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ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪 第6話 What on earth ?

2023-03-06 22:02:53 | ウォンダとガールの地球探訪
16第6話What on earth !
ファウンデーションの夢 
第三部 
ウォンダとガールの地球探訪 
第6話 

What on earth !

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

 話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
 ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
 逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
 その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。

 話しを元の状態に戻す。ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。

 ガールは、久しぶりのヒューミンとの再会に歓喜するやいなや、突如として眠気を催して、睡眠に陥ってしまう。

 ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
 そして親しげにガールに話しかけてくる。

16
「ウォンダが自分の最後を予期して、私を呼び出したのが、惑星イオス。暗くて寒い星だった。息をひきとる前に、『あなたは、祖母とそっくりなのね!
 祖母ドースは、ハリを守るため、10人の男を一瞬のうちに投げ飛ばした話、聞いているわよね。
 それとは反対にあなたのお母さんは、とても美人で、優しかった、と聞いてますよ。妹には逢いたかった!

 あの4本の花ねえ、実はねえ....

 悲しまないでちょうだい。私がいなくなっても、私の夢は消えないのよ!あなたにその夢をついでもらいの。』と優しく右の耳元で囁いた。

 息をひきとる前に部屋の影に二人の人がいたような気がしたのけれど。
 片方はすすり泣いてたような気がした。」(『ドース・ドーニックの日記』)

ガール ここはどこなんだ?ヒューミンさんは?セルダン先生は?

ウォンダ あんたがガールね。あなたはやせっぽちだと思ってたら、クレジットバッグみたいなのね。
 ここはシンパシック・ハーヴェイ号のなかよ。ヒューミンおじさんに言われて、今地球に向かってるわ。二人だけだけど、宜しくね!
 
ガール 地球!?!

 ターミナスじゃない!?!

 君は誰だ!?!

 一体全体どうなっているんだ!?!

yatcha john s.


ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪 第5話 ウォンダ・セルダン

2023-03-06 03:04:51 | ウォンダとガールの地球探訪
15第5話ウォンダ・セルダン
ファウンデーションの夢 
第三部 
ウォンダとガールの地球探訪 
第5話
 
ウォンダ・セルダン

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

 話しは、それより約半世紀前のハリの逃避行において行った出来事の回想に触れなければならない。
 ハリは学会出席のために故郷ヘリコンからトランターに来たのであったが、なぜか意に反してトランター中を駆け巡らなければならなくなった。
 逃避行の末、それまで不確かだった推測が、完璧に正しかったことを知った。何ものかが、ハリの逃避行を企てた、ということ。何ものかが、ハリに目指す「心理歴史学」の中心原理を考案させるように誘導している、ということ。ハリの目指す「心理歴史学」を担う新たな組織、それを維持する施設を、より堅固にするのに、何を乗り越えなければならないか、をY 市の反乱事件で示されたように思った。
 その背後の人物、それはチェッター・ヒューミンであり、ロボット・ダニール・オリヴォーであり、宰相エトー・デマーゼルだったということ。そしてドース・ヴェナビリも彼のお膳立てによるものだと。
 
 申し訳ないが、その後のハリに纏わる出来事は、いずれの機会に譲らさせてもらいます。

 話しをまた50年後の元の状態に戻す。

 ヒューミンは、何食わぬ顔で現れ、ハリに禍福の入り混じりあったニュースを伝えた。

15
「こともあろうに祖父レイチは、またもやワイ市で、運命の出会いを経験した。相手はマネルラ、レイチばかりでなくハリをも救った、私の祖母である。綺麗なブロンドであった。茶目っ気があり、いつも曾祖母のドースとやりあってたと聞く。
 ついこの前、母ベリスの形見を整理していたら、叔母ウォンダの8歳の時の写真を見つけた。ハリが精神感応の能力に気づき、彼女は終日プライム・レイディアントに興じていたという。
 ずっと気になっていた彼女の手に握られていた四つの花びらの意味。黄色とクローバーの花の意味がまだわからない。」(ガール・ドーニックの生涯・ドース・ドーニックの日記』)

ヒューミン ハリ、君にとっては残念な知らせを持ってきた。サンタンニの騒乱のことだ。

ハリ ヒューミン(ダニール・オリヴォー)、もうそれ以上、言わないでくれ。わかってる。レイチのことだというぐらいは! 君は私にとっての死神なのか。もう残ってるのは、ウォンダだけだ。その、ウォンダも、最近では、同じ感応者のステッティンと行動を共にしている。

ヒューミン もう一つの方は、いい知らせだ。 行方不明だった第七アーカディア号はサリプに着いていた。それからアナクレオンで無事に暮らしている。これから、私は彼女たちをターミナスに連れて行く。
 それでよろしいな?ハリ。

yatcha john s.


ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪 第4話 Y市の謎、おそらく蝶番の謎

2023-03-05 18:13:00 | ウォンダとガールの地球探訪
14第4話Y市の謎、おそらく蝶番の謎
ファウンデーションの夢 
第三部 ウォンダとガールの地球探訪 
第4話

Y市の謎、おそらく蝶番の謎

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年(西暦に換算すると24566年)、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。
 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

 ハリが、ガールにモーヴ建設の要件を語り、宰相デマーゼルの秘密を漏らそうとした瞬間、背後からヒューミン(デマーゼル)が突如現れ、ハリを制した。

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「全ての謎の根源はどうやらハリが家族と逃避行を続けていたときのワイ市での反乱未遂事件にあるらしい。ワイは元々伝説ではふるさとの星の国エウロパのYの字の形の港が起源と言われている。
 その時の事件に居合わせた養子レイチに関係があるらしい、まではわかるのだが...」(『ハリ・セルダンの生涯』ガール・ドーニック著)

(ハリがガールに話しかけているとき、二人の背後からにわかにチェッター・ヒューミンが現れた。)
  
ハリ そう、君はこの計画の重要な責任者になる。ターミナスの首都モーヴ建設には君の技能を十分活かさせてもらう。
 
 モーヴの原型はワイ市だ。以前、私がドースとレイチを連れて最後の場所として隠れたのが、ワイ市であった。このワイ市での事件がすべての心理歴史学の最終的完成のヒントを与えたくれた。 
 その事件というのは、トランターの政権を軍事力で転覆しようとしたワイの首領の計画をそれとなく誘導して、事前に防ぎ、宰相の引責ということで彼自ら引退し、後継者としてそこに居合わせた私を持ち上げることにした。

 そのワイの目論見から、不成功の要因を私に分析させ、ファウンデーション設立のヒントを与えた。そして五番目には...デマーゼルは、

ヒューミン ハリそこまでだ。それ以上はいい。

ガール ヒューミンさんじゃありませんか!ヒューミンさん、どうしてここに?!?

yatcha john s.


ファウンデーションの夢 第二部 ウォンダとガールの地球探訪 第3話 もう一つの任務

2023-03-04 19:07:35 | ウォンダとガールの地球探訪
13第3話もう一つの任務
ファウンデーションの夢 
第三部 ウォンダとガールの地球探訪 
第3話 

もう一つの任務

お招きの言葉

 わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!

 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。

 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。

 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。
 ガールはしばらくして釈放され、ハリ・セルダンからあらためて心理歴史学とファウンデーションについての計画を打ち明けられる。
 それからもう一つの任務についても。

13
「この本で私が述べることは真実であることには違わないが、もう一人の友人であるチャッター・ヒューミンそして最愛の私の妻、との関係については知らないことも多いし、述べられないこともあることを、読者には前もってお断りしておかなければならない。
 そして、彼らが出発したあと、孫娘ウォンダだけが残った。残ってくれた理由というのは、残念ではあるが、今はふせて置くべきであろう。」(『ハリ・セルダンの生涯』ガール・ドーニック著)

ハリ・セルダン 私が言った通りになっただろう、ドーニック君。

ガール はい。あなたによって助かりました。でもなぜこのような事態を起こさなければならなかったのですか?

ハリ 私がこの心理歴史学を完成させたのは銀河帝国が徐々に衰退に向かい、その後3万年に亘って暗黒時代に入る。
 それを千年(後にガールは500年に縮められる可能性を示唆か?)に縮めることが狙いなのだ。

 その実現には、君らは、このストリーリング大学から出ねばならない。
 この校内の施設は仮の集合場所にしか過ぎない。
 ここよりはるかにもっと広い、もっと大きい施設が必要なのだよ。

 そしてもう一つの ...( 声が小さくなり、低くなり、ガールには届かなかったが、ずっとあとになってガールはセルダン博士のその時の呟きを不思議に思い出し、その意味を知ることになる。)

 チェンは君らを近いうちにそこへ抛出する。既に行くべき場所も調べてある。もっともそのように仕組んだのは我々だがね。

 えっ!博士、その場所というのが「紫の薫りの惑星ターミナス」なのですね!

 そして、博士、今、なんとおっしゃいましたか?
 「私たちと言わないで、君ら」とおっしゃいましたね?

 もしかしたら、あなたは行かないと言う意味ですね?そしてここトランターに残るのですね!

ハリ 察しがいいね。ドーニック君。私の睨んだ通りに君は優秀だ。私についてはここに残らなけれならない。

 だが、君がターミナスに到着する前に、もうひとつやってもらいことがある。ヒューミンのたっての願いでもあるのだ!

ガール もうひとつの任務ですって?

