55第9話蛸部屋の名探偵と一台
ファウンデーションの夢
第七部
アルカディア・ダレル
第9話
蛸部屋の名探偵と一台
あらすじ
アルカディアの長い家出の休暇が始まろうとしていた。それはモーヴ市に隣接するアルティメット空港からの出来事であった。が、それが全銀河を揺り動かすことになる。
はたして、アルカディアの密航の目的とは?
アルカディアは、カルガンで叔母のカリアに出逢う。しかしカリア・パルヴァーは、第2ファウンデーションのエージェントだった。
しかし、アルカディアは、非感応者であるアルカディアの目の奥を見つめるカリアの眼差しを、拒絶する。
カルガンがダゼンダを襲撃した。
一農業星に凋落したトランター(400年前は天の川銀河の中心)の農業組合長のプリーム・パルヴァーは、カルガンとの取引の交渉のため、また娘のカリアに久びさに会うためカルガンに来ていた。
戦争の勃発で商談は中止。やむ無くトランターに帰ろうとして、宇宙空港にいたとき、カリアから逃げてきたアルカディアと遭遇、彼ら老夫妻はアルカディアをトランターに連れていくことにした。
すでにパルヴァーは、この少女が自身の孫であることは承知していた。
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アルカディア 久しぶりの音写、頼むわね、ミーター。
ミーター やれやれ、やっと、狭いバッグから出られたと思ったら、今度は蛸部屋だなんて、普通切符じゃなかったんですか?
アルカディア しょうがないわよ。戦争ですから。非常事態で、やっとワゴンに乗れただけで幸運なんですから。カルガンから逃げる人で、スペースポートもごった返してたわね!
えへん、このリポートは『何度も何度も繰り返されて』が表題。何度も重なりあった事実を纏めると、次のような推論が成り立つ。
まず、祖母ベイタとエブリング・ミスの意見が微妙に違ってた、ということ。ミス博士は第二ファウンデーションを第一ファウンデーションに対する脅威と考えていた。ベイタおばあちゃんは、ミュールが敗北しても、第一ファウンデーションが、次の銀河帝国の担い手は自分だけだという自惚れとその反対に、第二ファウンデーションに頼っていればいい、という甘えの状態を予期して、ダレル家だけの秘密にしておこうと考えて、トランターに残った。知っていることと公にすることは全く別なんだわ。偉いおばあちゃんだったんだわ!
ミーター、次が問題なのよ!よく聞いて!なぜ、アンソーアがクラウゼの弟子と称して突然、お父さんの前に現れたか?
おそらくね、クラウゼ博士の発明した脳波測定器より、お父さんの発明した機械の方が高性能だったんだわ。
お父さんは、アンソーアが第二ファウンデーション員だと初めから見抜いていたんだわ。
お父さん、案外やるわね!
そして、次の問題が最も大事で、難解だわ!
ベイタおばあちゃんはなぜ、トランターで子供を生んだか、私もそこで生まれたのか?
きっと、こういうことよ。カリア叔母様の目が二回光ったわ。一回目は悲しそうな瞳。二回目は驚愕の瞳。わかるミーター。
ミーター お嬢様、私も及ばずながら、バッグに隠れたままで気が付きました。
アルカディア そうなのよ。ホマー叔父さんも、あの目にやられたんだわ。でもカリアさんの目は私には効かなかったんだわ!
ですから、お父さんもきっとやられてないわ。二人に共通すること。トランターで生まれたという事実、なのよ!
ベイタおばあちゃんはわかっていたんだわ!
そこで推論は、終わり。次は、今後の展開よ。ミーター、聞いている?トランターは大農業の星なのよね?
ミーター データではターミナス農業生産力の百倍、となっています。よー、名探偵コナン・ドイル!
アルカディア ミーター、いやワトソン君、私は名探偵、アルカディア・ダレルよ!
https://youtu.be/B9hc-gNBU2A
yatcha john s. 「蛸部屋の名探偵と一台」
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