータ・パルヴァーさんよ。あなたと同い年かも。

yatcha john s. 「三人のジータ」