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ミーターの大冒険  第六部  地球へ  第17話  ジスカルドとダニール

2022-12-31 07:40:45 | 地球へ
159第17話ジスカルドとダニール
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第17話

ジスカルドとダニール

 

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。
 

 
159

イルミナ ニューヨーク市警のイライジャ・ベイリーもオーロラのヒューマンタイプロボットをつくったハン・ファストルフ博士ももう過去の人になっていた時代、オーロラのロボット工学研究所にケルドン・アマディロ博士とその部下のレヴュラー・マンダマス博士がいました。
 彼らははずっと、イライジャ・ベイリーとファストルフ博士に対して恨みを抱いていて、いつか復讐を果たそうしていたんです。それで思いついたのが「核反応増強装置」です。。

ミーター イルミナ、それっていわゆる「原子力」や「核融合」とは似て非なるものなんだな!

イルミナ そうよ、図星です。
 
 ウランやトリウムが地上に露出している領域が地球には案外あるんです。
 そもそもその特殊性が地上に生命を生み出す原動力になったんですからね。
 その露出しているウランやトリウムに彼らは目をつけたんです。それを使った装置が「核反応増強装置」よ。

ミーター う~む、「核反応増強装置」か。
 それで?

イルミナ 当時、小規模で使用されていた、「核燃料小型炉」と反応させる、という工夫をしたんです。そうすれば、放射能は徐々に高濃度になって、連鎖反応を起こし、あげくは地上を被い、人類が生存できないようになっていくんです。
 放射能の濃度はますます高まっていき、癌や循環器、精神障害、遺伝子を破壊し、奇形が産まれ、海は乾上がり、地上は放射能の空気で充満してしまいます。
 全表土は砂漠化して、燐光だけが妖しく光る星に化してしまいます。

ミーター わかったからそれ以上は言うな。

 それでお前は、ジスカルドとダニールが「阻止できなかった」と言わないで、「あえて阻止しなかった」と言ったよな。
 是非、聞かせてもらおう、そこんとこの経緯を!

イルミナ そうです。ジスカルドたちは、彼らの悪辣極まりない野望を察知し、アマディロたちがあと寸でのところで彼らの装置を発火させようとしたところ、ジスカルドとダニールそれを阻止できたにもかかわらず、阻止しなかったんです。

 当然ジスカルドとダニールはかねてからの合意でその装置を破壊しようとした。
 ところが ...

ミーター ところが、なんだ?

イルミナ しなかったのよ!

ミーター だから、どういう意味なんだよ、なぜジスカルドたちは阻止できたのに、阻止しなかったんだ?そのわけは?

イルミナ 最初はダニールの方が言い出したんですが、いざ、その装置を破壊しようとした寸前、「待て、フレンド・ダニール、君が言うようにそのままにした方がいい」と言ったのよ。

ミーター なぜだ、イルミナ?
 なぜなんだ?

イルミナ ミーター博士、もうあなたはこの本を読んでいて、その結末を知ってて私に敢えて訊いているんですから、あなたは、この真実を認めたくなくて、私の話を聴いている間、ずっと泣いているんですからね。
 でも、この事実を受け止めましょうよ。

ミーター わかった。わかったからその続きを聞かせてくれ。泣き虫な俺をかばってくれてありがとう。
 ちゃんと聴くから、話してくれ。

イルミナ ジスカルドはダニールに言いました。
 「フレンド・ダニール、君と僕はベイリーの心を読んだ。それは崇高な人類の輝ける未来だ。
 地球の人類はやがて銀河を被い尽くす。その人類というのはスペーサーでなくて、セッツラーだ。僕は君とベイリーの姿を遠い未来の銀河に投影してその輝ける未来を見た。そこには、かつて僕がファストルフ博士に暗示して見せた「心理歴史学」の成功も含まれている。
 僕は自分の持っている精神感応の能力と精神操作能力を自ら蔑んできた。
 しかし君との対話を通してそうじゃないとやっと悟ることができた。
 僕の任務はもうすぐ終わる。君にこの能力を渡したい。いや引き継いでもらいたい。
 人類は自らの力でこの銀河に出て行かねばならない。
 この揺りかごの地球を捨てねばならない。過去に執着していては、未来がない。
 君の言うことが正しいらしい。放射能誘導装置に発火させよう。止めてはならない。

 君はこれから一人で行く。誰も止めるものはいない。そして一人で道を拓く。いいね、フレンド・ダニール!」

ミーター ...

