46第13話星界の涯
ファウンデーションの夢
第七部
ベイタ・ダレル
第13話
星界の涯
あらすじ
ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。
ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。
ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。
時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。
ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。
その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。
そこに第三者がまた登場する。
二重スパイ!?
そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。
さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。
最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。
トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。
彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。
エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。
ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。
そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。
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リー・センター やれやれこれでいい!我ながら完璧だった。
ドースさんの申し出は、心が痛かったが、望んでた結末だった。
最初はミュールが人の感情をコントロール出来る変異体とは思わなかったので、戸惑ったが。
ウォンダ お父さん。それは自画自賛過ぎない?結局、なにもしなかったんじゃない!
リー ウォンダ、それは親の心、子知らずだ。何年も前から準備はしてた。筋書きを書いたのは私なんだから。
まだお前は知らなくていい。
ウォンダ そんな、今回の大役のご褒美で、それを教えて頂戴。
リー どうせ言ってもまた私を嫌悪するだけに決まってるが、まあ教えてあげよう。
故郷の星の古い諺にもある、「蛇のように狡猾で、鳩のように素直であれ」、とな。
またファウンデーションのハーディンの名言にも「いいことをするのにちゃちな道徳心に振り回されるな」ともね。それが第零の法則なのだよ。ハリ・セルダンはデマーゼル、いやダニール・オリヴォーから、ここで教わった!!
ウォンダ どう言うこと?具体的には?
リー あとは自分で考えるんだな!今頃は、ドースさんの体は、デマーゼル、じゃなかった、ダニールさんか、レオナルドさんが引き取りに来ている。
ベイタさんは、私の恋敵(がたき)のランデュのヘイブンに着いた頃だ。
あと二三秒の違いでうまくいった。ミスさんは可哀想だったが、死ぬ直前、ここが第二ファウンデーションだとわかっただけでも本望だったに違いない。
第二ファウンデーションの人間は感応力に優れているだけじゃ、だめなのだから。演劇にも優れていなくてはならない。
ウォンダ まあ?! じゃあ「星界の涯」ってここのことなんですね、お父さん。
リー そういうことだ。銀河は星の渦で空間が歪んでいる。天体物理学を学べば、わかるはずだ。そうだ、少しは進歩したな、ウォンダ、起点が終着点になる!
yatcha john s.