207第25話時間霊廟のコントローラー
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第25話
時間霊廟のコントローラー
あらすじ
ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。
その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。
あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。
ダリバウからイフニアに行く途中、ファー・スター2世号の前に、12000年に一回というダリバウの太陽とダリバウの衛星ルエリスとの皆既日食が現れる。この現象は、ミーター一行に何の暗示になるだろうか?
アンセルムは、アルカディア・ダレルの小説を読んでいるペイリー・リャンにペイリーの父ダニールの歴史を、厳かに、そして優しく語る。ルエリスの名前の由来を。
漂泊のシンナックス人は今や地球から見た場合の星座レチクル座付近の奥の大マゼラン銀河にさらなる次のターゲットを決めて、このダリバウやイフニアから出て行ったことをペイリーとアンセルムは同時に了解した。
ミーターたちは、ハニスが投獄されているはずだったイフニアについた。
ハニスは無事だった。その時点までにアンセルムが、イフニア政府をコントロールして、政府トップと内務省にまで浸透工作に成功させていたからであった。
ただターミナス政府は、その偽装イフニア政府の実態にはまだ気がついていなかった。
ファウンデーション連合では、既にサイレント革命(ペイリー・リャンがヤマブキ色のハンカチをミーターに捧げたのをきっかけとして、『ヤマブキ革命と言われる』)が徐々に進んでいった。
それでも一つの危機的状況は依然として残った。
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ハニス そこでだ、ミーター君、ロドリックさん、ターミナスの担当者らが俺をここからターミナスに引き出しにくる。その前にここからターミナスに潜伏して、その破壊された図書館のロックを戻しに、変装して潜伏しようと思う。
ミーター ハニスさん、ここが思案ですよ。ここはじっくり別な妙案を考え出したらどうでしょう。
ハニス この策しかないんじゃないかい。そうじゃないと、ファウンデーションの伝統が消えてしまう。
アンセルム たしかにターミナスの伝統は消えるだろうよ。しかしファウンデーションの伝統は消えるわけではない。そうではないだろうか、ハニス殿。
ミーター その通りです。ハニスさん、ここが大事なポイントです。ハニスさん、ロドリックさんのおっしゃりたいことは、私たち長い間ターミナスが第1ファウンデーションだと信じていた。その考えがまた新しい既成概念、固定観念を産み出して、我らの新しい想像力をダメにしまっている、とおっしゃりたいのですよ。
ハニス む~!言われてみれば、その通りだ。
形あるものはすべて過ぎて行く。永遠の真理だ。
忘れていた真実だ。下手をするとブラノらと同じ観念に囚われるとこだった。
いつもそうだ、下手な道徳観念に囚われて、真実相が今一見えて来ないというのが、俺の欠点だ。
なるほど、改造帝国辞典編纂図書館は、ファー・スター2世号と連繋しているんだったな。
イルミナを大事に思うばかり、忘れていた。
ミーター そうですよ。ターミナスのイルミナは消滅しても、イルミナは存在し続けますから。
ハニス ただ、一点苦慮することがある。
ミーター なんでしょう?
アンセルム そうだね。ターミナスの地下のコントローラーは、ハリ・セルダンの「時間霊廟」と連結している。その「時間霊廟」のコントローラーと図書館のコントローラーをファー・スター2世号に移行させる切り替え操作が必要だ。
ここは変装の得意なハニス殿にご足労願うことが上策かもね。ハニス殿だったらモーヴの隅々までご承知だ。潜入路も詳しい。
ペイリー ターミナスは、もう天の川銀河の指導的位置を失うんですね。
アンセルム ターミナスがこの銀河に燦爛と輝いた時代は過ぎようとしています。過ぎ行く現実を受け入れることは、痛ましい。が、新たな次元を開くためには、通らなければならない通過儀礼ではないかな!
ペイリー そうでしょうけど、憧れのターミナスが過ぎ去るのは悲しいことです。せっかく銀河の反対側からやってきたというのに。
ミーター ペイリーさんらしくないよ。なんかお上りさんみたいな!
ペイリー まあ、大変な皮肉ですこと。地球や月を侮辱してる発言ですよ、ミーターさんたら!
Photo ∶精神移行・遷移の象徴としての珍しい自然現象。
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