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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第20話 新たなヴィジョン

2023-02-13 05:22:42 | エピローグ
202第20話新たなヴィジョン
ミーターの大冒険 
第九部 
エピローグ 
第20話

新たなヴィジョン

あらすじ

 ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。
 その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。
 あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。

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アンセルム ペイリーさん、実に素晴らしい光景の舷窓で、何をお読みかな?このSダリバウがダリバウの衛星ルエリスを包むのは12000年に1回と言われています。この淡い光を頼りに何をご覧になられているのですか?

ペイリー これは小説というものです。ミーターさんの貴重な持ち物をお借りしました。アルカディア・ダレル様の『続・何度も何度も繰り返されて』です。
 ミーターさんがアルカディア邸から地球探索に向かおうとされていた時、ファー・スター2世号にアルカディアの数多くの遺品から持ち出された宝のようなものだと聞いています。

アンセルム 存じております。アルカディア様は他にも何冊か本を出されております。私も何回か読んだことがあります。
 実に深遠な出来事と息を飲むような真実と気迫ある文体で、流れるような詩情に満ち満ちておりますね。
 そこに紫色でアンダーラインが引かれてありますね。

ペイリー 今この行にさしかかったところです。

アンセルム どのような文でしょうか?アルカディア様がご自身でおばあ様の文章を引用されてご自身の本のこの行にアンダーラインを引かれたのですね。

ペイリー そのようです。
 強調の上更に強調されておられます。
 アンダーラインの前の文からお読みしますね。アルカディア様はおばあ様ベイタの文章を引用されて、次のように書いておられます。

 「ここはガールの発見のなかの大発見、宇宙の真実のなかの大真実。ガールはハリとダニールから言い付けられた地球探訪に赴く。その真の目的とは、なんだったでしょうか?
 ダニールに残る一抹の疑問。それは彼が目論んだガイアの希望は、ハリの心理歴史学を果たして補完できるのであろうか?はたしてガイアが残り、ファウンデーションの第1と第2も消滅してしまうかも知れない、という不安。
 ガールは、地球探訪を終えて帰路、ファー・スター号の中で夢を見た。
 地球のいつの時代かわからないドイツという地域の深い森の中。
 ハリとダニールが出会う。
 まず、ハリが、言う。

 ダニール、君と今、賭けをしたい。一千年後、『銀河百科辞典は版を重ねているだろうか?』
 君の考案したスペーシアが成功し、純然たる単一性が実現すれば、次の千年紀には書物も辞典もなくなっているだろう。
 しかし、わたしが正しければ、人々は知識の集成を出版し続けているはずだ。
 わたしが正しければ、『銀河百科辞典』は、我々の子孫によって、受け継がれていくはずだ。

 ハリ、君の『銀河百科辞典』編纂計画のファウンデーションというのは、銀河復興のためのほんの手始めの見せかけ、口実ではなかったのでは?

 ダニール、君はわたしを補佐しようと地球まで赴き、地球古代、地球自体の心、ガイアに触れたのではなかったのでは?

 左様、ベニサラの魂を身に受けた。

 それでは訊こう。ベニサラが若き武将をヤマブキ(後の江戸、東京)を拓かしめた精神とは?

 ハリ、それは分かっている。兼明親王の和歌をヤマブキに添えて献上しただけであった。
 次のような和歌だ。

『山吹は七重にも八重にも咲きますが、実が一つも育たないのに貸して差し上げられる蓑が一つもないのが残念です。』(The yamabuki blooms in both seven and eight layers, but it is a pity that there is not a single straw rain coat to lend to prevent even one fruit from growing.)

 ダニール、もう言うことはない。わたしの人生にもわたしの夢があった、というものだ。君がわたしにくれた中では、ドースという最上の宝がある。これで十分だ。

 君はよくこの銀河を二万年に亘って支えてくれた。おそらく、この銀河の歴史は君の誇りで満ち満ちている。飽くなき文芸復興を成し続けてきた。ルエリスから始まり、リンゲイン、サークと。そしてサンタンニで終わった。
 わたしがこの賭けに勝てば、もう1回、サンタンニから銀河復興を初めてもいい。

....

 ハリはダニールの肩を叩き、踵を返して、森の奥に消えて行った。」

アンセルム ペイリーさん、どうされましたか?泣いておられるのですね!

ペイリー ロドリックさん、文学というものは不滅です。このわたしにダリバウの太陽が優しく教えてくれてます。父もハリも、ベイタ様もアルカディア様も、そして今イオス星におられるドース様もわたしの気持ちと同じでしょうね!


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