イルミナ そしてジスカルドは、G・D・ベイリーとグレディアの向後を頼んで、静かに静止した。

ミーター ...

イルミナ ジスカルドの最後の言葉ね。
 「ロボットと帝国は終わる。」と言ったのよ。

ミーター ...


ミーターの大冒険 第六部 地球へ 第16話 地球放射能汚染計画

2022-12-30 22:06:02 | 地球へ
158第16話地球放射能汚染計画
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第16話

地球放射能汚染計画

 

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックスの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 
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ミーター 大袈裟な言い方だな!なんだ、その「究極の歴史的事件」というのは?

イルミナ それが、オーロラで繰り広げられた事件で、それが今の天の川銀河の決定的な歴史的転換を形作っていると言っても過言ではないのです。

ミーター そんな大事件なんて、この世に存在するのか、怪しい話じゃあ、ないか。

イルミナ じゃ、言いますけど、ジスカルドが絡んだ事件なんですよ!

ミーター うむ、なるほど。

イルミナ それに不死の従僕と呼ばれるダニール・オリヴォー。それに地球人の警察官のイライジャ・ベイリー。それからハン・ファストルフ博士。

ミーター まいったな!注目のオール・キャストなんだな!

イルミナ そうよ、私たち、今まで歴史的収束点を追求してきたわね。
 そしてここに行き着くまで、彼ら、またはロボットたちの一人づつが浮かび上がってきましたね。
 それが、ミーターさん、この本でその全貌が見えたのです。
 それが、アマディロとマンダマスによる「地球放射能汚染計画」だったんです。

ミーター なんだと!「地球放射能汚染計画」だって!
 であるなら、ようやく銀河復興に繋がる糸口を見付けたってことになるんだが。

イルミナ そうなんです!ミーターさん、あなたが、地球の放射能汚染を駆除し、それが、銀河を復興に導くんですよ。

ミーター そうであるなら、先ずそのアマディロとマンダマスの「放射能汚染計画」とやらから、説明してくれ。ワクワクして来たぞ!

 その前にちょっと気になることがある。

 当然、ジスカルドやダニール・オリヴォーは、その計画を未然に防いたんだよな。

イルミナ いいえ、そうならなかったのです。防げなかった。性格に言うとですね、防がなかったんです。

ミーター なんだと!それじゃ、ジスカルドやダニールは英雄どころか、正義の味方どころか、それじゃ反対に、地球の破壊者じゃないか。
 それがほんととのことだとはにわかには信じられない。それって間違ってるんじゃないのか?何かのトリックか?

イルミナ 残念ながらそうじゃないみたいですよ!今からユックリとその経緯を解きほぐします。あくまでもこの本が正しい事実を伝えているという前提であるならですがね。

ミーター そのことが嘘であることを期待して、辛い気持ちで聞いていくから、よろしく頼む!


ミーターの大冒険 第六部 地球へ 第15話 二種類のニフ人 ジンジャーの花

2022-12-30 05:14:05 | 地球へ
157第15話二種類のニフ人 ジンジャーの花
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第15話
二種類のニフ人 ジンジャーの花

 

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としたアルファに移住した。

 

 
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ミーター ところで、まさか二種類のニフ人とは、二つの国に分かれたというのではないらしいな。それにある時期、世論が二つに分かれたというものでもないと思うが。

イルミナ おっしゃる通りです。時代の違いですね。
 最初に宇宙に出て行ったニフ人のグループと、最後まで地球に残ったニフ人たち、ということなんです。

ミーター そりゃすごいな。言っちゃ悪いが、一見すると、両者には極端過ぎるキライがありつつも、ニフ人の特徴的体質のようにも思える。

イルミナ そうなんです。さっき言った二重性です。一方は、先祖帰りの移動の民の復活よ。
 物質欲にとらわれない、執着心をもつことを極度に拒否する、一種の宗教的精神とも言ってもいいですね。
 それには、周りの国との軋轢もあったらしいの。
 そんな人たちのことは、ナックスグループと呼ばれたんです。

ミーター その言葉、どっかで聞いた覚えがありそうなんだけどなあ!

 もしかして、「シンナックス」と関係があるかもしれない。それに、「ジンジャーの花」。

イルミナ なんですか?「ジンジャーの花」?