ハリ そうだ。君にはもう一つの任務に就いてもらう。君だけしかできない任務だ。

 君の独自な心理歴史学と証古学の応用がもとめられる。

 心配することはない。君にふさわしい航宙船と優秀な助手をつける。

ガール やれやれ、ここトランターに着いたばかりというのに、今度も銀河横断の旅らしいですね!

ハリ 君には、言わば蝶番の役割を果たしてもらうために最高度に必要な任務になる!
 

ガール 『最高度??』

yatcha john s.


ファウンデーションの夢 第三部 ウォンダとガールの地球探訪 第2話 聴かずんばこれを去らん

2023-03-04 09:23:34 | ウォンダとガールの地球探訪
12第2話聴かずんばこれを去らん
ファウンデーションの夢 
第三部
ウォンダとガールの地球探訪
第2話 

聴かずんばこれを去らん

お招きの言葉

 わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。

あらすじ 

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。

 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。

 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。

 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。
 彼がハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!
 ガールは、ダニールの指示通り、ダニールの多額のクレジット・バッグを抱えて、トランターに着いた。まではよかったが、ハリ・セルダンに会うやいなや、当のハリ共々裁判のために留置所に入れられてしまった。
 ハリの未来予測は、将来500年以内に92・5パーセントの確率でトランター銀河帝国が滅亡するというものだった。
 そこへ、弁護人としてハリ・セルダンから遣わされたロース・アヴァキャムが、ハリ・セルダンの代わりにガールにこの件に至った経緯を語る。

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「敵を包囲したら必ず逃げ道を開いておかねばならない。窮地に追い込んだ敵に攻撃を仕掛けてはならない。」(『孫子』孫武著)

「リンジ・チェン。銀河帝国を支えてきたチェン家の棟梁にして、公安委員長官。チェン家の初代はリンタイ・チェン。彼は人類の共通の故郷(ふるさと)の星のある時代のある体制を転覆させた。その方法が奇抜過ぎる禁じ手を使ったことから、もと兵法家の孫という姓からチェンという姓に変えた。その禁じ手というのは、極めて簡単すぎて、誰もが驚嘆するほどであった。」(『ハリ・セルダンの生涯』ガール・ドーニック著)

アヴァキャム わたしはロース・アヴァキャム。あなたの代理人を勤めるように、セルダン博士から指示されました。
 博士からの君への伝言を預かっている。

ガール わたしは不法にも、ここトランターに来て、すぐ拘束されている。
 皇帝に直訴の手続きを希望します。
 こんな状態のために、やってきたつもりはない。
 もういいから、あなたの手でなんとかして下さい。故郷のシンナックスに帰らせて下さい。

アヴァキャム 君には大変迷惑だとは思うが、これが最上の策なのだよ。
 この日が来るのをセルダン博士はずっと待っていたんだよ。
 長い年月だった!
 
 今日が、18年前にユーゴ・アマリルとセルダン博士がつくりかけた心理歴史学の最終章であり、これからが本当の初まりなのだ。そのユーゴも10年前に死んだ。

 ユーゴとセルダン博士とは、チェンを徹底的に研究した。チェンの世界をレプリカまで研究所に設置、何度もシミュレーションを行った。そのために洞窟までこしらえて。「瞑想」とやらまでやった。

 裏の裏をかく、虚を衝く、そして利用する、それでしか、我らの「ファウンデーション」はつくり出せない。チェンの行動パターンは、彼の先祖の兵法に制約されているとセルダン博士は読んだ。チェンは、セルダン博士の影響力を恐れて、博士のグループを銀河の果ての星に追放するように仕組んだ。

ガール なんですって!それで、セルダン博士を「大烏」と言うんですね。銀河帝国が300年後には滅び、それに続く3万年後に新たな銀河帝国がやっと成立するという。
 でも、なんで僕だけ、処刑される運命なんですか?
 あのヒューミンさんは、そのために僕をここに導いたのですね。

アヴァキャム 心配しなくてもいい。
 君が処刑される確率はごく僅かだ。「極素輻射体の照射では、1%未満だ」とセルダン博士は言ってた。

ガール そんなこと信じられるか。

アヴァキャム ドーニック君、よく聞いてくれ。チェッター・ヒューミンは、陰ながら、彼の特殊な能力で、帝国の政権をコントロールしている。
 銀河の記憶と知識の集大成を管理する部門が、遥かな銀河のホライズンの彼方、我らが名付けたターミナス星で展開されるはずだ。

 50人の中心スタッフを支える1万人のスタッフと3万人の家族が、そこに移住する。

 その名目上の目的は『銀河百科辞典』編纂財団だ。
 そしてその真の目的は、『第1ファウンデーション』!

 次の銀河帝国の到来を限りなく短くするということが最上の策になる。

 そして、君ガール・ドーニックが51人目の数学者であり、同時に統括責任者となる。

ガール なんですって!

yatcha john s.