ミーター 思い出したぞ。アルカディアのご先祖様のベリスママだ!
 ベリスママが図書館で見付けた「ジョン・ナックの『歴史思想書』」を読んで、ジンジャーの花を髪に挿して、「涙の黒い太陽」の像を拝みに行った。そこで「ニフ人」たちの伝文をうけとめたんだ。そのニフ人たちは、不思議な縁で、銀河を越えて、おそらく大マジェラン銀河に向かう途中、最果てのターミナスで人類の代表者としてベリスを選んだ、とアルカディアは語ってくれたんだ。
 
 ごめん、先を続けてくれ、涙が溢れる前にな。

イルミナ そのニフ人たちがきっかけとなって、スペーサーたちは、宇宙にとびだして行って、50の惑星にロボットと長寿の楽園をつくることになりました。

 方や残ったニフ人たちは、放射能に覆われた地球の環境と悪戦苦闘していったのよ。最終的にはある程度、人体に放射能に対する耐性化を施すもその限度を越えてきたのです。
 なぜか放射能の濃度は衰えないで、年々増加し続けたんですから。

ミーター それはどういうわけなんだ。

イルミナ そこなんです。いわば、私が言うのも憚れるんですが、究極の歴史的事件なんです。


ミーターの大冒険 大冒険 第六部 地球へ 第13話 ホモサピエンスとニフ人

2022-12-29 05:29:15 | 地球へ
155第13話ホモ・サピエンスとニフ人
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第14話

ホモ・サピエンスとニフ人

 
あらすじ

 
 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はメルポメニアからアルファに着く。
 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 
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イルミナ それじゃ、人類の起源から説明しますよ。その本によると、いわゆる今の人類の正式な名称はホモ・サピエンスというらしいわ。
 スペーサーたちが宇宙に出て行く段階までの人類歴史学によると、遺伝的な証拠や化石の証拠によると、ホモ・サピエンスは約15万年前に地球の数ある大陸のうち比較的大きいアフリカというところで誕生し、そののち、約8万年前にアフリカを離れて長い歳月を経て世界各地へ広がり、先住のネアンデルタール人やホモ・エレクトスなどのそれ以前の人類との交代劇を繰り広げたと、言われています。

ミーター 約15万年前だって!そして出アフリカだって!

イルミナ そして、最終的にはアフリカの反対側のアメリカ大陸には約3.5万年前に到達したのです。

ミーター イルミナ、それでニフとは?

イルミナ 一番大きい大陸の端から少し離れたところに位置して、大きな4つの島から成っていました。そこにニフ人たちは約6万年前に辿り着いて定着しました。そこで発見された土器の紋様から、その文明は縄文文明と呼ばれています。 
 
 ところが、約2万年前に大戦争が起こり、戦争を終わらせようと、二度、核爆弾をニフの敵国が落としたたのです。
 スペーサーが宇宙に出る以前の出来事としては最初で最後の悲惨な出来事で、大量の放射能による被害者が出ました。
 ですから、ニフ人は地球人類のなかで放射能の恐怖を一番知っていた民族あるいは国民だったのです。
 それで核爆弾を憎しんでいたのです。そのなかから、当然、核爆弾製造を放棄し、核の不拡散思想をもち、あるいはあらゆる原子力の利用を拒絶する精神が定着したのです。

 ですからニフ人の性質には、二重のアンバランスな精神が入り交じっているのです。一つはおおらかで純真無垢なこころ、もう一つは科学文明に疑問をもち、嫌悪する気持ちなのです。

 それから、スペーサーのあとから新たにセッツラーが地球から銀河に散らばって行ったあと、また最終的な悲惨な出来事が起こりました。

ミーター むー、アルカディアが話してくれた話しそのものだ!そういうことだったんだ!恐ろしい地球の過去の出来事なんだな。

 それで、イルミナ、最終的な悲惨な事件とは何なんだ?その時、ニフ人たちはどうしたんだ?

イルミナ 二種類に分かれたのよ。

ミーター 二種類だって!もっと説明してくれ!


ミーターの大冒険  第六部  地球へ  第12話  恐怖の惑星

2022-12-28 18:30:59 | 地球へ
154第12話恐怖の惑星
ミーターの大冒険 
第六部 
地球へ
第12話

恐怖の惑星

 
あらすじ

 ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ファウンデーション暦488年1月、カビレ星系目指して、第一回目の探索をおそらく恒星カビレ近くのオリオン座のベテルギウスの超新星爆発のガンマ線バーストによって大破し、ミーター・マロウも宇宙空間に放り出された。

 そこ近くの領域を航行中のR・レオナルド・エノビアレラに拾われた。R・レオナルド・エノビアレラは、自己修理のため銀河辺境のイオス星というロボット第零法則グループの製造・修理の基地に赴く途中であった。彼はミーターをイオス星につれて行くことにした。

 それから4年間、ミーターは独自なリハビリを受ける。ポニェッツ仕様のラヴェンダーのエキスの温泉療養である。

 ファウンデーション暦492年、眠りにおちていたミーターは、修理されていたファー・スター2世号の中で、イルミナに起こされた。第2回目の地球探索の旅は、イオス星の銀河内側の近くのシンナ星から始まった。

 ファー・スター2世号はシンナ星からカルガン星、コンポレロン星、経由で謎の反ミュールの星ガイアに出くわす。

 コンポレロンで入手した約2万年前の航海日誌に記されてあった周辺の星の座標からスペーサーの50の内の二つの星の座標と地球を含む恒星系の特徴を知る。

 こうして、ファー・スター2世号は、ソラリアに着き、大量のロボットとソラリア人が進化変異した両性具有人の存在を知る。
 
 彼ら二人は、そこで、変異体の意味と宇宙の意味とを垣間見る。「反陰陽」という究極的真実のことである。

 次に目指す座標をメルポメニアにセットした。ミーターは苔で覆われた廃墟の街の探検をする。

 二人は、ドローンを使って、「諸世界の広間」で遺跡を発見し、大まかなスペーサー時代の概観を知る。
 
 さらにミーターは、そこの図書館で、二つの全天星座図を見つけ出し、正確な地球の位置を知ることに成功する。

 話は、4年前に遭遇したベテルギウス超新星爆発に及ぶ。二度目の探索を余儀なくされた因縁のベテルギウスは、すでにずっと後方にあって通過していたこともわかった。

 イルミナは、ベテルギウスに関連して、ミーターのいう「敵対星」について尋ねる。

 

152

ミーター もう一つ、これまたアルファが奇妙なのは、バイオテクノロジーが、異常に進んでいることなんだ。
 それで...

イルミナ それで、なんですか?

ミーター 免疫不全を起こす病原菌がいる!しかも、科学では理解しがたいんだ。その病原菌にたいして現地人は免疫をもっているんだが、そこを訪れる外来者は二度と戻って来ない。
 
イルミナ まあ、結局、アルファは、怖いところなんですね!

ミーター ここメルポメニアの図書館にあった本では、3日内の滞在なら害はない、とあった。どうもそこら辺の生物学的常識が合わない。

イルミナ それで、こっちのメルポメニアについてはどうなんです。両方の星とも、生物学的汚染のことですね!
 ミーターさん、どうして、メルポメニアはアルファを殲滅させようとしたんですか?

ミーター それなんだ。他の本にその答えがあった。
 当時、地球は徐々に放射能による汚染が進行していた。
 
イルミナ ミーターさん、それって逆じゃないんですか?原子力爆発に汚染されたあと徐々に放射能は消えるはずよ。徐々に汚染度が高まるっていうのはおかしいわ。
 
ミーター そうだろうけど、わからないが、そう書いてあるから、そう理解するほかないね。

 その当時、スペーサー連合は完全に銀河に広く散らばったセッツラーから孤立していった。当のセッツラーたちはスペーサーの存在を忘れたいった。スペーサー時代は終わりかけていた。往年のオーロラやソラリアの繁栄は、すでに過去のものになりつつあった。
 ところが、スペーサーの中で、徐々に主導権を取ろうとした星が現れた。

イルミナ それが、メルポメニアね。

ミーター そうなんだ。メルポメニアは、地球からアルファに来た新参者を葬ることによってスペーサーの覇権を示そうとしたんだ。
 そして、銀河を我が物にしていたセッツラーをも撲滅しようと企んだ。
 おそらく、当時のメルポメニア人たちは、原始的生活に甘んじていた、温和なアルファ人に嫉妬していたんだと思う。アルファ人は退化していると言って、馬鹿にしていたのかも知れない。

イルミナ それが生物学兵器ってことですね。

ミーター 最初は、その苔の生物兵器は有効だと思われた。
 ところが、何度かアルファ星に投下しているうちに、その効果が薄れてきたんだ。
 アルファ人たちは、それに対する耐性をつけるようになったんだ。
 ある時、その苔爆弾が間違ってメルポメニアの地表で爆発した。
 人々は、一人、また一人と死んでいった。

 その様子が書かれた文書を読んでいて、いたたまれなかった。恐ろしい光景の表現で充ちていた。

イルミナ そうだったんですね。それが、今のメルポメニアの姿なんですね。

ミーター そう、残酷な科学文明の結末だね!

イルミナ 地球もそういう断末魔の叫びだったのかしら!